虎党転生
俺は熱狂的なG党…30歳という若さで読売巨人軍私設応援団団長を任せられていた。
ある東京ドームホーム戦の試合の帰り道、信号無視をしたトラックに跳ねられ俺の短い人生は終わった…
はずだった…
目を覚ました俺は熱狂的虎党…私設応援団の息子として転生していた。
前世の記憶を持ちながら虎党の英才教育を受ける転生ファンタジー
ー 虎党転生 ー
読売に魂を捧げた男。
だが次に目覚めた時、彼は“虎”だった。
「かっとばせー!キャベッジ!!」
2026年5月8日…東京ドームを揺らす大歓声。
オレンジタオルが波のように揺れる中、俺は声を張り上げていた。
俺の名前は黒崎 恒一、30歳。
熱狂的G党。
そして史上最年少読売巨人軍私設応援団団長。
人生の全てを巨人に捧げてきた。
仕事より応援、恋愛より応援、貯金より遠征。
「応援とは生き様だ」が口癖で、年間観戦数は百試合を超える。
その日も東京ドームでのホーム戦を終え、勝利の余韻に浸っていた。
「ハハハ!最高!!今日は祝杯だな!」
仲間たちと笑いながら横断歩道へ足を踏み出した……
その瞬間。
クラクション。
眩しいライトが俺を包み込む。
「え――!」
信号無視の大型トラックが、俺を轢いた。
………。
…………………。
1993年…
「オギャアアアア!!」
気づけば俺は泣いていた。
いや、赤ん坊として。
「よう泣く子やなぁ!」
聞こえる関西弁。
壁には無数の阪神グッズ。
六甲おろしのオルゴール。
虎柄のベビー服。
そして目の前には、法被を着た強面の男。
「将来は立派な虎党や!英才教育やでぇ!」
……嫌な予感がした。
数年後、その予感は確信へ変わる。
「こら虎吉!“あと一球”のコール声小さいぞ!!」
「はい親父!」
「“くたばれ読売”は魂込めんかい!!」
「…はい」
俺は阪神タイガース私設応援団『猛虎烈震会』団長の息子 虎崎 虎吉として転生していた。
しかも前世の記憶持ち。
つまり俺は、
“巨人を愛しすぎた男”なのに、
“阪神を愛さねば生きていけない環境”へ放り込まれたのである。
幼稚園の頃には六甲おろしを完唱。
小学生で応援太鼓を習得。
中学では甲子園ライトスタンド最前列デビュー。
そして高校生になる頃には――
「虎!!今日の読売戦、気合入っとるか!?」
「親父!もちろんや!」
気づけば俺は誰よりも大声で、
「読売倒せーーーッ!!」
と叫んでいた。
……おかしい。
前世では阿部慎之助のユニフォームで泣いていた俺が。
気づけば阪神のサヨナラ勝ちで号泣している。
人間は環境には逆らえない。
しかし俺には秘密があった。
前世の記憶。
つまり未来の名選手、ドラフト、優勝年、暗黒期回避。
全てを知っている。
そして…2013年…俺は20歳になり史上最年少で
私設応援団『猛虎烈震会』団長へと昇りつめた。
タイガース球団関係者との強いパイプもできそこそこの発言力も持っていた。
「来年のドラフト会議…岡本和真は阪神がいただく…」
虎党知識とG党知識を融合した俺は、
やがて阪神球団すら動かしていくことになる。
これは巨人を愛した男が阪神ファンに転生し、
やがて“真の虎党”へ変わっていく物語。
そして宿命のライバル・読売巨人軍との、
愛と因縁の転生戦記である。
多分続く…




