翠眼の少女
俺の趣味は写真を撮ることだ。撮るものは雨上がりの虹だったり、飲みかけのコーヒーだったり、胸の大きなお姉さんだったり、だ。
そして最近毎日撮っているのが今俺の目の前にある豪邸だ。この前、胸の大きなお姉さんが入っていくのを見たからまた会えるかなー、と少しの期待を抱いている訳ではない。
……。それにしても、広くて美しい屋敷だ。通い始めてから一週間経つが、どれだけ撮っても飽き足りない。この豪邸をここに建てた人に感謝したいほどだ。
「そろそろ帰るか」
空は丁度太陽が沈み、夜になろうとしている。そろそろ帰らないと、夕飯に間に合わない。
豪邸に背を向けて帰ろうとすると、
「ねえ君、最近ここによくカメラ持って来てるよね?」
「うひゃあ!?」
さっきまで誰もいなかったはずなのに、急に声をかけられたので変な声を出してしまった。
「君、面白いね?何もない所で転んだり、左右で違う靴はいてたり」
振り返るとそこには、綺麗な金髪翠眼の少女が笑顔でたたずんでいた。その姿は夜が近づく街の風景とあいまって、まるで地上に降り立った天使のように見える。すごく可愛い。
それより、何故転んだことを知ってんだ?それに左右違う靴はいていたというのは自分でも覚えがないんだが。
「この屋敷の窓からみてたから」
「心を読めるのか?」
そういうと、彼女は声を出して笑いながら、
「アハハッ!そういう所も面白いよね。君、名前は?」
「アル、でいい。き、君の名前は?」
「ベスでいいよ。よろしくね、アル」
またも天使スマイルを向けられる。眩しい笑顔だ。
「よろしくな、ベス」
思わずにやけそうになるのをなんとかで押さえ込んで、こちらも笑顔で返事する。
すると彼女は急に恥ずかしそうに一度下を向いて、それから顔をあげ、
「あの…突然なんだけど、君をモデルに絵を描かせてくれないかな?」
とお願いしてきた。
そんなに上目遣いでみつめられたら断れるはずがない。
「それくらいなら全然いいぜ!」
「明日もここに来る?」
また上目遣いでこちらを見つめてくる。か、可愛い。
「おう!」
「じゃあ今日はもう遅いから、また明日」
満面の笑みで手を振ってくれたので、もちろん、俺も笑顔で手を振りかえした。そして彼女は豪邸の中へ入って行った。
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