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星に願いを  作者: 青鯖
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出会い

「木に魔力が宿っている」

(魔力は人間にしかないはずなのに……)

私は試しに枝を一本折ってみる。すると宿っていた魔力は消える。人と同じだ。

「クロは今までここに居たんだよね」

「そうだよ。クロはここに居た。」

「今も?」

「?……今もだと思う」

私は折れた枝を再び見つめる。

「これはどうかな」

私は石を取ってみせた。

「うーーん、だめだと思うけど……リトが言うならやって見る!」

私は石を置いて様子を伺うが何も起こらない。

「うん、仕組みは分からないけど条件は分かった。今はないけどクロの依代にできそうな物を一つ思いついたよ。取り敢えず代用として、私の服を実態にしてみない?」

「服……?やったことないけどやって見る!」

すると、クロは私の服に吸収されていった。

「お姉ちゃん!すごいよ!すごいよ!なんでなんで!」

新たな実態を持ったことでクロのテンションが上がったのだろう。さっきから服が上下に動いているような気がする。

「取り敢えず上に戻ろう。出口まで案内してくれる?」

「クロちゃんに聞いてるの?ならその答えは分からない!」

私は彼女が何を言っているのか分からず、強く責めてしまいそうな声を殺す。

「どうしようか」

悩んでいると来た道から足跡が聞こえてくる。

「お姉ちゃん、誰か来る!」

(大木しかない部屋で隠れる場所がどこにもない。)

早く気付いたものの、どうしようかと体を持て余していたら一人の老人と目が合った。

「……これは驚いた先客がいるなんて」

私は警戒心を無くすことも隠すこともできず睨み続ける。その様子に狼狽える事なく老人は話し始める。

「安心せよ少女。お前を傷つける意思はない。」

私は、その言葉を信じることにしたが、彼の動向を黙って探る。彼はそんな私を無視して部屋の隅々を探り始めた。それから二十分くらいが経ってから彼はため息を吐く。

「はぁ……この木も何も無しか………。最初から何もないんじゃこの先心配だ。さて、外に出ようと思うが少女よ、ここから出る方法を知っているか?」

彼は私に話しかける。私は正直に自分の現状について話した。

「出る方法が分からなくて困っていたところなんです。」

「ふむ……出口はないのか。」

そう言って彼は何やらぶつぶつと独り言を呟き始めた。直後私に言葉を投げかける。

「少女よ。魔法は使えるか?なんでもいい、物体を一瞬浮かすでも」

私は疑問に思いながらもモノを動かす魔法を使ったが、失敗した。

「ごめんなさい使えないみたい」

「ふむ。やはりか。少女よ、良くない知らせだ。ここから出る方法がない。」

「どう言うことですか?」

「なぜか魔法が使えん。私の仲間への連絡もできん。出口も来た道を戻る以外ないようだがそれが消えている。」

「どうしましょうか。物理で押し切れるわけではないのは当然として、あなたの魔法が頼りの状況なので、魔法が使えない理由となることをなんとかしないとだめな感じですかね」

「と言っても魔法が使えないからな。辺りを捜索することもできん。やはり魔法は万能ではないな。まぁ、気長に待とう。私には仲間がいる。連絡をよこしてないから私を探してくれるはずだ。お前はどうだ?」

「私は……私にも連れがいます。最低でも今日中に顔を見せなければ捜索すると思います」

「ならば世間話でもしながら待とう。食料はあるか?ないなら私のを分けよう。」

それから私たちはお互いのことについて話し合った。

「少女よ。私はボシィ・ルゥ。ルゥと呼んでくれ。私は仲間と共に調べ物をしにこの島へ来た。ほらお前の番だ。」

雑に話題を振られて少し面倒くささを覚えるが、ルゥなりの不器用な優しさであることが分かったので話に乗ることにした。

「私はリト。名字はないからリトでいいよ。私は友達と遊んでたら迷子になっちゃって、歩いていたらここに着いたの。」

私が話し終えるとルゥがまた話し始めた。

「よろしくな、リト。私には家族がいてな、だが数年前全て失った。だからか子供を放って置けない性格なんだ。」

お前の家族はいるのかと聞きたげに、首で指されたので私は答える。

「私も家族がいたけど、数年前に唯一の人を失いました。私は望まれた子供ではなかったので昔から何かと警戒してしまうんです。あなた……ルゥにも冷たい態度をとってしまって申し訳ないと思っています。」

その後もいくつか話をした。好きな食べ物、今まで行ったことのある土地、歴史や文化、魔法についても少し話した。そうこうしている間に一時間ほど時間が経ち、変化が起きた。

「風が吹いている。風が吹いています、ルゥ!」

私は叫んだ。風が吹いている。それは外との繋がりを示すものだ。私とルゥは風を感じる方へと向かう。するとそこには見慣れた扉があった。

「家の扉だ……。ルゥこれは私の家の扉です!」

その言葉を信用したのか、賭けたのか分からないが、ルゥは静かに頷いて、扉の前に立つ。

「お前は危ないから下がっていなさい。」

ルゥはそう言ったが私は躊躇なくその扉を開ける。

「待てっ!」

お父さんがこっちを振り向き、笑顔で駆け寄ってくる。私は反射で腕を広げたがお父さんは私を通り過ぎ、嬉しそうに"ディアーナ"と言う。

確かに、そこは私の家の居間だった。だけど、そこには私の知らない世界が広がっていた。私の視界はすぐに暗闇に覆われた。

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