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再構築と新たなる絆

リアナとベンケイは続いてガルストンのところへテレポートで向かった。


そこは、町の酒場で、右腕の欠けたガルストンは、まるで中心人物のように皆と飲んでさわいでいた。


「ガルストン、生きてたのね」


「あったりまえだ、そっちも無事でよかった」


なんだか、女性がガルストンに会いに来たことに対して周囲は勘違いし盛り上がっている。ヒューヒューと声が聞こえる。


リアナがこれまでの経緯を説明するとガルストンが答えた。


「こっちもルゥとおんなじだ。正確には俺は戦力になってないが、まとめ役みたいになっててな。ここも反帝国連盟の一組織の町だ、経路が再構築して、状況が整うまで俺も動くのは難しい」


「そうなんだ。でも、なんだかすごいね」


「いや、生きるのに精いっぱいなだけだ、あと、襲ってこない魔物には手を出すなって皆には指示してある。霊獣の可能性が高いし、余計な戦闘だからな」


「凶暴な霊獣が霊界にいるって話だった気もするけど、違うのかな?」


「わからんが、積極的に襲ってくるのは魔獣って感じの奴らばかりだな。まぁ、昔話は歪曲もあるだろう」


ガルストンとその仲間たちはなんだか楽しそうにしていた。強く生きているようだ。と思ったら、ベンケイが力自慢として腕相撲大会を開いている。今のところ全勝のようだ。


「ほうれ、次はおらぬか?」


半ば呆れながらリアナは言う。


「ベンケイ、もう次いくわよ」


「うむ、しからば、皆また会おう」


そうして、次、マリーネのところに向かった。


#


マリーネは、どこかの宿を借りていたようでそこに出現した。ベットにだらしなく寝ていた。


「ちょっと!女性の部屋に男と一緒にいきなりテレポートしてくるんじゃないわよ」


「ごめん、どうしてもこうなっちゃって。でも、なんだか元気そうね」


「なに、あなたが私のこと心配してたの、フン、これでもカゲロウ団きっての忍者なんだから、侮らないでよね」


「別に侮ってないけど、皆集めているの、マリーネはこれそう?」


と、ニクスやルゥ、ガルストンなどの経緯もふくめて話した。


「へぇ、ルゥはああみえてすごそうだと思ってたけど、ははたくましいね。一番気になるのはニクスかな……ねぇ、残ってるのはマルコー兄ぃだよねあと」


「うん」


「きっと兄ぃは大丈夫だから、先に私をニクスのところに連れて行って、置いていってよー説得してみるからさー」


リアナは、女の勘というか、あまり乗り気になれなかったが、何かのきっかけになればと思い彼女をニクスの場所に送った後、マルコーのところへと向かった。


#


マルコーは相変わらず、修行していた。彼に声をかけて、これまでの経緯を説明する。


どうやら彼は独自に周辺を調査し、新しい地図を作っているようだった。


「本部が動いてくれるのは助かる。だいたい、方角などはさほど変わっていないようだ。ここらへんの昔の地理も理解している。俺は俺でこっち側から本部を歩いて目指し、こちら側から別口で再構築をはかろう」


「お願いするわ。なんだかあなたが一番たくましいわね」


「いや、俺は集落の存亡にはあまり固執していないからな。そういう点では、片腕を失って人を率いて踏ん張っているガルストンや要になって守っているルゥも大したものだ。俺たちは、調査、諜報、暗殺はできても、守るのはあまり得意ではない」


「そう、それじゃもどってゲルニックさんに報告しておくわ」


「頼む」


こうして、いったん本部へと戻った。


#


マリーネは強引にしょげて座っているニクスにもたれかかって、いつぞやの時のように鱗で覆われた彼の手をむにむにとさわっていた。彼の顔は完全に人の雰囲気を無くしていた。


