5.女の選択と案内
「あなた、何者なの…この私にこんな事して、何が望みなの……!?」
女は屈辱さを顔に出しながらこちらを睨んでくる。
「その前に、だ。」
俺は女にグイっと詰め寄る。
俺が詰め寄った事で目の前の女は怯む仕草を見せる。
「アンタは誰だ。なぜ俺を襲った。何か俺に用があるなら名乗ってから行動すべきだと思うが?」
「………。」
女は口を閉じたまま。
………
…………
……………やがて。
「……私はこの地を護っている者よ。あなたを襲ったのは…あなたも周りの奴と同じようにこの地を荒らす不届き者と判断したからよ。しかも森の中でも、あの場所に手をかけるなんて…。私がこうなるのも当然でしょ!」
とりあえず…一つ気になったことは。
「おい、名前は何だ?そんな長い名前なわけ無いだろ?」
それが本名なら俺はこいつを呼ぶのが怠すぎる。
(『おい、この地を護る者』…とか言いたくないし、本名な訳ないよな…。)
「私の名はレイナよ…。」
女は諦めた様子で呟く。
状況を整理すると。
レイナというのはこの地を護ってる女で
周りをよく見ない女って訳か…。
「気になる事があるよね、ヴァイス?」
そう言ってフローラは俺を見つめる。
「まぁ、そうだな。」
と、その前に。
今目の前にいる女はスキルで未動き取れなくしている状態だ。かといって、ここで解除させれば誤解も解けていないため何をされるか分からない。
俺は弁明をしておく。
「俺は別にこの森を荒らしに来たわけでもない。現にこの地の生き物も殺めていない。だが俺は冒険者だ。その証拠は持ってるわけ無いし、信じられないなら信じなくても構わない。」
現に証拠が無いため、力ずくで分からせると返って逆効果だろう。ここは彼女の意思に任せるのが最善と判断した。
レイナに向けて話した後、俺はスキルを解除した。
彼女は動けるようになり、立ち上がって俺を見ている。
(さぁ、どっちに転ぶか。)
「私は…あなたを一応信じるわ。確証はないし怪しいのは確かだけど、現に何もしていないのは本当のようですから。頑なに攻撃してしまったのは謝ります。申し訳ない。」
レイナは揺れる森の葉を見た後、次に俺たちを見てそう話し、謝罪した。
とりあえずは一段落となった。
「それでだ。この地を荒らしてる奴がいるってどういう事だ?」
レイナは少し考えた後。
「何かの縁かもしれません。付いてきてくださいますか。」
レイナは俺たちを小屋へと案内した。




