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第十五話 ベニード司教

翌朝、ガーゴイル団の拠点を『護衛対象』が訪れた。


四十代半ばくらいと思しき男だ。

『思しき』というのは顔の下半分が髭におおわれているからに他ならない。


ラヌ教の法衣を纏っているので、辛うじて、ギリギリ聖職者だと分かるが、その法衣自体も薄汚れていて、物乞いのようにも見える。


だが健康的に日焼けした顔にがっしりとした体躯は、見るものが見れば、明らかに鍛えこんでいるそれだと分かる。


「ベニードと申します。よろしくお願いしますね」


目もとに人懐っこい笑顔を浮かべて、ベニード司教はルシアンの手を力強く握った。

力強く大きな手のひらは、一瞬だけ、父ファーガスを想起させた。


「はじめまして、ルシアンです。ネロス領、公都モルデンの『ラヌ大聖堂』まで、責任を持ってお送りします」

胸に手をあて、儀礼的な挨拶をする。


「いやいや、そんなに堅苦しくしなくていいですよ。それにしてもお若いですね。お幾つでしょうか?」


「十五歳、間もなく十六歳になります。頼りなく感じるかもしれませんが、最善を尽くしますので……」


「ああ、失礼しました。別に貴方の、ルシアンさんの技量に不安を感じているわけではありませんので。こんな汚い坊主との旅は面白くないでしょうが、よろしくお願いいたします。」


そういうと、ベニードも丁寧に頭を下げた。


「出発前にお伺いしてもよいでしょうか」

ルシアンは疑問に思っていたことを口にした。


「はい、なんでしょう?」


「ネロス領の公都モルデンまで、乗合馬車が出ています。決して安くはありませんが、今回の護衛を雇う金額で十分な賃料になると思います。護衛を雇ってまで徒歩で行く理由はなんでしょうか?」


「ああ、確かに疑問に思われるのも当然です。今回の依頼で、かつてネロス領の中心だった『廃都グランツ』に立ち寄ることは伝わっていますか?」


「はい、聞いています」


「まず、乗合馬車で捨てられた都、廃都グランツに行ってくれる便はさすがにありません。まあ、それでも公都手前まで馬車で行って、途中下車する方が時間は短縮できますが……」


「廃都が野盗やモンスターの根城になっている可能性もあるから、でしょうか?」


「ご明察です。廃都グランツにあるラヌ教の聖堂、勿論もう使われていませんが、そこで回収するものがあります。恐らく、私独りでは相当に厳しい。」


「回収するものですか、うかがっても?」


「神ラヌの眷属である『土の大精霊ランド』を象った『特別な像』です。私はそれを持って公都モルデンの大聖堂に行く必要があるのですよ」


「そんな特別な像が、まだ廃都にあるのですか?」


「恐らく大丈夫です。金銭的な価値があるものではありませんし、聖遺物の一種ですので、特別な祈りを知らぬ者では持ち出せません。そして一般の信徒では、その価値や意味は分かりませんから。それでは、出発しましょうか。日が高くなる前に、少しでも距離を稼ぎたいので」


ネロス公爵が治めるネロス領は、イングラス王国の東部に位置し、王国中央にあるサルタニアから見て三時の方角にある。


時刻が十時を回った頃、二人はネロス領の公都モルデンに向けて二人はサルタニアの東門をくぐった。


――――――――――


サルタニアを出発して最初の数日は、順調だった。


ベニード司教は出会った時の印象通りに鍛えこまれており、旅慣れた傭兵の歩速に苦も無くついてきた。

聞けば、ラヌ教のモンク(僧兵)として、『それなりの立場』についていたらしい。


街道をひたすら歩き、日が暮れたら野営する。


ルシアンはこの二ヶ月の間、団の鍛錬以外でも、時間があれば剣を振って自身の身体を追い込んでいた。先の護衛依頼で自分自身の無力さを痛感したこと、そしてクレアという高い目標ができたからに他ならない。


