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新たなる任務

一日おいて、ニクスとガルストンは隠れ里を出立した。二人は難なく街道に復帰しすばやく、連絡地点の町へと進む。そう、ニクスは一人旅で街道もない場所もなんのその、ガルストンは元帝国兵だ、こういった移動はそつなくこなせた。心配していた、リアナの抜けた点も、なんだかんだ二人は近接の連携がうまく、そして風の斬撃も回数は限られるがニクスは使えるので何とかなった。デルルズの欠けた分の探知についても、デルルズほどではないがニクスはそうした気配の感じる力に優れていたし、ときおり風の声がニクスに知らせてくれもした。


ニクスはさらに火と風、そして治癒までも磨きがかかっており、旅の安全面が上昇している。また、変化した右腕で岩を殴ってみたところ粉々に破壊できる威力となっており、こちらも大いに役に立った。


魔獣に対して、巨大な鈍器を自在に操るガルストンの攻撃は一撃が重く、そこにはまるようにニクスは避ける先を削るように時には鞭で、時には風の斬撃を飛ばして仕留めていく。空を飛ぶ魔獣もガルストンは慣れてきて、新しく購入したボウガンを巧みに使って応戦していた。二人とも、中距離、近距離とスキのない布陣となったのである。もともと、ガルストンは帝国兵の時代にボウガンの訓練を受けていたため、最良ではないがほどほどに腕はいい。ガルストンは魔力量がそれほどないため、魔導銃などは向かないのだった。


そうして、連絡地点へたどり着くと、どうやら今度は本部を、炭鉱レンズヘイヤから近い西側の町リザンスに移したようである。緊急だったので、地上の近場となったのかもしれない。


二人はリザンスへ向かい、本部へとたどり着き、ニズタム盟主ゲルニックと話し合うことができた。


「ご苦労だった。ガルストンまずは報告を聞こう」


「はい、霊獣の里に向かい、リアナがそこで召喚術を覚える手はずとなりました。協力はあおげたものの、彼らは人界にのこるため制約として隠れ里を出れない制約があり、その抜け穴は召喚術によっての力を貸す、ということだそうです。」


「なるほど、リアナ殿もそれに協力してくれたということか」


「そうですね」


「他に召喚術が使えそうなものをこちらで探して里に行ってもらうことはできるのか?」


「召喚術の才は血筋によるところが大きいそうですし、帝国がこれまでかなり伝承のある里は滅ぼしていってしまいました、可能かもしれませんが、あまり期待できないかと」


「確かにな。こちらで血筋の判別がつくわけでもないか……その場所は行きやすい場所なのか?」


「我々のような者達がいて何とか、といった険しい道です。それに、あまり知られると、帝国にも知れる可能性があります。帝国は内々で霊獣を捕縛し、実験しているという噂もありましたから、あまり大きく動かないほうが良いかと」


「そうなのか、では、本当に知っている者は厳選したほうが良いな……先の本部も知られてしまったし、難しいものだ。さて、ガルストン、ニクス殿、今後君たちはこちらへ協力してくれるのだろうか?」


「私は、故郷の民を救ってもらった恩義もあります。力をお貸しいたします。それに、アミダ様曰く、帝国の狙いは、霊界と人界をもとにもどし、戦乱の世界に戻すことだそうです。それは望んでいません」


「俺も、そこが気になっている。ただ、俺は条件を出したい」


「ニクス殿、条件とは?」


「あの時みたっていう炎の鳥について、分かることがあったら教えて欲しいし、ヒントになるものがあれば探させてほしい」


「わかった、二人ともよろしく頼む」


こうして、いったん話し合いは終わった。シェストもこちらへサラマンダー号とともに来ていると聞いて、二人は向かうと、シェストは相変わらずの魔導具好きの技師と言った感じで、他の研究者とともに、いろいろ実験をしていてススだらけになっていた。


「戻ってたんですか、見てくださいよなんとこの二つのエンジン、サラマンダー号を参考にそれぞれ作ったんですよ。さすがに、サラマンダー号ほどとはいっていませんが、加速エンジンと浮遊エンジンはかなり新規に作れるところまで来ましたし、修理の部品も作れそうです。また、その加速エンジンを利用してサラマンダー号に突撃弾頭というパーツがつけられるところまで来ました。さらに、なんとなんと、エンジンができたということはつまり、燃料の補給にめどが立ちましたし、つい先日、軽くサラマンダー号の飛行テストもできたんです!さらに、複座もつけておきましたから二人で乗ることもできるんです!」


