検索汚染 :約1000文字 :会話形式
「……ちっ、またや」
「ん? なんや、どしたん」
「また“検索汚染”や」
「検索汚染? なんそれ?」
「なんや、知らんのか。芸人がな、わざと既存の単語をコンビ名に使うて、検索結果に割り込んでくるやつや」
「あー。それがどしたん? 別にええやん」
「うっとおしいやろ。ええか? たとえばやな……ほら、これ。『くりーむちーず』で検索かけたら、こいつらが最初のほうに出てくるんや」
「いや、カタカナで検索かけたらええやん」
「……まあ、こらぁ例えが悪かったわ。ああ、ほら、これ見てみ。『ロサンゼルス』で検索したら、画像一覧の中に、このコンビの宣材写真がドンや。キメ顔で、ごっつイラッとくるで」
「あー、まあなあ。気持ちはわからんでもあれへんけど、二、三枚やろ? ほとんどほんまもんのロサンゼルスの写真やし、そんな目くじら立てんでもええやん」
「そら、おれも本気で怒っとるわけちゃうわ。ただ、うっとうしいって話してんねん。ほらこれ。映画のタイトルで検索したら、こいつらが便乗して出てきよる。しかも、また宣材写真や。なんやねんほんま」
「名前売りたいんやろ。ええやん。野心は大事やで」
「いやあ、品がないっちゅーか、自己主張強いっちゅーか……。ほら、偉人の名前検索したら、こいつら出てきよった。厚かましいんじゃ。スキャンダル起こしたくせに」
「どれもそんなしょっちゅう検索するもんでもないやろ。大目に見たれや」
「食いもん系は特に多いわ。食欲なくすで、ほんま。こんなん『ゲボ』で十分や。ゲボ太郎に改名せんかい!」
「そんなコンビ名やったら、誰も笑われへんやろ」
「芸人だけちゃうぞ。ゲームやらアニメキャラなんか特にひどいわ。武将が女の子にされとるで。織田さんも浮かばれへんわ」
「知り合いみたいに……って、見惚れとるやないか!」
「あほっ、声でかいわ!」
「あっ」
「319番、225番。時間だ、立て」
「へい……」
「はい……」
「……ふー、お前のせいで危ないとこやったわ。声張り上げよって」
「あほ言え。こっちはお前のせいで全然検索できへんかったわ。パソコン使えるん、週に一回なんやぞ。それもたった五分や」
「おまけに、使えるん画像検索だけやし、どんなワード入れたか、あとで全部チェックされるしなあ」
「不適切やと判断されたら、一生使用禁止や。はあ……クリームシチュー食いたいわ。ニューヨークにもいっぺん行ってみたいし、アンタッチャブルもまた観たいわ……仮釈放通らんかな……ん? おい、聞いとるか?」
「信長ちゃん……へへへ」
「なんや、“オカズ”はしっかり見つけとったみたいやな」