その自主鍛錬はベニード司教の護衛任務の道中でも休むことなく続けていた。


日の出と共に剣を振るう。幼い頃に父に教わった騎士の剣術の型をなぞり、その後は仮想の相手をイメージして剣を振るう。ここ何日か、ルシアンがイメージする対戦相手は、先日殺されかけた盗賊団の副頭目だ。


剣速、膂力、全て相手が上だった。一振りごとに自分の命が削られていく感覚があった。

完全な格上、魔眼がなければ直ぐに殺されていた相手。そして、クレアが割り込まなければ殺されていた相手だ。


彼と同格の相手と対峙した時、次は後れをとりたくない。

その一心で剣を振った。


そして夜、日が落ちてからは、ベニードと交互に夜番をしながら、自分の『魔眼』について考える時間が増えた。


自分の命を脅かすものが赤く見える魔眼。

危険性、脅威の度合が高いほどより濃い赤で見える。


その理解は恐らく間違っていない。

その前提が違っていたら、とうに死んでいたはずだからだ。

ただし、それだけではないと感じていた。


まず、クレアの存在だ。

彼女の存在は闘技場で『敵』として出会った時を除き、ふとした時に『緋色』に光って見える事があった。黄金が混じったような鮮やかな赤。危険を知らせる血のような赤とは異なる色だ。


クレアに命を救われてなお、そう見える事があった為、緋色は死の暗示とは異なるものだと考える事にした。


全く違う意味合いを教えてくれるなら、赤と同系統の色ではなく、青や緑などの全く別の色にしてくれれば良いのに、と魔眼に対して若干の不満を覚えもしたが世の中がカラフルに見えすぎても困る。その程度は我慢すべきだろうと思いなおした。


そしてもう一つ、勝手に発動するこの魔眼を自分の意志で使いこなせないかと考えていた。

少し先の未来の危険を見せてくれる、この力を自由に扱えればと考えたのだが・・。


「魔力とかマナとか全くわからないしな……」

ルシアンは剣を磨きながら呟いた。


「おや、ルシアンさんは魔法に興味が?」

思わずこぼれた独り言に答える声。

天幕で横になっていたはずのベニードはまだ起きていたらしい。


「ベニード司教、すみません声に出てしまって」


「いえ、構いませんよ。今日は星が美しいので空を眺めながら軽く一杯飲みたくなったのですよ」そう言うと、腰に下げている革袋をあおった。中身は安物の葡萄酒らしい。


ベニードは意外なほど料理が上手かった。 同じ干し肉とくず野菜を煮込んだスープでも、道すがら摘んだ野草と一緒に煮込むと不思議と深い味わいが出る。そして、驚くほどの酒飲みだった。うわばみ、あるいは酒豪というやつだろう。彼の荷物の半分以上は葡萄酒の革袋ではないかと疑っている。


「ほんの数日しか見ていませんが、ルシアンさんは、本当によく鍛錬しますね。それに闇雲に剣を振るのではなく、実戦を想定した理にかなった動きだ。お若いのに大したものです」


「ありがとうございます。最近、自分の弱さを痛感することが多くて、出来るだけのことはしたいと思ってるだけなんです。ベニード司教はモンクだったと聞いていますが、剣の心得も?」


モンク(僧兵)は徒手空拳のプロフェッショナルだ。

剣筋を評価されたのが意外だった。


「ええ、もともと田舎貴族の次男でしたので、貴族の嗜みとして剣は振っていました。ただ、次男ということもあって出家しましてね。こちらを鍛えたのはラヌ教のモンクになってからです」