と、興奮気味にシェストはまくし立ててきた。たまに、こういうことがシェストにはある。そう、本当に魔導具、機械に関しては好きなのだ。


「わかったわかった、相変わらずこういうことに関してはシェストはすごいな」


「僕だけの成果ではないですよ。僕も、かなり貢献したつもりですけどね」


「へーこれが空を飛ぶのか」


「おっ、ニクスは空にあこがれてたもんなぁ、乗りたいか?」


「いや、こう俺は、機械や魔導具をつかってじゃなくて、身軽に風を受けて飛びたいんだよ」


こうして、シェストとしばらく話しをした。リアナとデルルズが隠れ里に残ったことなどもふくめて。その後、それぞれ一緒に食事をとった。


シェストは、兵器以外にも、書物の情報から、伝承などについても調べていた。この辺は役に立ちたいというのに加え、彼の純粋な好奇心ゆえ、というのもあった。それによって分かったのは、どうやら、魔術王国ニバルには、伝承の扉への道を開く門がある、ということが分かっている。ニクス達の持ち帰った情報、帝国が霊界と人界を元に戻すという話と合わせると、ニバルが攻め落とされたのはこの点もあったのかもしれなかった。また、魔術にもいくつかの種類があるというのが分かった、もともと、精霊や他者の力をかりる魔術と、自身の魔力を使って為す魔術があり、召喚術は前者なのだという。また、それは霊獣とも密接にかかわるため、魔術王国ニバルの術師たちは邪法と嫌っているのだとか。シェストとしては充実した毎日を送れているようであった。


こうしたシェストの分析でまとまったものや気になるものは、反帝国連盟に報告してもいる。


ただ、シェストとしてはリアナが隠れ里に残ったのが残念だった。彼女がやりたいことを見つけられたのは嬉しいが、遠くにいるというのが悲しいのである。


#


ほどなくして、ニクスとガルストンは、本部へ呼び出された。そこには盟主ゲルニックに加え、見知らぬ筋肉質でガタイのいい男と、忍者マリーネもいた。


「来てもらったのはほかでもない、二人に緊急にやってもらいたいことがある」


「緊急ですか」


「そう、シェスト殿の分析と二人の報告を合わせると、取り急ぎ、魔術王国ニバルへ向かってもらいたい。もし、それらが真実だとするとニバルにある門を使わせてしまうと、霊界と人界を元に戻してしまう足掛かりになってしまう。場合によっては致命傷になりかねん」


「なるほど」


「案内は、ニバルともつながりがあり地理にも詳しいマリーネに、それと向こうには四天王の一人、魔導師レイリアがいると聞いている、戦力として彼、格闘家のウェーゼンも同行してもらう」


「やっほー、ニクスーまた一緒だねっ」


「ウェーゼンだ、よろしくたのむ」


「よろしくお願いします」


「あっ、あぁ、よろしく」


ニクスは急接近してくるマリーネにたじろぎつつ、答える。


「今回は相手の戦力は強大だが、迅速に動ける少数精鋭である必要もある。相手を倒す必要はない、門を使わせなければよい。兵器部門から、魔導爆弾を受け取っている、万一の場合は門を壊してくれ」


「はい」


「ただ、いったん門までの案内をニバルの魔術師の者に依頼するよていだが、おそらく門を破壊する想定だと知られると、断られるだろう。秘密にして置き、最終手段と考えてくれ」


「わかりました」


こうして、ニクス、ガルストン、マリーネ、ウェーゼンは、地下世界をめざすため、旧炭鉱都市レンズヘイヤをめざして出立した。


#


帝都へ戻っていた、四天王が一人邪竜人ファルミドは、豪勢な寝室で女性をはべらせていた。


彼は思う、正面から戦った、ガイナードやグレイは何と愚かだったかと。ガイナードは確かに奇襲、暗殺ではあれど、直接的な近接戦である。黒騎士グレイもそもそも、敵の首魁のところへ行って直接戦わず、遠くから氷で凍結させて滅ぼしてしまえばよかったのだ。どちらも、慢心があったとしか思えない。そういう点で自分は優雅だと考えている。毒の粉を風にのせてまき散らし、待っていれば後はそれで終わる。その毒に耐えられるものはいるとしても、死んでいる存在、そうガイナードやアンデットくらいだろうか。また、自ら前に出てしまった皇帝サザーランド陛下にも少し疑問があった。月への門を開くのもその先のことも、部下にやらせればよいのではないかと。といって、身分をわきまえない彼ではない、そうしたことは言わないのが彼だった。彼は彼にとって良き形であればそれでよかった。


ファルミドはワインの入ったグラスをくるくると回しながら考える。彼はどちらかというと自堕落な性分だ。時期に来るであろう真なる世界に興味はない。皇帝に付き従うのは、命を握られているからと言ってもよい。そう、彼は霊獣と人間の混合生命体という実験生物なのである。ゆえに、研究所での生命維持が欠かせない。強大な力を持つ存在を作り出すため、帝国が行った所業の一つの産物が四天王達であった。中には、グレイのように安定していた個体もいたが、多くの場合はそうではない。だからといって、憎々しいとも思わないのがファルミドだ。そう考えるのさえ彼は面倒なのだ。まぁ、ただ、命を握られているからと言って自身の命が大事だと付き従っているかというとそうでもない。そう、ただ、逆らうのが面倒なのだ。


夜空を見上げながらファルミドは思う、なぜ、人は、あんなに一生懸命生きようとするのか。

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