第48話『欠片を繋ぐ線と、ポヨの見つけた隠し扉』
棚の欠片は相変わらず静かに並んでいた。
けれど今日は、ティアが棚をそっと拭いていると、いつもより模様がはっきり見えた。
「これ……昨日よりも線が濃くなってませんか?」
ティアは思わず声を漏らした。
ポヨはティアの肩の上から身を乗り出して覗き込む。
「ほんとだ! 昨日のぼくのノートと比べても、線が少し太くなってます!」
ティアは優しく笑った。
「じゃあ、ポヨが描いたから、欠片も恥ずかしくなくなったのかも」
「えっ? 欠片って恥ずかしがり屋なんですか?」
「ふふ、どうでしょうね」
モグは棚の下の段を整理していたが、ふいにじっと一点を見つめた。
ティアとポヨもつられて視線を落とす。
棚の台座、その石の合わせ目に、小さな細い隙間があった。
「モグさん、そこ、何かありますか?」
モグは無言で頷くと、石の隙間に指をかけた。
固い音がしたあと、そこが僅かに持ち上がる。
「……隠し扉?」
ティアは思わず息を飲んだ。
ポヨは目をきらきら輝かせて、その奥を覗き込んだ。
「なにがあるんでしょう! お宝ですか? それとももっと欠片ですか?」
モグがゆっくり石の台座を持ち上げると、その奥には暗い穴が続いていた。
ほんの少し、冷たい風が流れてくる。
ティアはそっと欠片のひとつを棚から取り上げ、胸に抱いた。
「……行ってみましょう。もしかしたら、この欠片の秘密ももっとわかるかもしれません」
ポヨはノートを抱きしめると、真剣な顔で言った。
「ぼく、ちゃんとここに描きますから! 何があっても忘れないように!」
ティアはそっと笑ってポヨの頭を撫で、モグは先に立って暗い穴の奥へと歩き出した。
石の道は細く、足元の砂利がかすかに音を立てる。
どこか遠くで水が滴る音がして、欠片を抱いたティアの胸が少し早く波打った。
やがてモグが足を止める。
そこには棚にあったものよりもっと大きな、ひとつの石版がぽつんと置かれていた。
模様は欠片たちと同じで、でもまだ全てがはっきりとは見えなかった。
「これが……」
ティアが手を伸ばすと、その石版はほんの少しだけ光を帯びた。
ポヨはノートを開き、真剣に線を写し取り始めた。
「これもぼくの地図に加えます!」
【第四十八日目:繋がり始めた線と、小さな隠し扉の先】
・欠片の模様は少しずつ濃くなり、棚の台座には隠し扉があった
・ティアとポヨ、そしてモグは暗い先へ進み、大きな石版を見つける
・その模様をポヨのノートはまた一つ繋げた




