神殿
この島の神殿はそれほど大きくないが、この島には貴族のお城がない。なので、この島の象徴のようになっている。神殿に入り、シスターのような女性に声をかける。
「こんにちは、この募集を見て来たんですけど」
私は牧師さんから貰った紙を女性に見せた。
「では、案内します。ついて来て下さい。」
案内された部屋で待つように促された。出された紅茶を飲みながら人が来るのを待つ。こんこんとドアをノックする音に返事をすると、男が一人顔を覗かせた。
「お待たせしました。私は神父をさせていただいております。フィル・ホーリーと申します。この度は依頼を受けてくださり誠にありがとうございます。」
深々とお礼され、少し違和感を抱く。
(私は面談を受けに来ただけなのに)
「今回この島へ奉仕に来た理由としては次期神官候補への教育の一貫なのです。入って来なさい」
神父様は名前を呼ぶと見知った顔が入って来た。
「彼はルミナス・ホーリー。幼い頃から神殿で生活してきたんですよ。」
(なんでここにルミナスが?)
「君は………初めましてルミナスです。」
少し考え込んだあと初対面で、接して来た。私も彼に合わせて初対面のフリをした。
「リト・ホーリーです。お会いできててこうえいです。」
軽く挨拶を終えると二人は対面の席に座ると、神父が話を始める。
「依頼内容についてですが、彼……ルミナスの付き人をして欲しいのです。先程も少しお話ししましたが、これから一ヶ月彼には教育、もとい修行のようなものをしてもらうのです。そこで、全面的にサポートをしてもらいたいのです。その内容は様々で魔法力の向上。地理、歴史、戦術、といった知識面の向上。民と関わり俗世を知り、人情を育む。といったことです。私自身が彼の導き手になれると良いのですが、神殿にも事情がありまして、外部の優秀な方に依頼をしているのです」
懐中時計をチラリと見る。
「すいません。そろそろ奉仕活動に向かわねば。」
「フィル様私も向かいます!」
神父が立ちあがると、ルミナスもすぐに立ちあがろうとするが、それを止める。
「ルミナス様、あなたはリトさんと仲を深めて下さい。最低でも一月は共に過ごすことになるのですから。」
そう嗜められて、私たちは空間に二人となった。
「久しぶりだなリト…ここ君の故郷だったんだね」
「そうらしいです?」
「事件聞いたよ。魔法学校燃えたって、自分がいない時になんだか……」
「詳しいことは言わないけど、ドレアン先生の代理なんでしょ?」
「……ノーコメント」
「肯定だね」
ドレアン先生が学校からいなくなり、神格が剥奪され、神官の席が一つ空いた。その後釜としてルミナスは推薦され、プラムの少し前から魔法学校を一時中退することになり、それから彼には会えていなかった。
(だからといって、寂しさや、やるせなさがあるわけではない。)
「話弾まないよね、相変わらず」
「居心地良くない?」
「今日はここに泊まっていくのか?」
「ううん、家に帰るつもり」
「それは、毎日?」
「そうだけど?」
顎に手を当てて深く考える。それを私は深く考えもせず彼の綺麗な銀髪をみていた。




