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破滅の旅路〜世界を正すものがたり〜  作者: まんまる雄山
一章:ドーラでの生活編
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第6話 訓練

 〜俺が五歳の時〜


 魔法の訓練は予想をはるかに超える難しさだった。

 まず一つ、俺の扱える魔法は幻想魔法と時空間魔法、あと破壊魔法だ。

 でも破壊魔法、あれはダメだ。今の俺にはとても扱えるような魔法ではなかった。

 発動すれば俺の内包している魔力は一瞬で空になり、そのまま魔力が枯渇。その影響か猛烈な吐き気、目眩、頭痛に襲われながら気を失ってしまうのだ。

 あと何かは分からないけど、破壊魔法を使うたびにゴリゴリと何かが削れるような謎の不快感が全身を襲う。あれは絶対ヤバいやつだって俺の直感が告げている。だから基本的には使わない方針でいこうと思ってる。


 魔法の基本属性は、火、水、土、風、雷、の5属性だ。その他にも少数だが、闇、光の魔法も存在する。

 それ以外にも精神系だとか身体系だとか色々あるらしいが、取り敢えず今はおいておく。


 そして魔法を発動させるには、いわゆる詠唱が必要らしい。

 詠唱という段階を経て魔法が構築され、具現化する。と言っても優れた魔術師は詠唱しなくても魔術発動出来るらしいし、ここにいるメンツ基本的に詠唱してるとこ見た事ないんだけども…


 ……という事でさぁ改めてみてみよう。


 俺の扱える魔法は幻想魔法と時空間魔法だ。

 他の魔法?リューマに調べてもらったが基本属性+二属性の魔法の適性、皆無らしいよ。

 魔法の発動には普通詠唱が必要、しかし俺の魔法は幻想魔法と時空間魔法。


 詠唱?知らないけど…?


 リューマが逃亡してきた時に、いずれ必要になるかもしれないと魔法についての本を何冊か持って来ていたのだが…

 そこには俺の魔法の詠唱については書かれていませんでした…

 あ、ちなみに文字は頑張って覚えましたよ。もう難しい本でも余裕で読めるくらいには慣れた。みんなとても褒めてくれたよ!


 話を戻そう、今の俺には魔法の才能はあるのだが使える魔法がイレギュラーすぎて詠唱がわからないという状態なのだ。

 まぁ、俺だけの魔法なのだから載ってなくて当然か…


 え?でもどうしよう。俺、自分の魔法どうやって使うんだろ……

 こう「出でよ!俺の幻影!」とかやってみたけどなんも起こらなかった。


 ……嘘でしょ?いやいやいや、……え?俺の魔法どうやったら発動するの?


 最初こそ絶望していたが、使えない魔法を神様が渡すわけがない。何か方法があるはずだ。それこそ詠唱無しで魔法が発動出来ないか?とか。

 実際母様とかリューマとか、普通に詠唱無しで魔法使ってるし。


 といっても何をすればいいのか分からないから、ただ思い付いたことをがむしゃらに実行しては失敗して実行しては失敗してを繰り返したけど。


 そしてある時転機が訪れた。それは今から一ヶ月くらい前のことだ。

 その日は父が狩りで大きな猪を捕らえた。

 大きさは3メートルは超えるんじゃないかと思うほど大きく、俺も凄く驚いた。あんなに大きな猪なんて初めて見たよ。


 早速リューマが魔法を使って火を起こしていくんだけども、今日は猪は大きかったのでいつもより火力が必要で、詠唱をして火魔法を使っていたんだ。


 その時、リューマの体内の魔力が詠唱に応じてゆっくりと形を変えて手の平に集まっていくのを感じ取った。

 そして詠唱を終えるとともに、手の平からぼっと巨大な炎があらわれた。


 なるほどなるほど。体内を巡っている魔力を発動したい魔法に準じた形に練って、それを次は手の平に集めて…なんて出来るか!

 だけど、これが成功すれば俺も魔法が使えるようになるかもしれない!


 そうして何度も実験しては失敗してを繰り返していった。そして練習すること数ヶ月、遂に魔法を使うのに成功した!

 そう、俺の手の平には、何と一枚の葉っぱが生み出されたのだ!

 この葉っぱは幻想魔法で生み出したものだ。たかが葉っぱ一枚、そう思うかもしれないがこれは大きな一歩なのだ。


 魔力を体内で練っていく時に発動したい魔法のイメージを構築していき、その魔力を手の平に集めることで初めて俺のイメージが魔法として具現化した。 

 ただこれ、めっちゃ繊細に正確にイメージしないといけなかった。これが地味に辛い!

 いやだって、ぼんやりとしたイメージじゃ魔法一切発動してくれなかったんだよ!

