学園フィリムス
”死神”
そう呼ばれている女がいた。名を『ミレーア=ロンゼルス』
此処アルフォード王国には王の切り札ともいえる四人の元帥がいる。彼(彼女)等のうち誰か一人でも戦の場に放たれればそれだけで攻守がひっくり返る。寧ろ彼(彼女)等さえいるば十分すぎるほどに・・・。
だが危機的状況以外で戦場に元帥たちが出向くことはほとんどない。元帥はあくまで切り札、そうやすやすとお目にかかれるものでもないのが当然である。
そのうちの一人”死神”の二つ名を持つミレーア=ロンゼルス元帥が王国最大の女学園フィリムスに通うことになった。四人いる元帥の中で一番規格外の強さを持った彼女だが、ややずれている所がありそれを心配した国王と他の元帥たちは彼女にちゃんとした知識を持ってもらうため女学園フィリムスに通わせることにした。これはそのついでになるが今現在学園付近で起こっている不穏な事件の対処も含む。
本来ならこの程度の事で元帥に対処してもらうことはありえない。しかし今回はミレーアの行くフィリムスに付近での事件なので彼女が対処することになった。
______________________________________________
私はミレーア。今日から王国最大の女学園フィリムスに通うことになった。何故なのかは不明だが陛下がお望みなら私はそれに従うだけ。
もちろん人付き合いもちゃんとする。そうじゃないと後がめんどくさい・・・。何も本当の友達や親友なんていらない。表向きに親しいとだけ伝わっていればそれで充分。
でも・・・
「・・・顔、冷たい」
常に兜や面をつけているけど学園でつけていたらおかしいとの事のため外した。普段つけている兜や面がないため晒された顔がとても冷たい。
私の素顔を知っているのは陛下と他の元帥たちだけ。今私の周りにいる人達は知らない。教えてないわけだから当然か・・・。
それにして先ほどからこちらをチラチラ見てる人達、なんかイライラする。私はこそこそされるのが大嫌い。見ててムカつくから。
言いたいことがあるなら直接言ってほしい。例えどんな事であろうとこそこそされるよりマシ・・・。
「あ、あの・・・」
「ん?」
「て、転校生の方ですか?」
小柄な子が話しかけてきた。正直びっくり。
「そう、だけど」
「じ、じゃあこれから学園長の所に行くんですよね?」
「うん・・・」
「場所とかわかりますか?」
「わかる・・・」
私は昔から人としゃべるのが苦手なためどうしても短く、そして不愛想な感じになってしまう。
「そうですか・・・」
「?もういい?・・・」
「あ!はい!すいません!」
何故か落ち込んでいたけどまあいい。私にとってはどうでもいいことだから。
そんなこんなで学園長室の前に着いた。
━━コンコン━━
「はい。開いてますよ」
ノックをするとすぐ返事が来た。扉を開けて中に入るとそこには老婆がいた。一見どこにでもいそうな老婆だけど私はこの人を良く知ってる。
「お久しぶりです閣下」
「久しぶり、エレア」
この老婆はエレア。30年前に私の下にいた人。
「それにしても30年前とお姿が変わっておりませんのでびっくりしています」
「・・・私は、呪いによって不老であり不死に近い存在になってる。見た目が変わるはずない、それにエレアより先にも死なない」
「そうでしたね・・・」
私は生まれた時から呪いを受け一定の年齢まで行くと年を取らなくなる。そもそもすでに止まっているため何十年先であろうと私の見た目は変わらない。もっと言えば死なない、正しくは死ねない。ただそれだけ・・・なぜ貴女が悲しそうな顔をするのか私にはわからない。
「・・・どうでもいい、説明よろしく」
「あ、はい。それでは説明させていただきます」
悲しい顔をすぐにいつもの顔に戻したエレアはゆっくりと説明しだした・・・。
頑張っています。
どうか温かい目で見てやってください。
このほかにも書いているのでよかったらそっちもどうぞ!