言いながら、真っすぐに拳を突き出す。

一瞬、拳が巨大化したように見え、遅れて風圧が静かに顔を叩いた。


「すごい……」


「私も武の道を長く歩んでいましたので、ルシアンさんがどれだけ真剣に鍛錬なさっているのか分かるつもりです。私の方はすっかり怠け癖がついてしまいましたが」


そういって、愉快そうに笑いながら葡萄酒をあおった。


「それで、剣だけではなく、魔術にもご興味が?」

改めてベニードがルシアンに問いかける。


「……はい、学びたいと思っています」


「なるほど、何か事情がおありのようだ。私が分かる範囲でよければお教えしましょうか……。総じて言えば、魔術とは神の御業を人が真似て、再現しようとして発展してきました。これは私が僧侶であることを抜きにして全ての魔術を使う者にとって事実です」


ベニードは、自分が神に使える司教であるという立場から、『いたずらに神の偉大さを喧伝している』と思われたくなかったのだろう。客観的な事実であると前置きをした。


「ルシアンさんは、ご自身がもっとも強く共鳴する神をご存知ですか?」


「はい、知っています。すみません……神ラヌではないのですが」


「ははは、構いませんよ。人は産まれながらにいずれかの一柱の神と強い繋がりをもっています。どの神と繋がりを持つかはその人の出生や出自にもっとも影響を受けるといいますが、例外もあり、詳しくは分かりません。信徒の身でこのようなことを言うべきではないかもしれませんが、ラヌ教の信徒であっても、一番強く繋がる神が『神ラヌ』ではない者もおります」


「神ラヌの信徒なのに、神ラヌが一番ではない方がいらっしゃるのは正直、意外です」


信仰とどの神と共鳴するかは別なのだそうだ。


「幸いというべきか、私が最も強く共鳴するのは神ラヌですが、例えば『ヒーリング(回復の魔術)』を行使するときは『生と死の女神シーナ』の御力を人界で再現しています。つまり、最も共鳴する神はあれど、他の神の御力をお借りできない訳ではないということです」


「なるほど……」


「傭兵であれば、戦の神メイスと共鳴し、自身の身体能力を底上げできる方が多いかと思います。詠唱こそしませんが、あれも一種の魔術です。ご覧になったことは?」


「あります。通常ではあり得ない力を発揮するところを何度も見せつけられました」


ベニードが葡萄酒を一口含んでから口を開いた。

「私も、神メイスの力をお借りして、多少身体能力を強化することができますが、私が最も共鳴できるのは神ラヌです。神メイスと最も共鳴できる者、つまり加護を受ける事が出来る者に比べると三分の一以下でしょう」


「ヒーリングの魔術も、身体強化も、ファイアボール(火球)も、全て神と共鳴して、神の力を再現しているってことですか?」


「概ねその理解であっています。その上で魔術とは・・ですが、この人の世界は、我が神である『創造と破壊の男神ラヌ』とその伴侶である『時の女神ナイア』、この二柱の神が創りたもうたと言われています。神ラヌと神ナイアが『創生神』と呼ばれる所以です。そして魔術を行使する際に動く『マナ』は二柱の神々が世界をお創りになった時に零れ落ちた力の残滓と言われています」


「あの……マナって何でしょうか?魔力とは違うのですか?」


「そうですねぇ・・マナは魔術の元になる力で、それ自体はどこにでもあります。魔術の材料とでもいいましょうか。魔力はマナを貯めておくための器のようなものです。そして、その器の大きさは人によって違います。その器が大きく、マナを多く貯められる人ほど魔力量が多く、単純に考えると多くの魔術を行使できます。ただ・・」


「ただ?」


「魔力量が多い事と、魔術の効果や威力は比例しません。どれだけ神と共鳴できるかが重要です。また人の知恵とは凄いもので、詠唱や魔術式を使ってその効果を底上げする事もできます」


