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6 突然のボス戦

 相子のことだけど、予想以上だった。なにがって、威力が。

 私がスキル+通常攻撃の二回で倒す犬を、相子の火の玉は一回で倒す。これまたホーミング性があるみたいで、殆ど当たるし。


 複数魔物が出ても、遠距離の時点で相子が攻撃すれば数を減らせるし、相子に行かないよう防御に徹しても、相子の魔法で倒せる。これは凄く便利だ。

 お陰で今日は大漁だ。


 一回間違って、私越しの魔物相手に攻撃して、ぶち殺すぞ!って思ったけど、どうやら仲間には効果がないみたいで素通りしたから許す。


 そんな訳で、今私たちの目の前には大きな三つ頭の犬がいます。ばうばう。


 え、意味がわからない? うん。私も。


 犬、蝙蝠、そして初めて見るネズミもどきやアリもどきも問題なく倒せた。最初の通路を抜けるとちょっとした広間になっていて、そこからまた三つの通路に別れている。

 おにぎりと水だけじゃなくて、沢庵ネズミとチョコ(アリ)も手にいれてうはうはで、そろそろお昼ご飯にしようかなと思いながら、一番左の通路から中に進むと、大きなワンコさんこんにちわした。


 犬の後ろに階段が見えるから、たぶんここのフロアボスとかなんとかだろう。

 すでに両手の感覚がなくて、左足がしびれてる状態で無茶だ!と思ったので、犬に剣を向けて警戒しつつ、後ろから付いてきてる相子を後ずさりしがら肘で後ろへ進めと押した。中々下がらないのでいらつきながら押し込むと、相子は悲鳴のような声をあげる。


「か、奏! 通路、なくなってて戻れないよっ」


 あと、岩壁に押し付けられて痛いよ、と言う相子には聞こえないよう舌打ちする。くっそ!

 こんなもん、他の通路も全部回るまで見えなくしとけよ! それか普通に一番奥につくってセーブポイント手前に置いとけ! 分かりづらいんだよ!


「相子は下がって攻撃して。身を守ることを一番に考えて。行くよ!」


 泣き言いってても仕方ない。とにかく殺せ!


 本音を言えば相子を囮にさせたいけど、どうも相子は私より身体能力が低いようだ。運動オンチと言う意味ではなく、私は何だか体がよく動くのに比べて、相子は気配察知もできないし、回避もおろおろしてばかりだ。

 きっと私は戦士補正効いてるけど、相子はないんだろう。そんな状態では、相子に攻撃を食らわせたら一撃で死んでしまうかも知れないのに、気軽に囮になんかできない。

 相子は最後の命綱、一度きりの使い捨ての盾なのだ。それをこんな序盤戦の小ボスで使うわけにはいかない! 私はエリクサーを最後までとっておく派なのだ!


 つまり、私が特攻するしかない!


「はぁ!」


 大きく声をあげて犬の気を引きながら、犬の直線上にはならないよう斜め前に向かって足早に移動する。


 グォウ


 ボス犬は警戒するように頭を低くして私を睨み付け、大きく口を開けて飛びかかってきた。


「ふぉぉ!」


 さ、さすがにこれは怖い! 一口で食べられちゃうじゃん!?

 何とか犬の右前足に飛び付くようにして回避して、そのまま左手で持ってる剣を突き刺してからスキルを使う。


「『二段斬り』!」


 グルォ!


 右足に正確に同じ場所に斬りつけたことで、さすがに痛かったらしく、ボス犬は悲鳴をあげながら大きく右足を振るった。

 振られた勢いで私は大きく相子の方へ投げられたので一回転しながら着地する。


「ふぁ、『ファイアーボール』!」


 着地すると同時に横からファイアーボールが発射される。いいぞ相子!


 バフッ


「えっ」


 しかしその火の玉はボス犬が大口をあけて飲み込んでしまった。しかもけろっとしてて、あれ君今、私が切った足を引きずってましたよね? 何を普通に足使ってるのかな?


「相子!」

「きゃっ」


 ボス犬がそのまま突進してきたので、相子のお尻を蹴っ飛ばすようにして退かして、私は思いきって鼻先に向かって剣を振る。


「『突き刺し 』!」


 今までの感じから、突き刺しは手持ちで一番攻撃力がある。ホーミングがあるので、線ではなく点での攻撃を恐れることはない。いやむしろ、鼻狙いだ!


 グオオォ!!


 やったぜ! 二つある鼻の穴を一つにしてやった! 見たかこのくそったれ犬が!


 顔を抱えるようにうずくまった犬から相子を庇うように前に立ち、踵でまだ転がってる相子の胴体を小突きながら急かす。


「相子! 他に魔法はないの!? 多分火はきかないどころか回復するわ!」

「う、うん! もうひとつあるよ! 『ウォーターボール』!」


 相子は慌てて立ち上がって魔法を使うけど、私はえっと内心焦っていた。

 え? もうひとつしかないの? 少なくない? 私は5つのスキルがあるのに、相子は2つしかないの?


 グルォォォ!


 そんな驚きに思考を馳せるより早く、飛び出した風呂水みたいな大きな水の玉をあびたボス犬が、さっきより断然大きな声で呻き出した。

 おお! よくきいてるじゃないですか!


「もっとして!」


 私は相子に放水させながら犬に斬りかかった。


 グォウ!!


 水で濡れた犬は目を開けられないようで、唸りながら口を開けた。そしてそこから火炎放射された。


「どわっ!?」


 犬の足元に前回りするように転がり込んで難を逃れつつ、自分の迂闊さに内心舌打ちする。


 火を飲み込んで回復して、水で大ダメージなんだから火属性に決まってる。魔法攻撃くらい想定すべきだった!

 幸いボス犬は首を振ってあたりに火を撒き散らすようにしてはいるし、相子は何度もウォーターボール作ってるから、相子は無事っぽい。私も無事。無事だから、さっさと次の魔法出せ! いいから、私の名前呼ばなくていいから! 足元にいるのがバレたら狙われるから返事しないから!


「『二段斬り』!」


 スキルを使って返事がわりだ!

 ボス犬はぐぅぐぅ鳴きながら足をばたつかせたので、何とか避けながら相子とは反対側に逃げて剣を構える。


「奏!」

「どんどん行くよ!」

「うん! 『ウォーターボール』!」


 相子に水をかけさせながら、ボス犬の回りを移動しながら攻撃とスキルをしかける。

 途中、相子のウォーターボールが発動しなくなって、多分MP切れになると言うトラブルはあったけど、最後に私がスキル連続したら何とか倒せた。


「はぁ、はぁ……つ、疲れた」


 ボス犬が消えて、大きな焼き豚の塊が3つも出てきたのを見ながら、私は地面に座り込んだ。お歳暮とかでもらうようなデカさだ。

 これは食い出がありそう。頑張ったかいがあるものだ、とついにやける。

 

「奏ー!」


 ほぼ棒立ちだった相子は当然ながらまだまだ元気なようで、大声で私を呼びながら抱きついてきた。

 勢いはそれほどでもなかったけど、疲れてたからされるがままで倒れこんだ。


「うわー、よかったー! 怪我してないよね!?」

「大丈夫、大丈夫。相子は?」


 胸元に抱きついている相子の頭を右手でぽんぽん叩きながらあやす。


「奏のおかげで、私は大丈夫ー。ああ、ほんと、奏凄かったー!」


 ずいぶんテンションがあがっているらしく、相子は騒ぎながら私にぎゅうぎゅう抱きついてくるのをやめないので、疲れてるのでしばらくそのまま慰めがてら休憩した。



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