二話
遅れてすいません。
合宿後にPCを初期化せざる負えない状況になりまして…(;ω;)
初期設定に時間(二日)がかかりました。
あと文章が荒いかもです。すいません。
試合会場は屋根開閉式のドームになっていて、フィールドを囲うように観客席が設けられている。
国をあげての大イベントということもあってか、かなりの観客が通路で立ち見状態になっているようだ。
フィールドに出た康治は、反対側から出てきた相手選手の特徴を見る。
体格は平凡。装備も一般的な自動式拳銃。
対して康治の構える銃は、シングルアクション・リボルバーの一丁。
装填可能な弾数は三発で、今は競技用弾が込められている。
康治は自分が運だけで勝ち上がってきたことを自覚し、全国大会までの期間に幾つかの技術を身につけた。
だからこそ今の康治には相手が誰であろうと勝てるという、根拠はなくとも確かな自信があった。
今度こそ自分の磨いた実力で勝利を手にしたいという深い願望が、康治の原動力になる。
「試合開始五秒前」
開始直後の行動が試合展開を左右するこの競技は、五秒以降のカウントは無い。
次に流れるアナウンスは開始の合図だ。
開始の合図より前に動けばフライングとなり、二度続けると失格にされる。
選手は相手の動きを予測すると同時に、開始の瞬間を体内時計で正確に計らなければならないのだ。
康治は迷うことなく戦略を決め、開始の瞬間を待った。
頭の中でカウントしていては動き出すまで若干の誤差が出てしまうため、康治は五秒という間隔を体に染みつけている。
「開始」
試合開始が告げられたとほぼ同時に相手選手が銃を構える。
その誤差は、コンマ五秒にも満たなかっただろう。
それでも康治を射線に捉えることは出来なかった。
原因は構える際、手元の銃に視線を落としてしまったからだ。
迷わずに相手の右へ回り込んだ康治は、鍛え上げた足でフィールドを駆ける。
攻撃用競技弾『ATTACK BULLET』は実弾とは比べ物にならないほど遅いため、ある程度近づくか工夫をしなければ避けられてしまう。
しかし遅い弾速の代わりに物理法則の無視や、実体をもたない光弾であるため『BULLET SYSTEM』の防御壁を貫通でき被弾した相手に痛みを伝えるなどの特徴を持っている。
康治は相手が自分の方に振り向く前に『ATTACK BULLET』を放った。
重力に逆らって空中を直進する光弾が相手の左腕に直撃する。
受けた本人は被弾した部位に大きな痛みを感じてはいるが、出血はしない。
『ATTACK BULLET』は殺傷能力を持たないが、痛みと派手なエフェクトを残して消えていく。
試合の勝敗は、痛みに耐えられなくなった方が負けという単純なものだが、大抵は三発もくらえば気絶する。
これらに由来する短期決戦と派手な見た目が、この競技の人気の理由らしい。
痛みに顔をしかめながらも相手は康治に狙いをつける。
攻撃後の反動で隙ができるため、撃った直後は大きな反撃のチャンスになるのはこの競技の常識だ。
しかし康治は動きを止めることなく相手の後ろへと回り込み、リロードもせずにリボルバーの引き金を引く。
これが康治の強みである。
他の誰もがマガジンの入れ替えが必要な自動拳銃を使う中、康治はリボルバー、それもシングルアクションの拳銃を使っている。
これは本人が望んだのではなく、国が個人の遺伝子に合わせて作ったためにできた違いなのだが、試合の上でこれほど不平等な差もないだろう。
『BULLET STRUGGLE』用の弾丸には、『再使用可』という代物がある。
これは薬莢の排出を行わずに、数十回連続で使用できるというもので、威力は控えめだがかなり有用なアイテムだ。
これが一般的に使用されないのは、拳銃の機構に問題がある。
本来、この競技用弾に薬莢という機構は必要ない。
なぜなら競技用弾は火薬など使用されておらず、むしろ薬莢(のような機構)を組み込むほうが手間がかかるからだ。
しかし一般的に使われている拳銃は、必要ないシステムである薬莢排出をリロードの一連の流れとして組み込んでしまっているので、どうしても『排出するための薬莢』が必要になってくる。
そこで康治のシングルアクション・リボルバーが活きてくるのだ。
薬莢の排出を手動で行わなければならないこの銃は、逆に言えば必要のないときは薬莢の排出をしないことが可能である。
こうして康治は、残りの弾薬を気にせずに戦えるという強みを得た。
康治の放った弾丸は惜しくも狙いがそれ、相手の頭上を通り過ぎてゆく。
ここぞといわんばかりに相手選手の反撃を受け、左肩に被弾する。
痛みにひるんだら、その時点で負ける。
それだけを頭に康治は痛みに耐えつつ『ATTACK BULLET』を相手の顔面へ放ち、さらに飛びつくように相手との距離を詰める。
相手は驚くことなく冷静に次の弾丸を放つ。今度は『ATTACK BULLET』とは違う、別の競技用弾だ。
『GUARD BULLET』という防御用の弾丸で、効果範囲が狭く持続時間も短いが『ATTACK BULLET』を防ぐことができる。
ただ弾倉にあらかじめセットしておかなければならないので、使いどころが難しい弾である。
顔面に飛んできた弾を『GUARD BULLET』で防いだ相手だったが、この弾丸で防げるのは痛みだけで、派手な赤色のエフェクトは相手の目の前に現れ、視界を遮る。
すかさず康治のトリガー連打。
放った十発中八発を相手の体にヒットさせ、危なげなく次の試合へ進むことになった。
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