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幕間3. 久しぶりだもの

 そういうわけで、私はジェラルドの私室にいる。アニエスはフェリクス殿下が引っ張っていった。今頃、()()()しているだろう。


 かくいう私もソファに座ったままジェラルドに抱きしめられているので、全く人の事は言えないが。


 ジェラルドは「あ~……シャンタルの匂いだ……」なんてほざきながら、私の首筋をくんくんと嗅いでいた。


「ちょっ、あんまり嗅ぐな!離れろって」

「二ヶ月ぶりに会ったのだ。このくらい良いだろう」

「もう……」


 反論するのは諦め、彼の肩へ頭を預ける。ジェラルドはそんな私の頬を愛おしそうに撫でた。


「それで、デルーゼ王はどうだった。口説かれたりしなかったか?」

「あー、まあ……ちょっと口説かれた」

「やっぱりか!くそっ、やはり俺もついて行くんだった。それで、何と言われたんだ?」

「後宮に入らないかって。精霊術の研究所を建ててやってもいいって言われた」

「何だと!?俺だって研究所くらい建ててやる。早速兄上に進言して、足りない資金は俺が出そう」

「落ち着けって。ちゃんと断ったよ」


 大国の王と資金力で張り合ったって仕方ないだろうに。

 意外と嫉妬深いんだよな、こいつは。女好きの癖に。いや、女好きだからこそなのかもしれんが。


「本当だなっ。夜を共にしたりしていないだろうな?」

「当たり前だろ」

「そうか……。安心した」


 と言いつつ、ソファに私を押し倒すジェラルド。その体を押し戻そうとするが、彼は頑として動かない。


「待てって!明るいうちから何してるんだ」

「お前に触れていたら、我慢できなくなった」

「駄目だってば。この後仕事に戻るんだろ」

「どうしても駄目か……?」

 

 子犬のような顔で見つめられ、胸がキュンと鳴る。

 クソッ。ここぞとばかりに美形力(イケメンパワー)を行使しやがって……。


 痺れを切らした王太子殿下の側近が呼びにくるまで、ジェラルドと私の押し問答は続いたのだった。

 

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