私の母が何にも私に言ってくれなかったからこんな事になってしまったのよ!
”私の母が何にも私に言ってくれなかったからこんな事に
なってしまったのよ!”
母は私に”父親の事を何一つ話してくれなかった。”
私が産まれた時から、父親が居ない生活!
居ない父親の事を私が物心をついた時に母親に聞いた事があったが、
母は頑なに父親の事を私に何にも話してくれなかった。
それは25歳になった今も同じだ。
だから私は父親がどんな人なのかも分からない。
母親が私に父親の事を話したがらないのが分かった私はそれ以上、
もう母親に父親の事を聞かなくなった。
・・・ただ今でも私は、”父親の事は気になっている。”
父親の写真が家に一枚もなく、父親の事を知っている人も近くに
居なかった。
”唯一私が父親の事を知ってる事は、父親の血液型がB型だという事だけ。”
それ以外は何も知らない。
だからなのか? ”私の恋愛対象は、父親と同じぐらいの男性にしか
興味がなかった。”
同年代の男の子や10歳ぐらい年が上でも興味が私はないのだ。
だからどうしても、”不倫関係になる事が多かったと思う。”
何故母親は? 私に父親の事を何も話してくれないのか?
今、父親は再婚して自分の家庭を持っているのか?
私に父親は一度でも会いたいと想ってくれていたのか?
気になる事はたくさんあるけど、それも私は直接父親に会って話したい!
”何故、母親を捨てたのか? 何故、家族を捨てたのか?
私の事はどう想っていたのか?”
【私は、ただただ父親に会いたいのだ!】
*
・・・そんな時私は、一人の中年男性と出会う。
居酒屋のカウンター席で一人で私が飲んでいると?
その男性が私に声をかけてきたのだ。
『若いのに、女の子が一人で飲んでるの?』
『あぁ、はい、』
『ボクもここの居酒屋は一人でよく飲みに来るんだけど、
ココの料理って美味しんだよねぇ~』
『そうですよね、安いし美味しいし、最高です!』
『なんか気が合うねぇ~』
『確かに、全然気を遣わないし、、、すみません。』
『いやいや、ボクも君と一緒に居るとなんか落ち着くよ。』
『私もなんです、同じですね。』
『そうそうそれにね、ココのお酒で日本酒なんだけ美味しいお酒が
あるんだよね、銘柄は蘭というお酒!』
『飲みたいー!』
『じゃあ、二つ頼もうか。』
『うん!』
・・・何故か凄くこの男性と一緒にお酒を飲んでいると?
リラックスできるというか? 前から知ってる人みたいな変な感覚。
話も面白いし、凄く気が合うのが分かった。
だから”いつもの不倫関係に発展していったわ。”
水が流れて行くみたいに普通の流れでそうなってしまった。
『こんなオヤジと不倫って? 若いのにどうしてするの?』
『”私と不倫しておいて、そんな事言う? 奥さんにバレても知らないわよ。”』
『バレないよ、妻はボクに興味がないしな。』
『・・・えぇ!? そうなの、』
『熟年主婦って、まあ~そう言うもんだよ。』
『・・・ウチはそもそも父親が私が産まれた時から居なかったから
良く分かんないや。』
『そうなのか、変な事聞いたな、すまん。』
『別にいいよ、私は何にも父親の事を知らないし。』
『えぇ!? 父親の顔もか?』
『・・・ううん、母親が私になんにも父親の事を教えてくれないの。』
『でも知ってる事はあるだろう。』
『血液型ぐらいかな?』
『何型なの?』
『母親が言うには、父親はB型らしいわ。』
『ボクもB型だよ。』
『血液型なんて、殆ど情報がないのと一緒だよね。』
『”あぁ! お母さんの写真はある?”』
『えぇ!?』
『良かったら、見せてくれないか?』
『・・・別にいいけど、まさか? アナタが私の父親とか言わないわよね?』
『どうかな、それは君の母親の写真を見ないと分からないよ。』
『あぁ、あった! これが私の母よ。』
『・・・・・・』
『知ってるの?』
『知らない。』
『なーんだ! 驚かせないでよ!』
『”ごめんごめん、でもな、ボクは一つ上にボクとそっくりの兄がいて、』
『えぇ!?』
『・・・見た事があるんだ、君のお母さんの写真を兄が持っていた事を。』
『まさか? ”私のお父さん?”』
『そうかもしれないな。』
『会わせてくれる?』
『・・・ご、ごめん、無理だ!』
『なんで?』
『”去年、病気で死んだんだ。”』
『・・・そ、そうなんだ、』
『兄が君のお父さんか分からなくて済まない!』
『別にいいよ、期待してなかったし。』
『おい! でもボクなりに調べてみるよ。』
『別に本当にいいよ、』
『死ぬまで兄が住んでた家がまだあるから、一回行ってみるよ。』
『・・・ううん、』
・・・正直、期待してなかった。
でも彼にお兄さんの亡くなるまで住んでいた家に連れて行ってもらうと?
母と一緒に写ってる写真が何枚も部屋に飾ってあった。
間違いなく、彼のお兄さんが私の父親だと確信したわ!
こんな偶然ってあるんだ。
”私は彼にこの家の鍵を預かり、たまに一人でココに来て父親が撮った写真を
眺めるようになった。”
それにこの家には、母との想い出がたくさん残っているから。
そして私の赤ちゃんの時の写真も父親は持っていて、
大切に保管されていた。
父親は私や母親を心から愛してくれていた。
でも何故母親は? ”父親の事を私に隠していたのだろう?”
こんなに私や母を愛してくれていた父親を、、、。
それだけが今でも気になって仕方ないが、”既に母は亡くなっていて、
もう直接聞く事は出来ない。”
最後まで読んでいただいてありがとうございます。