2.森の深部へ
今、俺たちのいる森は『安息の森』と言われる場所である。
安息と言われているだけあってモンスターの出現も少ない。また、出てくるモンスターも好戦的・荒い性格ではなく、モンスター自体も弱いためどちらかと言えばモンスターと人間が『共存』している感じだ。
また、この森は近くに位置している『ストリレチア王国』が森の権利を持っており、王国自体もモンスターとの共存を公に認めている。そのため、この森で事件を起こせば、犯罪として王国へお縄になる為、事件も殆ど起きない。
まさに安息…平和ってやつだな。
だが、この森ばかりいても刺激が足りない。
刺激が欲しいから旅をするのさ。
時には強いモンスターともバチバチに戦うのも良いかもしれない、なんて思ったりしている。
と。
(………。)
猫がジーッと俺を見ていた事に気づいた。
「アンタは私を前にしてそんな事を考えているのか…?」
猫は呆れたように呟く。
「あ?…あぁ…。あんたは規格外の強さだったな、そういえば。」
長く一緒にいたから感覚を忘れていた。
一応こいつはネコだが、正体はネコじゃない。
彼女のオーラを隠す…力をある程度封印しているためネコの姿になっているわけだ。共にいる身としては気が楽で助かるので基本ネコのままでいろと命令している。
「あのね!そんなアッサリと言われちゃアタシのプライドが!……ううっ……。これでもアタシは強いと思ってたんだがなぁ〜…。」
ネコになっても性格は元のままなため、ガミガミうるさい奴に変わりはない…。
「何を言っているんだ…フローラは強いだろう、自信を持っていいんだぞ?」
フォロー。
というかそれは事実だが。
「くっ……上から目線で言いやがって……!むかつくぅー!けど反論はできない…。強いと言われて有り難いような、なんというか…。くぅ…。」
…と隣でネコは色んな表情や動作をしていた。
やがて考えるのを止めたようで、今後について話してきた。
「ヴァイス、まずは何処にいくの?」
そうだな…
(スキル:マップ展開)
今更になるが、この世界には【魔力】というのが存在する。魔力の大小は個人の強さに比例しており、強い人ほどあらゆるスキルを使いこなし、質の高いスキルを発動できる。
スキルを使って目の前にマップを展開する。
今いる位置からして、次は…
「よし、ここに行ってみるか。『玲瓏の森』」
俺は、今いる『安息の森』の深部にあたる『玲瓏の森』に行くことを決めた。
「ほう、玲瓏の森か、楽しみだな。ヴァイス」
「あぁ、何かいい発見や出会いがある事を祈ろう。」
俺たちは目的地へゆっくり歩きだした。




