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破滅の旅路〜世界を正すものがたり〜  作者: まんまる雄山
一章:ドーラでの生活編
7/22

第7話 発覚

 遂に俺は7歳になりました。

 いやーめでたいめでたい。訓練は日に日に厳しくなっていますが充実した日々を過ごしています。


 最近は魔法の研究をもっと有意義に進めるために森の中ですることにした。

 まだ三人には俺が幻想魔法、時空間魔法を使える事は伝えていない。いずれは伝えようとは思ってるけど…中々言い出せない。


 父様はもう俺を森の中で修行しても問題ないと母様に何度か提案しているが、母様は頑にそれを良しとは言わないらしい。

 まあ、七歳の我が子をこんな物騒な森に入れるなんて普通ならあり得ないからね。すぐ近くを流れている川でこっそり訓練したりもするが、ほとんどが家の中でしか魔法の練習は出来ていない。


 でももう家の中だけじゃ魔法の訓練もそろそろ限界だ。もっと強くなるためには大規模な実験もしたいのだ。

 だから最近はこっそりと家を抜け出して森の中で練習をしている。もちろん対策は考えてあって、ちゃんと俺の幻を家に置いてきている。


 え?それじゃ声を掛けられたり触られたりしたらすぐにバレるって?

 抜かりなくそこもちゃんと対策してある。

 最近、時空間魔法でワープホールなる物を作り出す事に成功したのだ。

 時空間魔法って言うくらいだからそんな感じの魔法使えるんだろうなぁとは前々から思ってはいたのだが、実際に使えるようになったときは本当に言葉を失った。

 ただよくあるゲームの転移とかよりは使い勝手が悪く、俺が魔力を注ぎ込み続けないとすぐに穴は閉じてしまうし、遠くのところに繋ぐのにはそれなりの時間がかかるし、ワープホールは繋いでいる場所の距離に比例してめちゃくちゃ魔力食う。

 あんまり遠くに移動しようとすると魔力が一瞬で無くなって気絶する。


 あんまり遠くには行けないが、家の中よりは十分魔法を練習できる。何かあったらすぐに戻る事が出来るように常にワープホールを開いているから大丈夫だろうと俺は思っている。すぐ帰れるし。

 維持するのもなかなか大変だが、同時に色々な魔法を使用する為の訓練だと思えば全然苦ではない…。嘘です、めちゃめちゃしんどいです。出来る事ならすぐに閉じたい。

 すぐ魔力不足になって吐き気と気持ち悪さがセットでお届けされています。

 魔核路…もっと仕事しろ?禍々しい名前の癖して全然効果しょぼいんだからもっと頑張って。


 そんなわけで今もワープホールを維持しながら色々と魔法の実験中だ。

 そんな毎日を過ごしていたが…やっぱりというか隠し事というのは長続きはしないものだった。



 その日も俺はいつもの様に俺の幻を作ってワープホールで山奥へと行き、魔法研究をしていた。

 幻想魔法はかなり使いこなせるようになったから、今は時空間魔法の研究に勤しんでいた。時空間魔法って攻撃できないのかなとか瞬間移動できないかなとかそんな感じ。


 その日はちょうど時空間魔法の新しい技を後一歩で習得出来そうな位まで煮詰まってきたので、かなり集中して精神をすり減らしながら研究をしていた。

 そんなこんなで今日はいつも以上にクタクタで、今すぐにでも布団にダイブして寝たいくらいに疲れていたわけで…

 いつもなら帰るときは周囲の気配を伺っているのですが疲労と慣れが原因だったのだろう。

 どうせこの時間ならまだ誰も家にはおるまいと思っていた、思い込んでいた俺がバカだった。


 そして戻ってきたらふつうに部屋にリューマ兄がいたわけであり…戻ってきた俺の目にはリューマ兄の背中がバッチリ映っており…


 まぁそうすると当たり前のようにリューマ兄は部屋の違和感を感じ取って周囲を確認し出して…

 慌てて幻想魔法で作っておいた俺を消そうとしたんだけども、間に合わなかったよ。


 リューマ兄が俺の方に振り返って…慌てていた俺とバッチリ目があった。それはもうバッチリと。



「は?」


「…あっ」


「いやいや、俺の目がおかしいのか?俺にはレンジェルが二人いるように見えるんだけどな…はぁ!?レンジェルが2人!?いったいどうなってるんだ! 」



 ばれたー!やばばば……どどどうしよう!? 

 とりあえず俺の幻は消しておこう!あわよくば誤魔化せるかもしれないし。


 魔法を解除するとフワッと幻の俺は空気に溶けるように消えていった。



「 なっ!?え?レンジェルが一人消えた? 」


「 ヤ、ヤダナァリューマ兄。コノ部屋ニハオレヒトリシカイナカッタヨ。リューマ兄ツカレチャッタンジャナイ? 」


「 ………… 」



 やらかしたー!ここで不自然な程にカタコトになるとかもう自白してるようなもんじゃないか!

