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作者は妖怪とか全然知らないため全て適当に言っていますので予めご容赦を…

また、登場人物の能力なども深いことは一切考えていない行き当たりばったり小説です。本当は軽い短編にしたかったのですが文がまとまらず分けました(・ω・`)

色々矛盾点やでたらめな点が多いと思いますが皆さまの心の中にそっとしまっておいて頂けるとありがたいです。

『             中山相談事務所


 あなた自身あるいは親類、友人知人などあなたの周りで不可思議な出来事が起こっていませんか?

 例えば、原因不明の体の異変や身の回りで不可解な事件が起こるなど…

 他の人には言えないどんなに些細な悩みでも相談に乗ります。何かありましたらこちらまで。なお、報酬は要相談。


時間:17:00~21:00

定休日:土、日、祝日(都合によっては相談を受け付けますのでご連絡下さい)


【中山相談事務所】

Address:○×県△×市××町1-2-3

Tel:(000)-000-0000

Mail:nakayama.sodan@----.--                                                     』




市内で偏差値の最も高い進学校の制服であるセーラー服を着た少女は右手にA4の白い紙のチラシを持ってそこに佇んでいた。


「…え?じゅ、住所はここであってるよね??看板も付いてるし。……ここが中山相談事務所?」


少女の目の前には2階建ての古い西洋屋敷があった。

この、どこにでもある普通の街並みの中に立っているソレは異質な雰囲気を漂わせ、気軽に入れる雰囲気な物では到底なかった。


「でも、私にはもうここしか頼れる場所がないんだから!!」


かすかに震える手に持った紙を握りしめ、屋敷の敷地内へと自身を奮い立たせ入って行く。

古そうな扉にはノッカーが付いている。

少女は実物のノッカーなど見たことも触れたこともなかったが漫画だかテレビだかでモノは知っていたためとりあえず見よう見まねで叩いてみる。

待つことおよそ十数秒。


「いらっしゃいませ、お客様」


扉が開くと長くウェーブのかかった黒髪を後ろで1つに縛った美少女が出てきて扉を支えたまま挨拶をする。

美少女は胸元に紅のリボンがついたシンプルな白いブラウスと深緑のひざ下程になる丈のスカートを、そして黒いストッキングを着用していた。


「(うわっ!すごく綺麗な子!!…でも、さすがにメイド服じゃないよね……)」


美少女の服装は屋敷の雰囲気に合ったものではあったがどうやら扉の前に佇む少女のお気には召さなかったらしい。

少しがっかりした感は否めないが本来の目的は相談である。

気を取り直した少女はおずおずと口を開く。


「あの…私…」


「お話は中で所長と共に聞きますのでどうぞ中へ」


美少女は少し気おくれしている少女に緩く頬笑みかけると屋敷の中へと導く。

そして、扉の目の前にある階段を上り2階へ少女を案内するとある一室の扉の前で立ち止まりノックをする。


「田中さん、お客様がお見えになりました」


落ち着いた声で美少女が言うと中から「どうぞー」と、男性の間のびした声が聞こえてきた。


失礼します。そういうと扉を開き中へと通される。


少女が入った一室には中央に1つのテーブルと向かい合わせたソファーが、奥には一人用の大きな椅子と机が置いてあった。

そして、その椅子には少女とさほど年の変わらないであろう一人の美少年が座っていた。


その美少年は白のYシャツに赤いネクタイ、黒のベストに黒のズボンというこれまた屋敷の雰囲気にあった格好をしていた。


この屋敷は人物といい建物の造りといい、少女にとって「ここは日本じゃないのでは…」とどこかの物語に入り込んでしまったかの様に錯覚させる独特な雰囲気を持っていた。

しかし、目の前の美少年と横に佇む美少女の持つ黒髪黒目という色に自分と同じものを見出し安心する。


「ようこそ、中山相談事務所へ。どうぞ、そっちに座って」


にこやかに笑いかけてそう言った少年は向かい合わせたソファーへ手を遣り席に着くよう少女に勧める。


少年の声にはっとし意識を戻した少女はぺこりとお辞儀をするとソファーへぎこちなく座り隣に荷物を、テーブルへ手に持っていたチラシを置いた。それに続き少年も「どっこいしょ」と呟き椅子から立ち上がると少女とは反対のソファーに腰をかける。

少女の近くに立っていた美少女はいつの間にかにいなくっていた。


「さて…。はじめまして、お嬢さん。僕は田中太郎って言います」


以後、よろしく。にこやかにほほ笑むその姿はさながら王子様のようだったがいかんせん名前がそれをぶち壊す。


「え?田中太郎って…え??ぎ、偽名ですよね??」


少女はキラキラネームも増えてきている現代においてそんなありきたりな名前を親がつけるのか…と怪しく思いつい少年の名前に突っ込んでしまう。


「あれ?君は親から貰った人の名前に対してそんなことを言うの?

