表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星に願いを  作者: 青鯖
4/24

武器選定

次の授業は体力作りの授業だ。

「みなさん、体力作りの授業と聞いてあまり乗り気でない人もいると思います。人には得て不得手がありますから。まぁ、もちろん運動もしてもらいます。ですが、それが全てではなく先ほどのような簡単な魔法の継続や箒を扱う練習として乗馬なども体験してもらいます。なにしろ一年生の全体での目的は魔法に慣れる下準備ですから。まぁ、今日はその一歩目として自分の扱う武器の選定を行います。その前に武器の用途について学びましょう。我々は魔法士です。ではなぜ武器を握るのでしょうか?」

「はい、魔物を倒すためです。」

「セリーさん、ではなぜ武器を持つのでしょうか」

「それは、魔法が通じないから、です。」

「その通りです、セリーさん。まずは、魔物の定義をおさらいしましょう。魔物とは我々魔法士が魔法を使う際に漏れ出る、無駄な魔力が固まってできた害獣です。彼らは魔力から作られているので魔法が効かないのです。」

「でも武器だけでも倒せないですよね?」

「その通りです、プレッテさん。魔力とは魔法となる前の実態のないエネルギーです。なので実態のある物で攻撃をしても外見が傷つくだけで意味はありません。では、どうやって魔物を倒しているのか……」

「実態のある物とない物の融合です。」

「流石です、シオルくん。そうですね、簡単に例えるなら透明魔法ですね。透明魔法とは人工魔法の一つで、物体を透明にする魔法です。今回は盗賊としましょう。それを見破るためにはいくつか方法があります。その内最も簡単なものとして砂や水をかけるという方法がありますが、それをしたところで相手は倒せません。だから武器を使い倒す。雰囲気はそんな感じです。分からないところありましたか?なさそうですね。………ところでリトさん先程から顔色が悪いですが大丈夫ですか。体調が悪いなら休んでもらっても構いませんよ。」

「あ、えっと少し喉が乾いて」

「……言い忘れてましたが吸水は各々好きなタイミングでしてもらって構いませんので。すいません、リトさんもっと早くに気づくべきでした。」

「あ、いえ。」

そう言い、少し吸水の時間が設けられて授業を再開した。

「それではみなさん分かれて武器を見てください。と言いたいところですが、みなで同じ物を見ていたら効率が悪いので二人一組になりましょう。ダズくん、プレッテさん、セリーさんは三人で、クワイルくん、ゲニウスくん。リリィさん、シオルくん。リトさん、クレラゼくん。というペアでいきましょう。」

そう言われると、それぞれのグループに分かれた。

「リトさ〜んよろしく〜、クレラゼって読んで〜ね。」

「うん、よろしく私のこともリトでいいよ。」

「クレラゼさんは扱いたい武器とかあるんですか?」

「僕運動苦手だから〜あんまり動かないのがいいなぁ〜って思ってるんだ〜」

「じゃあ短剣とかがいいかもね」

「でもさぁ〜僕らって武器扱う必要ないからほとんど意味ないよね〜」

そう、武器を使って戦うのは基本的に七適性者だ。特異魔法は戦いに応用しにくく、サポートに回ることを推奨されている。私たちがペアになった理由もそういうものがあるのだろう。

「まぁ〜ゆっくり見て回ろ〜か」

それから一通り見て回った。

「……いやぁ〜短剣かっこよかったな〜。僕は短剣になりそ〜、リトはさぁ〜やっぱり弓にするの?」

弓は聖女の扱う武器の代表だ。実際治癒魔法との相性は抜群に良く、聖女になる治癒魔法士は大体が弓を手にするらしい。

「……わたしは弓にはしないかな」

「へぇ〜珍しいー。じゃあさぁ何にするの〜?」

「………………鎌にしようかなって。」

鎌とは弓と違い後方からの支援に向かず、治癒魔法との相性はお世辞にもいいと言えない。

「………やっぱり〜リト〜変なのぉ〜。」

笑っているけど笑っていないそんな表情をしたクレラゼがすごく怖くなった。嫌な予感がする。

「……ねぇ〜話変わるけどさ〜ぁ〜、どうしてさっきの時間手ぇ抜いたの?俺、最後まで板浮かせられるの二人って言ったよね。覚えてる〜?」

「うん、それがどうしたの?」

「へぇ、シラを切るんだ。それとも気付いてないの〜?……………あれさぁ僕と君のことだったんだよね〜。」

「……そんな買い被りすぎだよ。魔力が特別多いわけでもなければ、技術もない。そんな私なんかより、他の人の方が優秀だっただけじゃないかな。」

「………そうなのかなぁ〜。まぁ〜いいやぁ〜僕の予想が外れて〜ムカついただけだしぃ〜。でもゲニウスがすごい才能持ってるっぽい〜ことは分かったしぃ〜今日はこれで満足ぅ〜。あっそろそろ集合の時間だ。行こぉ〜リト〜。」

「……うん。」

その後それぞれが武器を決めて、ブラべ先生に提出した。


 その日の放課後校長室で二人の人物が会話をしていた。

「今年の新入生はどんな感じじゃ?」

「はい、今年の新入生は例年に比べてレベルが高いです。特にブラベ教授のクラスが平均的に魔力が高く素晴らしいです。その中でも、ジロールの末裔とソリタリィという名家の御令嬢の魔力量が頭一つ抜けています。また、ゲオルグ・グレースも一般の出自だと思えないほど魔力がたかいです。………これは将来に期待できますね。魔法士は少ない上に他の職業より死亡率が高いですから優秀な人材はとても嬉しいですね。」

「……そうであるな。しかし、これはまた」

「学校長何かございましたか?」

「いいやただ興味深い出自の生徒が多いと思っただけじゃよ」

「?……そうですか。みな特に気にするようなものではないかと……」

「ハハハ……お主もまだまだのようだ。……なにしろ来月の試験が楽しみじゃよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