「なるほど……全部ではありませんが、少し分かったような気がします」


「それは重畳。それで、ルシアンさんは魔術を使えるようになりたいのですか?」


「いえ、魔術師になりたい訳ではないのですが……」


自分の魔眼の事を話しても大丈夫だろうか。

ベニードは他言しないだろうか。


逡巡したが、魔術について聞ける相手はそうそういない。

この機会を逃してはいけないようにも思えた。


「俺、魔眼持ちなんです」


「ほう・・それは珍しい」

ベニードは驚いたように目を見開いた。


「私も幾人か『魔眼持ち』に出会ったことはありますが、片手で数えられるほどです。どんな力か聞いても?」


「近い未来に迫る、自分の命の危機を知らせてくれる・・力です」


「命の危機を?初めて聞く力ですね」


ふむ、といいながら髭をなでる。


「ルシアンさん……あなたが最も共鳴する神は、『運命を司る神チェルダロ』ですか?」


「はい、何故わかったのですか?」


「命の危機、その分岐を教えてくれるのは正に『運命の神』の御業のように思えましたので……。もう少し正直に言えば、消去法です。我が神ラヌではない、神ナイアや神サルタン、神メイス、神ノウラでもない。可能性があるとすれば生と死の女神シーナか、運命の神チェルダロくらいかと思いまして」


そう答えるベニードの表情に、一瞬影が差したように感じた。


「そんな力をもった魔眼も初めて聞きましたが、神チェルダロの加護を受ける方はロス公爵領が廃領になって以来ほとんど会わなくなりました・・っとあまり詮索をするものではありませんね。それでその魔眼のことで何か悩んでいるのですか?」


「はい、魔眼持ちになった理由は話せませんが、この左目のおかげで生き延びてこられました。大きな危険に出会ったら逃げればよかったので……」


「ふむ、危険から逃げるだけでは不十分になったという事でしょうか?」


「っ・・!お察しの通りです。さきほど、『自分の弱さを痛感した』といいましたが、死の危険があっても逃げられない戦いがあることを知ったといいますか……」


(察しのよい人だ)

ルシアンは内心で舌をまいた。


「一般的な話をしましょう。魔眼持ちは非常に少ないとはいえ、全くいないわけではありません。千里万里を見通す『遠視の魔眼』や、魔力の流れを見る『魔視の魔眼』、邪法には相手を呪う魔眼……いや『邪眼』もあるそうです。それらは、自らの魔眼にマナを集める事で発揮されます。でもルシアンさんのものは違いますね」


「よく、お分かりになりますね。私の魔眼は危険を勝手に教えてくれるんです」


「はっはっは、大した事ではありません。危険を目の前にしてから魔眼を発動していては逃げられない事も多いでしょう。命の危機が見えるという力が本当なら・・・常に開いている、常時発動している魔眼なのだろうと思っただけです」


「……先ほど一般的な魔眼は自分の意思で使うとききました。私もそれが出来るようにならないかな、と思いまして」


「魔眼を閉じたいという事ですか?」


「幼いころは、こんな眼はいらないと思った事が何度もありました。赤く光るものに怯えてばかりでしたから。でもこの魔眼のおかげで今日まで命を繋いできましたから、この力はそのままで、もっとコントロールできるようになりたいなと思いまして」


「ほう、具体的には?」


「これからも、逃げられない戦いに身をおく事があると思います。そんな時、もっと戦いでつかえるような力に出来たらいいなと考えているんですが……」


ルシアンは自分の理想とする魔眼のイメージを考える。


「例えば、今は受けたら致命傷になるような相手の攻撃は『赤い軌跡』として見えるんです。それって少し先の未来が見えているって事なので、相手や周囲の少し先のこと、全てが意識して見えるようにならないかなと」


「ほんの僅か先とはいえ『未来視』というやつですね。対象を死の危険だけではなく、全体に拡張したいという事ですね。それができれば確かに心強い」


「あともう一つ、自分だけではなく、守りたい人に迫る危険も見えるようにならないかと考えていました」


「ふむ……」

ベニードはあご髭をなでながら押し黙った。


不意に、ルシアンの眼前に拳の形をした深紅の危険が迫る!


