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RAIN BULLET  作者: Nicholas
11/12

十一話

出来立て(以下略


8/17誤字訂正行いました

女性研究員の連絡を聞いて、康治と江達はすぐに問題の研究室へ向かった。


「福西君、これは僕の管理ミスだ。本当に申し訳無いと思っている。」


「今更のことで謝られても困ります。これが研究員の暴走だというなら、今は取り返すことが先決でしょう?」


今の康治の言葉には、仕組まれたことなら許さないという意味が隠されている。


「その通りだ。だが万が一のことも考えておいてくれ。」


万が一のこと。つまりは研究員がそのままトリガーを引いて康治が消滅する、という康治にとって最悪の結末である。


「あの部屋ですね?」


研究室に辿りつくとそこでは既にロック解除を諦め、物理的にこじ開けようとする男声研究員達の姿があった。



「研究室の扉には災害時のために、破壊できる機構があるはずだろう?」


江達が周りの研究員たちに尋ねたが皆首を横に振る。


「河出があらかじめ取り替えておいたらしい。たぶん最初から考えられた計画なんだろう。」


江達は一層心を痛めたような顔をして、次に何かを決心したようだ。


「掛けられる時間はもう無い。みんな離れてくれ、僕の砲撃で壊そう。」



さっと一瞬の間に、それまで作業をしていた人たちが江達の後ろへ隠れた。



江達は誰も近づかないのを確認して、自分の拳銃を構える。


トリガーを引いた所までを康治は視認したが、その後は目を瞑ってしまった。



康治が周りの研究員に習って耳を塞いだのは正解だっただろう。



「大会で同じような劣化弾を使っている選手がいましたね。」


「ああ、二回戦の君の対戦相手だったね。彼のよりも僕の弾丸の方が爆風に指向性を持たせられるんだよ?」


『EXPLODE BULLET』というらしい。効果は説明するまでもないだろう。



研究室に入った康治たちを迎えたのは、康治の拳銃に良く似た銃を構える男だった。


(遅かったってことだろう。あれが『ROOTS』規格に改造された俺の銃なのか。)


大きさこそ前と変わらないが、銃身に何か取り付けられている。


「いきなり爆発したから何かと思えば江達か。ったく、この銃が壊れたらどうすんだ。」


「君の勝手で事が進むくらいなら、壊れてくれた方がいっそ良かったよ。」


二人は睨み合い、お互いが本気であることを確認したようだ。


「河出、君はその銃をどうするつもりだ? 君の暴走で救われる世界なんて誰も望んじゃいないんだが。」


「そういや言ってなかったかもな。『FATE BULLET』の使い道は別に世界救済だけじゃねえ。」


河出は自分にだけ都合がいいように、報告を誤魔化していたのだ。


「どういうことだ?」


「こいつはなあ、究極の確率操作が出来るんだ。だから能力を使えば、自分にだけ最高の幸運を与えるくらい楽勝にできる。この訳の分からねぇ研究で潰された俺の人生を、前以上に幸福にできるってことだな。二年前は拉致ろうとして逃げられたが、今度は手に入れて見せたぜ。」


「馬鹿かお前は!その一発に一人の命が懸かってるんだぞ! それに世界はどうするんだ!」


江達はこれまで見せたことのない剣幕で、河出に迫った。


「おっと、近づくな? 今すぐにトリガーを引いちまうぞ。しっかり願いをイメージせんといかんのでな、まだ引きたくはない。世界、世界ねぇ? どうでもいいとは思わないぜ? でも候補はもう一人いるじゃねぇか。なら一発くらい良いだろう。こっちは世界のため、研究に生きてきたんだぜ? 旨みの一つもくれよ。」


河出はそれを当然だと言わんばかりに主張した。


「警告だ、その銃を床に置け。でなければお前を撃つ。」


「逆だな。お前らが全員、武器を捨てろ。そうすれば願い事の一部に入れてやるよ。世界が滅んでも生きていけるかもしれないぜ?」


康治は研究員がざわめき、迷うかと思ったのだが、誰も河出の言葉を信じなかった。


「はぁ… 馬鹿な奴らだな。世界滅亡だって怪しい話なのに。いいよ、俺だけ幸せってのを享受することにしよう。」


河出が引き金にかける指に力を入れ始め、江達も同じく引き金を引こうとする。



この状況で康治が生きる道は残されていたのか、それは分からない。


それでも、この時点で康治は死を覚悟していた。


(次の瞬間には河出か俺か、その両方かが死ぬ訳だ。)


康治はあっさりと訪れた命の終わりに恐怖した。























だが、事実は違う。この時に誰が死ぬことも無かった。













「な、なんでジャムるんだよ!?」


「急仕上げだったから、俺の『LUCK BULLET』の効きが良かったんだろうな。」


河出の右手から康治の銃を奪い取る、菅良の姿が有った。

まだ続きます。(ってもうぎりぎりだなぁ;)


頑張ります(・ω・)

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