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 さて、2学年、幸先いいスタートを切った。


 さすがAクラスと言えようか、座学の難易度が全然違います。予習してなかったら全然ついていけないかもしれない。聖女としての教養も居残りで勉強する。たまにレティシア様も一緒に授業を受けてくださるのが有難い。と言っても、レティシア様にとっては復習のような感じらしいのだけれど。


 キルア様は、気まぐれにAクラスの授業に参加するようになった。今日はいるなーって思うと、昼休憩とかに研究棟へ連れていかれたりする。魔道具の試作を繰り返しているらしく、最終的には平民にも使えるようにしたいから私に話を聞きたいみたいだった。あと、魔力がそんなに高くないシャーリーも、たまに誘われている。色々な立場から意見を聞きたいとも言っていた。


 シャーリーは、貴族なだけあって魔道具についても私より詳しくてキルアに色々質問していて、キルアの魔力や魔道具についてほぼ対等に会話ができていて凄いと思った。


 あと、学年代表の仕事も頻繁にお願いされるようになった。後から聞いた話だけれど、キルア様に振り回されすぎないようにとの、リューク殿下の配慮とのことだった。


 エドワード先生の魔力研究の協力も始まった。こちらは、聖女としての教養の居残り授業がない日なので、週に一度だ。レティシア様も参加している。特殊属性は光だけでなく闇も謎が多いということで、王家としては色々把握したいらしい。




 なんだかんだ忙しい毎日を過ごしていれば、あっという間に時間は過ぎる。気づけば、3ヶ月経過していた。

 3ヶ月経つと何があるかと言うと、魔法授業の一環である魔物討伐実戦である。


 まず、学院から比較的近い魔物の棲む森を、そこを自領とする貴族と兵士達に先に行ってもらって少し魔物討伐して数を減らしておいて貰う。その後、学院の生徒達が数人グループに別れ、付き添いの教師やその森に詳しい貴族、数人の兵士が補佐として一緒に行動し、実戦をこなしていくというもの。


 魔法学院がない頃は、家族や親族によって次の世代へ討伐方法が受け継がれていたのだが、それだと領ごとに実力差が激しくなるばかりか、なかには自分の身可愛さに貴族は何もせず、兵士のみに討伐を任せるようになる一族まで現れ、領土が荒れてしまうこともあり、王家としてそれは見過ごせないということで、学院設立という運びになったらしい。


 学院でしっかりとした教育者から歴史や戦闘技術、魔力調整等を平等に学べば、領ごとに実力差が開きすぎたりすることもないし、王家としても、それぞれの能力を把握することができ、(まつりごと)を行いやすくなるメリットがあった。


 ちなみに、実戦グループは上級クラス中級クラス下級クラスが平等に分けられ、魔力の多い生徒と魔力の少ない生徒がいる中でどういった作戦を練りどう行動していくのかということを学んでいく。


 学院に入る前にそれなりに実家で実戦に参加していた生徒はやはり優秀だ。私は実戦などあの魔法披露会の時が初めてであったし、魔物もまともに見たことがないので、足手まといにだけはならないようにしたかった。ちなみに、カイル達護衛ももちろん一緒に来てくれていて、討伐時に生徒の邪魔にならない、それでいて何かあった時にはすぐ対処できる距離で見守っていてくれた。


 ほとんどのグループが、魔法上級クラスの生徒をリーダーにして動いているのだが、私のグループは中級クラスの人にお願いした。彼ははじめは動揺していたが、いざ作戦を練るという場面になればグループの中で出た意見をまとめ、的確に指示を出してリーダーシップを発揮した。さすがですねと言ったら照れ臭そうに跡取りだから実家で厳しく指導されていたと教えてくれた。


 少なくとも、私達のグループは特に補佐に来てくれた兵士や貴族の人達の手を借りることなく、授業のノルマの魔物討伐数は達成できた。


 討伐が終われば、学院に戻りグループごとに反省会をする。その後宿題としてレポート提出。さらに次の授業では上級中級下級クラスに別れ、意見を出しあい次の討伐へ向けて魔法の練習場で試行錯誤を繰り返す。


 こうして、魔物討伐とは自領のみではなく、王国全体で協力体制で行っていくものだと教えていくんだそうだ。


 それを考えると、2学年はじめに、他の生徒達と打ち解けたのは本当によかった。そうではなかったら、グループで上手く動けなかったかもしれない。


 あと、何故か2学年になってから、男子生徒に話しかけられることがほぼなくなった。ごく稀に、話しかけられても、一言二言話すと何故か相手が私の後ろを気にし始めて焦って去っていく。私の後ろにはカイルしかいないと思うのに、実際何度か振り向いたけど、やっぱりカイルしかいなくて、私には背後霊か何かが取り憑いているんじゃないかと思って一度レティシア様に相談してみたんだけど、苦笑するばかりで何も答えてはくれなかった。


 その代わり、たくさんの女子生徒と交流することができているので、あまり深くは気にしていないのだけど。


あ、ハルバートやバルティス、リューク殿下とは普通に会話できますね、はい。キルアは、大丈夫な時もあるけどたまに不機嫌になっているので理由を聞いてみたら


「何なの一体。僕はただアリアと話してるだけだよ?本当にキライ」


 などと余計にわからなくなるような事を呟くばかりだった。


 普段の生活に疑問もあれど、学院では濃い時間を過ごして、帰ればシアが待っていてくれて、いざ平民に戻るとなった時に、学院に入る前の暮らしにもどれるかな…と軽く不安に思うほどであった。


 それでも、知識と魔法や戦闘技術は自分でも解るほどに実力がついていき、満足する日々を送った。









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