「うわっ!」


後転するように飛んできた拳を躱すと直ぐに剣を構えて立ち上がる。


「ベニード司教、何をなさるんですか!?」

怒気をはらんだルシアンの問いにベニードは笑顔で答えた。


「いやはや、すごい……本当にすごい。そして失礼いたしました。少し試させていただきました」


「試し?ですか」


「はい、もうしませんから警戒を解いてください。もう危険は見えないでしょう?」

深々と頭をさげて、ニコリと笑った。


「まず、条件付きとはいえ、未来が見えるなんて魔眼は半分神の領域です。そして常時開いている、つまりマナを消費し続けている魔眼というものもにわかに信じがたかったんですよ」


「神の領域……。信じがたいってどういうことですか?」


「我が神ラヌの伴侶である『時の女神ナイア』の信徒には、『過去視の魔眼』を持つものがいると聞いたことがあります。ただ、未確定の未来を観るとなれば話が別です。あとは常に魔眼を開いていて、マナを消費し続けて平然としているルシアンさんの魔力量が想像できません。ですので、試させていただきました」

そう言うと、もう一度頭を下げた。


「俺の魔力量は多いのでしょうか?」


「分かりません。私にはマナの流れを視る魔視の力はないので全部推測です」


そういうと愉快そうにベニードが笑った。


「そして、これまでの話を踏まえて、ルシアンさんの考えている事は、魔眼を進化させることですね。未来視の能力を能動的に発動したい、そして自分以外の者に迫る危機も感知できるようになりたいと」


「はい、その通りです!できるでしょうか?」


「分かりません」


「へ?」

我ながら間抜けな声を出してしまったと思うが仕方ない。


ベニード司教は神ラヌや神メイスと共鳴し魔術を行使できるという。

であればそのヒントくらいは聴けるのではないかと思ったのだ。


「ルシアンさんの魔眼は詠唱をするわけでもありませんからね。あえて言えば、神チェルダロと、より強く共鳴する事で可能にするかもしれません」


「共鳴ですが」


「ええ。我々が神に祈り、その力をお借りするのとも違います。ルシアンさんの場合は魔術というよりも、もっと根源的な、『神の御業』に近いというのが私の考えです。これは私の勝手な推測ですが」


さて…と呟くとベニードは地図を広げた。

「さて、明日は少し寄り道をさせていただきます。出立の時にお話しした廃都グランツに立ち寄らせていただきます」


「廃都……聞いたことはありますが、どんな場所なんですか」


「ネロス領の廃都グランツはネロス領の公都でした。数十年前に疫病・・死病が流行り、現在の公都モルデンに移りました。今では気の毒なアンデッドの巣窟になっていると聞きます」


俺は眉をひそめた。アンデッドは厄介な相手だ。物理攻撃が通じにくく、神聖魔法か魔術が付与された武器でなければ完全に倒す事が難しい。


「危険なんですね?」


「ええ、今回護衛をお願いした一番の理由が廃都グランツにあります」


それに・・・とベニードは悪戯っぽく笑った。

「ただ、もしかすると、あなたの魔眼を進化させるヒントにもなるかもしれません」


「ヒントですか?」


「はい、その前に冷えてきましたね。お茶でもいれましょう」

手慣れた手つきで茶葉をいれた鍋を焚火にかける。


「いえね、突き詰めて考えると、ルシアンさんの魔眼を進化させるとしたら『戦いの中』でしかないと思うのですよ」


「戦いの中で・・ですか」


「ええ、仮に未来視と呼びますが、その能力を『命の危険以外にも使えるようにすること』と、『自分以外の者の危険も見えるようにすること』、どちらも戦いの中でこそ成長する気がします。まあ、実際にやってみないと分かりませんがね。さあ、明日は早いので、お茶を飲んでそろそろ休みましょう」


自分の魔眼が一般的なものと違うこと。そしてそれは戦いの中でこそ次のステージにいくかもしれないというベニードの推測。


(魔眼の進化か……司教のおかげで、ぼんやりとしていたものの輪郭が見えた気がする)


「できるといいな」


少しぬるくなったお茶を飲みながら小さく呟いた。

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