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この一般人が異世界勇者よりもチートな件  作者: 五月雨星
始まりの鼓動
2/3

第一話 始まりは金稼ぎ

大変長らくお待たせしてしまいました!

ということで再スタートです。

大まかなストーリーは変わりませんがボケの内容と思いつきで展開作るのはやめたのでいくつか話がカットになっていますのでそこのところはご了承下さい。

自分は調子に乗っていたのかもしれない。

ただ同じことを繰り返して時が過ぎていくだけの毎日を過ごしていた自分が突如異世界へ呼び出され、チート能力こそなかったものの仲間と共に魔物を倒し成長していく自分がまるで物語の主人公になったようなそんな気がしていた。

もしかしたら魔王も倒して、自分が名実ともに勇者になれるんじゃないかって。


でも違った。

自分は勇者ではなかった。


目の前にした魔王はとても強大で苦楽を共にした仲間と力を合わせても届かない。


自分は主役にはなれない。

主役になんてふさわしくなかった。

勇者になるためにはそれ相応の資格が必要なのだ。

自分みたいな一般人が、勇者になんかなれるわけがなかったのだ。

魔王になんて勝てるわけがなかったのだ。


「お前……関係のない一般人にいきなり攻撃する奴がどこにいんだよ!」


そんな魔王をいともたやすく殴り飛ばしたのは勇者でも何でもないただの一般人だった。


///////


この世界には魔法がある。魔法とは己が魔力を媒体とし、この世の理に変化をもたらすものである。


この世界には魔物がいる。魔物は独自の生態系を作っており、時に人間や他の動植物を捕食することもあれば、何も食べずとも生きていけるものもいる。


そしてこの世界には魔物の中の頂点たる魔王がいる。


そしてこれはそんな過酷な世界を生きる一人の非常識的な一般人の物語である。



//////////


俺の名前は一輝。

現在十九歳で冒険者ギルド職員をやっているごくごく普通の一般人。

そう、ごく普通のありふれた、どこにでもいる一般人だ。


そんな一般人である俺は小銭稼ぎのために冒険者ギルドにクエストを受けにきていた。

いきなり冒険者ギルドとか言われてもわからないと思うので、ここで一旦冒険者ギルドについて軽く説明しようと思う。まず冒険者とは何か。冒険者とは端的に言ってしまえばフリーターである。迷子になったペットの捜索から、危険なドラゴンの退治まで、法に触れない限りいかなる頼みもクエストという形でそれを受けてこなす。それが冒険者の仕事である。そして冒険者ギルドというのは冒険者にとって異世界の〈日本〉なる国風にいうと〈ハロワ〉のようなものだ。冒険者はここでクエストを受注して依頼をこなす。肝心のクエストの受け方は掲示板に貼ってあるクエスト用紙を剥がして受付に持っていくだけだ。

……で、だ。そんな冒険者にとってのハロワであるこの場所に職員側である俺がなぜクエストを受けに来ているのかなのだが……それは後で詳しく説明しよう。


いつものように手頃なクエストがないか探しているとでかでかと文字の書かれた一枚の貼り紙が目に止まった。


『僕たちと共に世界を救おう 勇者より』


「………アホかこいつ」


俺はそう言いながら隣にあった


『ゴールドリザード討伐クエスト』


と書かれたクエスト用紙を剥がして受け付けに持っていった。


////////////////////


「毎度のことながら、本当に歩きづらいなここは」


俺はそう言いながら森の中を草木をかき分けて進んでいた。

俺の今いる場所を軽く説明するとここは〈魔の森〉と呼ばれる場所で生息する魔物の平均ランクはA。このランクというのは魔物の強さ、レアリティを表すもので一般的にランクAの魔物というのはランクAの魔物一体に対して中堅クラスの冒険者がパーティーを組めばまず負けることはないと言ったレベルだ。んで、ここでさっきの『なんで職員側がクエスト受けてんの?』という話に戻るが、まず同然のことながらギルドのクエストの張り出しにも期限がある。

じゃないと誰も受注してくれないクエストだらけになっちまうからな。

しかし、誰も受注しなかったからといって、そのクエストを丸々無かったことにするというわけにもいかない。だから今回みたいに中級冒険者のパーティーが必須みたいなクエストは棚の上にあげられがちなわけだ。だからウチの冒険者ギルドでは一週間以上放置されたクエストは許可さえ取れれば誰でも受注可能になるわけだ。

だからこそ職員側の俺はこんな感じで面倒なクエストしか受けられないわけなのだが。


「いや、しかし思った以上に出てこないな。以上に増え過ぎたから狩ってくれってクエストだったのに……もしかしてなんかの勘違いによるクエストだったのか?」


そう言いながら森の中を歩いているとそれに応えるように後ろから細い枝を踏みつけたような音がした。


とりあえず後ろに一匹……あーー、そういう感じかこれ。


「いやーー、これは悪質だな」


俺はそう言いながら後ろに潜んでいる影に殺気を送る。

すると、キシャーーッ!と鳴き声を上げて後ろのやつだけでなく周囲から大量のゴルードリザードが同時に襲いかかってきた。

ゴールドリザードはランクAのそこそこ危険な魔物であり、先に言ったようにランクAは中級冒険者パーティー相当の戦力がある。それがこれだけの数同時に襲いかかってくるとなれば並大抵の実力じゃこのクエストはこなせないだろう。


「いや、本当に誰も受けてなくてよかったなこのクエスト」


俺はそう言いながら一匹ずつ確実にゴールドリザードを仕留めていく。

ちなみにこれは戦闘に全く関係のない話なんだが、魔物は体が魔素と呼ばれるもので構成されているため返り血を浴びることはない。さらにいうと息が止まった後は魔晶と呼ばれる結晶になるため袋さえあれば手軽に持ち運べる。まぁ魔晶もそれなりに重量はあるのでそのまま持ち運ぶよりマシといったレベルではあるけど。と、そんな説明をしているうちに襲いかかってきたゴールドリザードを全て魔晶に変え終わったようだ。

俺はゴールドリザードの魔晶を袋に詰めて担ぎ上げた。


「よし、帰ろ。これ以上魔物に襲われても困るし、無益な殺生は控えるべきだしな」


俺がそう言いながら振り返るとそこには金色のスライムがいた。


「あ、もしかしなくてもお前……」


俺がそう言いながら近づこうとするとピョンピョンと猛スピードで森の中に逃げていった。

俺は高速でそのスライムに回り込んでスライムの核を蹴り飛ばす。

無益な殺生は控えるべきだと言ったな、あれは嘘だ!……というわけではなく、この金色のスライムを狩ることが有益だからだ。この金色のスライムは地下に眠っている金を大量に体内に取り込んでいるためこのスライムを倒すと体を構成している魔素が消え、金が大量に出てくるのだ。金は金貨としてお金に加工されるだけでなく、装飾品や魔術にも使われることのある便利素材のくせに採掘できる場所が限られるため高値で取引されるレア素材なのだ。


「なんだかんだでこのクエスト受けてよかったな」


俺はスライムから出た金を回収して帰ろうとする。が、またしても何やら後ろの方から微かな物音が聞こえてきた。おそらく魔物だろう。

俺はスッと身構える。

ガサガサという音はしだいに強くなり、草木の影から飛び出してきたのは……!


「お願い!助けて!」


見た目年齢十二歳ほどの金髪の女の子だった。


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