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僕の隣の主人公  作者: フロストマン


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プロローグ・白

 その日、()()()()()()の高校生である鈴木白すずきしろはいつもと変わらず落ち着いた気持ちで見慣れた道を歩いていた。

 家から徒歩圏内で、三人の兄も卒業した学校であり、しかもその通学路は飼い犬の散歩コースと重なっているとあっては、新鮮さを覚えないのも無理はなかった。

 微かな期待と共に成長を見込んで準備した制服は若干大きく、その貧相な身体に春の空気が隙間風となってまとわりつく。

 白は極めて小柄だった。150センチにも満たない。さらにかなりのくせ毛で、頭が実際以上に大きく見え、頭身も下がって見える。

 マッチ棒なんて不名誉なあだ名がついたこともかつてあった。


 そんな白は人通りのすくない神社を経由して学校へと向かう。

 地元民であり、かつ兄たちが卒業生ゆえに知っている裏道だ。日が経つに連れこの通学路から外れた道も、上級生に交じって新入生も利用するだろうが、入学式当日に新品の制服姿で歩いているのは白のぼんやりと足を運ぶ姿だけ。


 小さな雑木林を抜け、粗末な石段を下りるとこれから毎日通うこととなる高校の校舎が目の前に現れる。

 目当ての裏門につながる道を抜け、入学式の今日は果たして開いているのかな、などと考えに耽りながら角を曲がると、前方から鈍い足音が聞こえてきた。


「ぶっひょーー、ど、どいてくれええい!」


 えらく肥満体の男が鼻息と唾をはきだしながら勢いよく駆けてきた。

 

 白はどいた。

 

 なんだか生暖かい風をなびかせ、体格に似合わない速度でその肥満男は走り抜ける。その際に感じた、鼻の奥を突く、男の独特な体臭に顔を歪ませ、入学初日からこれか、と露骨に白のテンションがさがる。

 

 それでも唯一の救いは小さな裏門が解放されていたことだった。

 その門の目の前で立ち止まると周りを見渡し、誰もいないことを確かめると、なんとなく一足飛びにジャンプし、高校の敷地へと両足をそろえて一気に着地したした。


 その十分後、サイレンをけたたましく鳴らしながら消防車が次々に敷地内へと入ってきたのだった。



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