 …もう俺の魔法を隠し通すのは無理だな、もういっそのこと暴露しちゃうか。別に悪い事してるわけじゃないし。



「 えっとねリューマ兄、今のは俺の魔法で作った幻影なんだ 」


「 ちょっと待て今落ち着くから……ふぅ。よし、あの幻は本当にレンジェルが作ったのか?そういうのが出来る魔法は確かに水魔法で存在はするが、でもあれは相当な魔力の練度が無ければ発動出来ない。水魔法が得意な奴でも中々習得できない高度な魔法だぞ?

 それに水魔法で作った幻影は消える時はあんな風に消えないし……仮に出来たとしてもだ、そもそもレンジェルには水魔法は使えないはずなんだが。それどころか基本属性の魔法は全て適性が無かったはずだが」


「…そうだね、確かに俺は一般的な魔法は使えないよ。でも俺が作った幻想が基本属性以外の魔法で作られたやつって言ったら信じる?」


「基本属性以外の…魔法。ん、幻想って言ったか?となると…精神系の魔法か?」


「んー、多分そうだと思うけど…俺が使える魔法はね、幻想魔法って言うんだ。実際に見てもらった方が良いかな」



 そう言って俺は部屋にリューマを作り上げた。



「わっ!俺が目の前にいる!?」


「そう、これが俺の魔法。自由に幻を作り出せる魔法だよ。そしてこの魔法はこんな風にも使えるんだよ」



 そう言って今度はリューマ兄に幻覚を見せた。俺の体内で練った魔力をリューマ兄の脳内に向けて放出し、魔法を発動させる。

 先程とは違い、リューマ兄にしか見えないし感じられない幻。相手に幻覚を見せる魔法。


 因みに今リューマ兄に見せているのは、ただひたすら目の前でリューマ兄が増殖するだけの幻覚だ。

 まぁいつまでもそれを見せていると流石に精神的に参ってしまうかもしれないので、すぐに魔法の解除をした。



「どうだった?俺の魔法は?」


「はっ!……どうもこうもあるか!何だよ今のは!急に何にもない空間にとばされたと思ったら、目の前で俺がうじゃうじゃと増えていくあの光景。目を逸らそうとしても身体の言うことが効かずにあのおぞましい光景を見せられるって……拷問か?新しい拷問か何かか?俺は今、自分自身がものすごく嫌いになったからな…しばらく水面とか見れないじゃないか…」


「ごめんごめん、ただ俺の魔法の効果を確認させてあげようかなぁと思っただけで悪気は無かったんだよ…そ、それにあれはただの幻覚だよ?ただの幻。」


「何とも凄い魔法だな!精神的に殺す魔法とか厄介すぎるだろ!」


「いやぁそういう魔法じゃないと思うんだけど…因みに幻覚を見せている間は相手は身動きが取れないからね!すごいでしょ!」


「動けない…幻も見せられて束縛もできる、か」



 でもこの魔法は狩りをするのに本当に役に立つんだよな。まぁ魔法の行使中は俺も動けんけど…



「これで俺の魔法はある程度理解してくれた?」


「あぁ、そうだな。多分レンジェルが習得した魔法は精神系とみて間違い無いと思う。変わった魔法使ってくるやつは、基本属性の魔法が使えない傾向があるしな。しかし幻想魔法…かぁ、聞いた事ないなぁ」



 まぁ本当は他にも色々と魔法やらスキルやらがあるのだがそれはまた別の機会でいいだろう。



「取り敢えず、今日の夜にでもレンジェルの魔法はしっかりとみんなに説明するんだぞ。しかしまぁ何でずっと黙っていたんだ?」


「俺には魔法の才能がないって言われた時ちょっと悔しかったんだよ…だから練習してみんなを驚かせようと思って。でも最初は全然上手くいかなくて大変だったんだよ?あんな風に出来るようになったのも最近だし」



 いや、実際はなんか俺の魔法ってバレたら大ごとになりそうだなぁって思ってたからなんだけどね。

 それに俺が見た本には、精神系統の魔法って忌み嫌われてるみたいな事書いてあったし…リューマ兄達がそれで俺を嫌うとは思ってはいなかったけど、やっぱり少し不安だった。



「成る程、みんなを驚かすため…か。そうだな、実際に俺も驚いたしな。むしろ軽くトラウマだぞ?」



 その後暫く俺はリューマと雑談して約束通りに、夕飯の後に魔法を披露し魔法の説明をした。

 母様はポカンした表情で暫くフリーズした後、この魔法があれば夢でもレンジェルと一緒だと喜んでいた。父様はさすが俺の子だとこちらも喜んでいた…


 いや母様、幻想魔法使ってる間は俺動けないし寝れないんですけど…そして父様はもうちょっと驚いてくださいよ。これ、本当に凄い魔法らしいんだよ?


 因みに時空間魔法はまだ隠しておいた。だってまだこそこそ隠れて実験したいじゃん?


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