「マリーネ、もう俺のことは放っておいてくれないか」


と、寂しそうにニクスは言う。


「こんな状態なのにー?」


「だって、俺、たぶん違うんだ、たぶんさ」


「でも、私にとっては命の恩人で、好きな人だって事は変わらないから」


「人じゃ……ないんだよ……きっと」


「じゃ、好きな奴、この世界で一番好きな奴、だめ?」


「よくわかんねぇ。俺、皆のところに戻るのも怖いんだ」


「どうして?」


「どんどん化け物になっちまってさ。助けた町や村の人達から怖がられてさ、なんか、うん、そう、だから帰るのが怖いんだ。受け入れてくれるか、わからないし」


「ダメっていう人はもうしかたないよ。でも、そんな人達はきっと少ないよ。いい人たちばかりじゃん」


「だからこそ、余計に怖いんだ」


「じゃぁ、私がついていってあげるから」


「……」


「それに、人間だって、歳を重ねて、変わっちゃうんだよ。しわがはえたり、髪の毛は白くなったり、男の人だったら、頭がはげちゃったり」


「でも、化け物にはならないじゃん」


「そうだね」


ふと、マリーネはニクスのくちばしにキスをした。驚いた、ニクスはさっと距離をとる。


「ふふ、何だかんだこういうところはニクスはすきだらけだよねー」


「からかうなよ」


「ね、変わっちゃうんなら、変わる前にできること、やりたいことしておかない?」


そっとまた、マリーネはニクスの鱗の手にふれる。二人の夜はふけていった。


#


反帝国連盟本部は、大掛かりにまず周辺地域との交易経路の再構築に挑んでいた。シェストを中心に進めていた、試作飛行兵器ミニマンダーも三機をあるていど実用化させ、それとサラマンダー号を最大限に利用して各地域へのルートを構築していく。


リアナは見つかった各地点にサラマンダー号で向かい、物資や人材などの輸送を大きく手助けする。霊獣ササビビの協力のおかげで、ササビビが加わった調査隊は守りがかたく、安定して進むことができていた。最初は、いろいろ驚かれたが、結局、犬や猫、馬、そうした存在と変わらないと理解され、受け入れられていったのである。また、リアナの仲間集めも終わったことで、ベンケイも経路の再構築部隊で大活躍していた。


二週間ほどがたち、ルゥ、ガルストン達のいる村や町の経路も確保され、二人も合流する運びとなった。場所によっては守りにくいため、一部の地域は統廃合するはこびともなり、大きな人の移動もなされる。当然、そこではリアナのテレポートが活躍する。


こうしたリアナの活躍を目の当たりにして、ゲルニックはリアナに言った。


「本当に君には感謝している。そして、なんとなくだが召喚師が小さく隠れ潜んでいた経緯にも一つの理解ができた」


「ありがとうございます。でも、経緯ですか?」


「あぁ、リアナ殿の里もそうだったが、世界各所、そうした召喚術の力を持った人々は隠れ住むようにしていて、大々的に街にその力を見せびらかすものはいなかったのだ。それはきっと、テレポートも一つの要因だろう。これが戦争で使われれば、ふとした場所に大部隊が出現できてしまう。だから、召喚術自体もそうした争いに使いたくなかったのかもしれないが、そうでなくとも、恐ろしい力だった、ゆえに、ひっそりと暮らしていたのだろうな」


「そうですね、今は便利に使っていますけど、巨大魔導兵器のときのように私たちも潜入で使いましたもんね」


そうして、ゲルニックとの会談を終えたリアナは、そろそろニクスとマリーネのところへ向かってもいいかなと考えた。


だいぶ時間もたった、リアナとしては、無理強いはしたくない。どちらかというと、ニクスはいっそ戦乱から離れ、平穏に過ごしてもいいのかもしれないとも考えていたのだ。


とはいえ、結果を見届けようと、マリーネのところにむけてテレポートした。


#


リアナが見たのは、それはもう熱いラブラブなシーンであった。慌てて目をふさぐように顔を手で覆う。


「ごめん、というか、なんでよ!」


「なんでじゃないわよ、自然なことでしょ!」


いったんリアナは退出して、ニクスとリアナとマリーネは話し合いがはじまるかに見えたが。


「なんで、私があっちこっち世界をめぐって必死になってるのにあなたたちはいちゃいちゃラブラブしてるのよ!」


「あ、いや、すまん」


「いいのよ、だいたい毎回唐突に人の寝室に現れて、このスケベ女!」


「仕方ないじゃない!テレポートは場所を起点にできるけど、そっちは難しいし、どこにいるかわからないからこっちのほうが早いと思ったのよ!」


「なによデリカシーなし!」


「うるさい、だいたいなんでよニクス、マリーネとできちゃってるのよ、私の思い届けたよね!」


唐突に話題を振られるニクスは混乱する。


「いや、それはだな、リアナのことは、なんかこう昔からの付き合いだし、なんというか……ごめん」


そうして、リアナはすとんと魂が抜けたように、地面にひれ伏した。思いも伝えきって、それでなお、ふられたうえに、いちゃいちゃしているところを見てしまったのだ。心神喪失である。


「だいたい、リアナは先にニクスのところにテレポートで来てたんだから、ま、私の勝ちね」


ニクスは居心地悪そうにしている。


「でもニクスどうするのぉ?反帝国連盟の本部に合流するの?それともここで私と暮らす?」


それをわずかばかりに、聞こえたリアナはさらに絶望し、涙を流し床に手をこすりつけた。


「うーーーうーーー」


「いったんみんなと合流するさ」


「そう、じゃぁ私もいっしょに行く。兄ぃも合流してるんでしょう?」


棒読みでリアナは答える。


「うーーー、マルコーざんは、べづの場所から陸路で合流じて別で経路の再構築にあだっていばす」


こうしてニクスも本部に合流する運びとなった。

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