僕だってこんな古臭い名前嫌だけど、それでも今までからかわれつつこの名前で生きてきたのに…」


少し目を伏せて悲しそうに言う少年に対し思わず顔を赤らめてしまう少女。


「い、いえ!すみませんでした!!本当に田中太郎なんて名前初めて聞くものでしたから…。勝手に決め付けちゃってごめんなさい」


慌てて胸の前で両手をぶんぶん振って自分の失言を詫びる少女。

田中はそんな少女の姿に笑みを浮かべると「分かってくれれば良いんです」と謝罪を受け入れた。


「えと…私は相楽瑞穂って言います。17歳です。…それで…」


相良が何か言いかけたその時、部屋にノックの音が響き渡った。


田中が慣れた感じで「どうぞー」と声を出すと、先ほどこの部屋まで案内してくれた少女が紅茶とお茶受けを持って入って来る。


「どうぞ」


カチャと小さく音をたて田中と少女の前に紅茶の入ったティーカップと小さいショートケーキが目の前に出される。

ミルクとお砂糖はお好みで。というとテーブルの中心にそれぞれが入った容器を置いていく。


「あ、ありがとうございます」


少女が小さくお礼をいうと美少女も小さく会釈をし、すっと田中の後ろへと立った。


「あ、ちなみにこの子の名前は山田花子って言うんだ。…この子も名前について色々言われてきたから突っ込むのは無しでお願いね」


彼女は相楽瑞穂さんだって。と先ほど聞いた少女の名前を山田へと伝える田中。

軽い調子でそういう田中に先ほどの疑念がさらに深くなって沸いてくる。


「(さっきはつい謝罪しちゃったけど、絶対嘘だ!!)」


相楽は偽名だとわかれども目の前の田中は飄々としており、きっと突っ込んでも先ほどのように躱わされるだけだろう…と開きかけた口を閉じた。


ところで…、田中はそう続けると相楽が身にまとっているセーラー服を指差し言った。


「その制服…七羽高校の制服でしょ?」


「!? どうしてそれを?…もしかして、田中さんも七羽高校の生徒だったりしますか?」


急に制服の話をされ驚く少女。

田中の見た目的に高校生に違いないと淡い期待を込めて聞いてみる。


「いや…ただ、この辺でセーラーの高校は七羽くらいかなと。それに、七羽はこの辺じゃ有名だしね」


「そ、そうですか…」


笑いながら言われた返答に見るからに肩を落として残念がる相楽。


「(そうだよね…こんなイケメンがうちの学校にいたら噂になっているだろうし)」


はぁ、と小さくため息をついた相楽のことは気にせずに田中は話を進めていく。


「自己紹介も済んだことだし本題に入ろうか」


「え!?」


「えって…もしかしてお客さんじゃなかったとか?」


おかしいなぁ…と呟く田中に無表情のまま立っている山田。


「いえ、客なのは合ってるんですが…。お二人はアルバイトか何かでは?」


山田さんに所長と話を聞くと言われたのですが…相楽が戸惑いつつ自分と同じ年代らしき二人を交互に見つめ呟く。

そんな相楽の表情を見た山田はため息をつき田中を睨む。


「まだ言ってなかったんですか、田中さん」


「あっれぇー、おかしいな。自己紹介の時に言ったと思ったんだけど」


なにやってるんですか、あなたは。やれやれといった表情で呟く山田に対しまぁまぁと笑いつつなだめる田中。

そして二人のそんな様子に戸惑いを浮かべる相楽。


「いやぁ!ごめんね、相楽ちゃん!!…僕がここ、中山相談事務所の所長の田中。そして山田は僕の助手なんだ。」


ちなみに、中山相談事務所って名前は田中の“中”と山田の“山”から取ってるんだ!田中はあっけらかんとそう言った。


相楽は茫然と田中を見つめた後、鞄を抱えてすっと立ち上がった。


「すみません。帰ります。…お茶ごちそうさまでした。」


二人に対しぺこりとお辞儀をすると足早に廊下へと繋がる扉へと向かう。

相楽の手がドアノブにかかった瞬間、待った。という田中の声が部屋に響いた。


「ねぇ、相楽ちゃん。君さぁ、誰にも頼れなかったからこんな入りにくい屋敷まで僕らを頼ってきたんだよねぇ?…あんな怪しいチラシを信じてさ」


先ほどまでのフレンドリーな笑みはなりを潜めて真剣な表情で言う田中。

そんな田中の変化に少し怯えつつ対抗する相楽。


「だって、こんな私と年も変わらなそうな人達だと思わなかった!こっちは藁にもすがる思いでこんなチラシを頼ってきたのに…馬鹿にしないでっ!!」


感情的ななりすぎたのか先ほどまでの敬語は抜け落ち相楽の本心が口に出される。


「馬鹿にしてるのはそっちだよ?そもそも君の相談は生半可な人では理解されない。

お祓いしに行っても相手にされなかったんでしょ、その右手」


痛ましそうな眼差しで相楽の右手を見つつ言った田中の言葉に息をのむ相楽。

思わず左手で右手首を庇い覆う。


「…わかるの?私の右手のこと」


茫然と田中を見つめ呟く相楽に対し笑みを浮かべて頷く田中。


「大丈夫。君の右手は治るよ、相楽ちゃん」


優しげな声色で言われたのそ言葉に相楽は思わず泣き崩れた。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

あと2話で終わる予定なのでよろしければお付き合い下さい!

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