 めっちゃ集中して集中して…やっと魔法が使えるんだよ!しかも魔力を練って構築する時、発動したいイメージを一度に全部魔力に乗せてしまうと絶対途中で不具合が生じて発動しないんだよね。パーツ毎に分けながら魔力を練っていき、手に集結させるときに初めてそれぞれのパーツを組み合わせていく…


 ね、めっちゃ難しそうでしょ?簡単じゃね?とか言われたら泣くからな。


 そして段々と幻想魔法で再現する物の難易度を上げていき…数ヶ月後には幻想魔法で俺を再現出来るようにもなった。

 毎日毎日一生懸命川に水を汲みに行きながら、水面に映る俺の顔を見ては再現の練習をしたのだ。

 髪の色は赤みのかかった色をしており、瞳の色は赤、肌の色は褐色で耳は少しだけ尖っている。よく見ると結構可愛い顔してるな。


 こんなに小さい時から厳つい顔してたら怖いけど。

 次の課題は作った幻想を自由に動かせるようになる事だ。今はまだぎこちなくしか動かせないが、そのうちどうにかなるだろう。

 あと今の状態だと風が吹くと普通に蝋燭の火みたく揺らぐ。これも頑張って改良しなきゃだ。


 幻想魔法がある程度使いこなせるようになったら他のスキルや魔法も扱えるように取り組まなきゃな。

 後に知った事だが、何で強い魔法を詠唱無しで使わないのか疑問に思ってリューマに聞いたことがある。


 そしたら普通は詠唱無しで魔法を使おうとすると、体内で構築した魔力を集約する過程で魔力が分散してしまい、せっかく練った魔力が幾分か無駄になってしまうのだという。

 普通なら三回打てる魔法も、詠唱無しだと一、二回しか打てなくなったりする事もあるらしい。

 より強力な魔法を発動しようとするほど、魔力の集約が難しくなって分散しやすくなってしまう。

 そこで正しく詠唱を踏む事で、魔力の構築、魔力の集約をスムーズに行えるのだとか。

 なるほどー、詠唱にも立派な意味があったんだなと思った。俺には関係ないけど…



 そしてこの頃から父様が俺を鍛えるようになった。

 母様からはちゃんと許可は取ったようだ。母様、俺のことを心配して中々首を縦に振らなかったからなー、父様はそうとう頑張って頼み込んだに違いない。


 最初は身体づくりと素振り。

 ひたすら走ったり筋トレしたり素振りをしたり…を半日ほど。

 とても五歳の子にやらせるような量ではない!この鬼畜!人でなし!息子を過労死させる気か!とか言いながらも素直に従いますよ。


 こうして半日は父と訓練、残りは魔法とスキルの練習というベリーハードな毎日を過ごすようになった。


 数ヶ月もすると父様との訓練もかなり慣れた。

 最近では足捌きの練習や反射神経の訓練なども追加され、ますます厳しくはなっていくのだが…

 しかし、訓練すればする程上達していくこの感覚は最高だ。

 努力が裏切らないのだからモチベーションも下がらない。むしろどんどん上がっていく。

 よってますます俺は訓練に没頭していくのであった。


 そんな俺の姿を見て、父はさすが俺の子だ!と喜んでおり、母はレンジェルがマーチェスみたいな訓練バカになってしまう…と嘆いていたのがとても印象に残っている。


 父様との訓練と同時並行で魔法の練習も行い続けた結果、幻想魔法の扱いはかなり上手くなった。

 相手に干渉して幻を見せることもできるようになった。


 実際にはまだ小動物にしか使っていないが、幻を見せている間は相手の動きも止められて魔法を解除した後もしばらくぼんやりしてる事が多い事が分かった。

 これのおかげで俺も案定して狩りが出来るようになった。まぁ幻を見せてる間は俺も凄く集中しなきゃでその場から動けないんだけどね!

 勿論でっかい魔物は怖くて近づきたくないので、小さい動物をひっそりと狩るだけだが。


 そうそう、時空間魔法についても少し扱えるようになった。

 この時空間魔法によって作られた空間は時の流れを自由にいじれるらしく、じゃあ時間止めちゃえば最強の保存ボックス…いわゆるアイテムボックスとして使用できるんじゃね?って思ったら案の定できた、ドヤ。


 物の出し入れは簡単にでき、なおかつ時間が止まっているので狩った獲物を閉まっておくにはとても便利だ。

 でもまだこれ以外は時空間魔法を扱えずにいるので、要練習だ。何でかは分からないけど時空間魔法の方が扱いやすい気がする。字面的に絶対時空間魔法の方が難しいと思うのにね。



 そんなこんなで俺は毎日を過ごしていくのであった。


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