第41話:雨の日の二階席と、モグが残した欠片
雨の日、カフェの二階席は少しだけ湿った匂いがした。
ティアは窓辺の席に座り、しとしと降る雨を見つめていた。
ポヨはカウンターで丸くなりながら、時々小さな寝息を立てる。
そこへモグが静かにやってきて、テーブルの端に何かを置いた。
それは小さな石の欠片だった。
ティアが不思議そうにそれを手に取ると、微かに温かかった。
「これ……モグさんが見つけたんですか?」
モグはゆっくり頷き、それからそっと二階席を見渡した。
この場所にはまだ知らない物語が眠っている気がした。
その石の欠片は、ただの石に見えて少し違った。
表面にはうっすらと線のようなものが走っていて、それは文字のようでもあった。
ティアはそれを胸に抱えるように持ち、窓の外の雨を見つめた。
「この石、いつか続きを探しませんか?」
ポヨは目を開けてにこっと笑い、短く「うん」と答えた。
モグも静かに、けれどはっきりと頷いた。
【第四十一日目:雨音の中に置かれた、小さな欠片】
・モグが二階席に置いた小さな石は、見えない物語の欠片
・ティアはその続きを探したいと思い、ポヨもそれに賛成した
・雨の日の静けさは、今日もまた少しだけ店の秘密を増やした
今日もまた、何気ないやり取りの中に、新しい小さな物語が生まれた。
それがやがてどこへ続いていくのかは、まだ誰も知らない。
◇あとがき
今回は雨の日の二階席と、モグが持ってきた小さな石の欠片を中心に描きました。
どんなに小さなものでも、それを大事に思える誰かがいるだけで物語は続いていくのだと改めて感じます。




