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星に願いを  作者: 青鯖
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故郷

私の故郷は、北にある小さい孤島だ。その中でも森の奥にある一軒家が私の家だ。

「ただいま………お父さん」

「おう、帰ったかリト!」

扉を開けるとガタイの良い男が仁王立ちで待っていた。その男は私を軽々抱き抱えてハグをする。

「お父さん、お父さん。」

「どうした、そんなにはしゃいで」

「……….もういいよ」

私がそう言うと、お父さんは消えて、ペンダント型のロケットに変わった。

(はぁ、幻なんて存在しなければいいのに)

これは幻影の魔道具だ。物に対してプログラムを投入し、それに応じて効果が発動すると言ったものだ。今回は"私"が"家の扉を開ける"という動作をしたことでプログラムされた"お出迎え"をしたのだろう。このペンダントは父が死ぬ前に一人になる私を気にかけて私にくれた物。いわば遺品の一つだ。お父さんはお母さん……奥さんと子供を不慮の事故で亡くした後、外で泥ネズミのように過ごしていた私を育ててくれた。そんなお父さんも病気で去年亡くなった。ありがたいことに資金も残してくれて豊かな生活を送って、学校にも行けている。本当に良い人たちに拾われたものだ。

「さて…と市場に行って食品の買い出しと、短期での働き口を探さないと。」

気持ちを切り替えて外出の準備をして、ドアの部に手をかける。

「いってきます。」

誰もいない家にそう言って街に降りる。

「おう、気をつけて行ってこい。あと暗くなる前には帰ってこいよ。」


「相変わらず寒いなぁ」

ここは北側に位置する地域なので年中雪が降るような気候をしているためある程度着込んでもそれなりに寒い。でも街まで降りるとそんなことなどどうでも良くなるくらい暖かみが満ちている。

「こんにちは。あら、誰かと思ったらリトじゃないか?」

老婆が話しかけてくると、街が騒めいた。

「リト……だって」

「いつ帰って来たの……」

嫌な予感がした私はその場を立ち去ろうとしたが、いつの間にか人の塀が私の周りにできていた。唾を飲み込み、身構える。

「あんた……帰って来たらちゃんとそう言いなさいよ。ほら、うちの果物持って来な!」

「おい、うちの魚も持ってけよ、リトちゃん!」

一人また一人と私に食糧を分けてくれる。無事に食材の買い出しは終わったが、これらは全て無料でもらったもので、このままだと後味が悪い。そう思い、教会に行き募金でもしようかと考えた。教会にはいつもおじいちゃんの牧師さんがいるのだけど、今日は見当たらない。しばらく待っていると、扉が開く音がした。

「牧師さん」

私は明るい声で振り返る。すると、牧師さんも明るく返事をしてくれた。

「リト!戻っていたのか!」

私はこっちに戻って来てからの経緯を説明した。

「牧師さんはどこに行ってたんですか?」

「実は今、王都の神殿からお偉い様が来ていてね。それの対応に向かっていたんだ。」

「お偉い様?」

「えぇ。そう言えばあなたもホーリーでしたね。今、その方達が街に詳しい者を一人雇いたいと話されてました。賃金も弾むでしょうし、志願してみても良いかもしれません。」

そっと求人の用紙を受け取り、内容を読む。

(年齢十二歳以上、島の滞在が十年以上の者、時間は朝から夜まで、仕事内容は要人のサポート、給金は一日一ゴールド………)

私は最後の欄を見て、それはもう驚いた。一ゴールドあれば三ヶ月は何もしなくても最高級の暮らしができる。募集人数は一人で早い者からの受付と書いてあり、私は急いで教会を出た。

「牧師さんありがとう、それ孤児院に回して下さい。では…また顔出しますね」

私は神殿に向かった。

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