第33話『モグの夢と、図書館に現れた幻のページ』
ある夜、石の図書館でモグは長い間目を閉じていた。
ティアが心配してそっと声をかける。
「モグさん……眠ってるんですか?」
モグは目を開き、無言のまま棚の奥へ歩いていった。
そこには見たことのない石板が置かれていた。文字はうっすらと光を帯び、ページのように連なっていた。
「これ……モグさんの夢が作ったんじゃ……」
ポヨが小さな声で呟いた。
ティアはそっと微笑む。
「きっとそう。夢の続きを、こうして形にしたんですね」
それは幻のページ。誰にも読めるかはわからない。でもそこには確かに物語が生きていた。
ティアがそっと指で触れると、石板は微かに温かかった。
モグはその横に立ち、何も言わずに棚を整え続ける。
「……きっと、モグさん自身もまだ読めないんですね」
ポヨはぐるりと図書館を見回し、小さな声で言った。
「でもいいと思います。夢の中にしかない物語だって、ここに置いておけるんだから」
夜が更けると、図書館はさらに静かになった。
棚の奥から小さな光がぽつりぽつりと灯る。
それは幻のページに残るモグの夢――
まだ文字になりきれない、けれど確かにそこにある物語の光。
ティアはそれを見て、そっと息をついた。
「いつか読めるようになったら、そのときは私にも読ませてくださいね」
モグはゆっくりと、だが確かにうなずいた。
【第三十三日目:夢が生んだ幻のページと、灯る小さな光】
・石の図書館でモグの“夢が形作った”石板を発見
・まだ読めない文字たちは、物語になりきれずに輝くだけ
・ティアとポヨが静かに見守る中、モグはまた棚を整え続ける
今日もまた、この図書館の奥に誰かの夢がそっと置かれた。
それはまだ声にも文字にもなれない物語。
でもきっと、いつか語られる日が来る。
◇あとがき
今回はモグの“まだ言葉にならない夢”をそっと描きました。
誰にも説明できない想い、形にならない願い――
それもまた、いつかの物語の欠片です。
◇応援のお願い
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