老人と少年
1.老人と少年
その夜は、いつになく激しく雨が降り続けていた。夜半過ぎには風も強くなり、老人は就寝前に小屋の各所を見回り…
「うむ、これだけの雨でも雨漏りせんとは、修繕しておいた甲斐があったわい」
満足げに呟くと、明かりを消そうとした。しかし
「…何じゃ?」
微かに聞こえた物音に老人は振り返った。よくよく耳を澄ますと、暴風雨の轟音に混ざってドアを叩く音が聞こえる。
「こんな夜更けに、しかも嵐の中…」
用心しながらも老人はドアに近付き
「こんな時間に何用かな?」
低いが、よく通る声で尋ねた。しかし返事は無く、ドアを叩く音も次第に弱くなっていく。やむを得ず老人は僅かにドアを開け、闇の中に目を凝らす。そして
「…そなたは!」
相手の姿を認めた瞬間に絶句した。そこに居たのは息子の妻となった婦人と、その腕に抱かれた幼子だった。
「…お、お義父様、この子を…この子をお願い…しま…す」
そこまで言うと、力尽きたのか婦人は気を失った。老人は慌てて二人の身体を引き込むと同時に勢いよく扉を閉めた。
「しっかりせい!気を確かに!」
必死な老人の必死の叫びは、荒れ狂う風雨に掻き消されていく。
それから十数年の月日が流れ…
鬱蒼と茂る木々。果てしなく続くと思われるその森の奥から、激しく何かを叩きつける音が響いて来る。時折その音に混ざって怒鳴り声の様な叫びも聞こえる。
「どおりゃぁぁーっ!」
叫び声の主である少年は、渾身の力を込めて木剣を振り下ろした。が
「バカ者」
稽古相手の老人が軽くいなすと、少年は体勢を崩して派手に転んだ。慌てて振り返ったが、目の前には切先が待ち構えている。
「うっ…」
「何度言えば解るのじゃ?力みすぎては何も出来んといつも言っとるじゃろうが!」
老人は言いながら少年の頭を小突いた。
「ワシは朝飯の仕度をしておく、終わるまで
素振りでもしておれ」
そう言い残し、老人は立ち去った。
「まぁーた素振りかよ…」
ぶつぶつ文句を言いながらも、少年は一心不乱に剣を振り始める。
黙々と剣を振り続ける少年。その数が千に達しようとした時、森の奥からかすかに喚声の様な物音が聞こえてきた。
「…何だ?でもまぁ素振りしてるよりは面白そうだ」
言うが早いか少年は駆け出そうとして
「おっと、まだだよな」
一旦老人の立ち去った方を振り帰り、まだ戻って来ない事を確認するとそのまま走り去った。
走るにつれてだんだん物音は大きくなっていく。そしてそれが喚声ではなく、鬨の声だと言う事に気付いた。時折それに混ざって馬の嘶きも聞こえる。
「馬?珍しいな。迷い馬なら…とっ捕まえてジジィにプレゼントしてやるか」
少年がそう呟いている時、その場所では迷い馬ではなく、一人の騎士が立ち往生していた。
「くっ、次から次へと…ぬんっ!」
森に住む子鬼、コボルドの群れに取り囲まれながらも、騎士は凄まじい勢いで槍をしごき続けて群れを圧倒していた。
「おぉ、凄ぇ…」
現場に着いた少年は思わず嘆息する。
「こりゃあ、手助けの必要も無さそうだな」
すっかり観戦気分の少年だったが、その時騎士の頭上に怪しい影を認めた。
「あれは…気付いてないのか?」
少年の目に入ったのは、密かに樹上に潜みつつ、頭上から騎士に襲いかかろうとしている一団だった。
「ふぅ、貴様等もそろそろ諦めて、道を空けてくれんか?」
騎士は一息つくと、明らかに戦意を失ったかに見える群れに向かって言った。
「…話が解るのならば、だが」
騎士は言いながら馬上槍を納めた、と同時に待っていたかの様に頭上の一団が飛び掛ってきた。が
「甘いわっ!」
「どりゃあああぁあっ!」
騎士と少年はほぼ同時に叫び、騎士は両の拳で二匹のコボルドを、少年は投げ付けた石と木剣で、同じく二匹のコボルドを吹っ飛ばした。意外な展開に二人は顔を見合わせる。
「君は…?」
先に口を開いたのは騎士の方だった。少年の存在に気付いていなかっただけに、驚きが大きかった様だ。
「とりあえず、自己紹介はこいつ等片付けてからがいいでしょ?」
少年は言いながら周りに鋭い視線を送り、騎士も同様に辺りを睨みつけ、再び槍を構えるが…
「ありゃりゃっ?」
すっかり当てが外れた上に既に戦意を失っていた群れは、背筋も凍りそうな鋭い視線を受けて蜘蛛の子を散らすように逃走した。
「行っちゃったみたいだねぇ」
拾い上げた木剣を担ぎながら、少年は言った。
「うむ、まずは礼を言わせて貰おう」
騎士はそう言うと馬を降りて冑を脱ぐと、うやうやしく頭を下げた。
「えっ?いや、別に大した事してないし…」
少年は照れ臭そうに頭を掻く。そして
「そんな事より、おじさんめちゃくちゃ強いね!ウチのジジィといい勝負かも」
照れ隠しの様に相手を褒め称えた。すると
「お祖父さんと暮らしているのか?」
騎士は急に語調を強めて聞いた。少年は思わずうろたえる。
「まさかそのお祖父さんは、ジークと言う名ではなかろうか?」
「えっ?なんでジジィの名前を?」
少年のその言葉に、騎士の顔にはあからさまな喜色が浮かんだ。そして、
「ん?と言う事は、君はジークの孫か?道理で荒っぽい事をする訳だ。こりゃあいい!それにその不敵な面構え、正に若い頃のあやつにそっくりではないか!」
そう言うと騎士は大声で笑い出した。
「…誰?」
少年は思わず呟く。
小屋へ向かいながら、少年は騎士に色々と質問をしていた。そして解った事は、騎士の名がハイネンと言い、少年の祖父の古い友人であると言う事。そしてその祖父に重要な話がある為はるばる旅してきた所、運悪く森の小鬼供に囲まれて立ち往生していたのだという事などだった。
「それにしても流石は我が悪友ジークの孫。
先程の乱入には少々驚いたが、おかげで楽に突破できたわい」
ハイネンはそう言うと少年に笑いかけた。その笑みに、少年の心に浮かびかけていた疑念は殆ど消え失せていった。更にハイネンは言葉を続ける。
「将来が楽しみじゃ、きっと凄い剣士になれるぞ」
「いやぁ、そんな事は…」
そう言いながらも、少年の顔はニヤけまくっていた。
程なくして少年とハイネンは、少年達の住んでいる小屋の前まで来た。小屋の煙突からは僅かに煙が出ている。漂ってきた臭いに少年の鼻が反応した。
「おっ、いいタイミングだ。ちょうど朝飯ができたとこみたい」
その言葉と同時に少年のお腹が鳴った。
「お日様より早く稽古始めたもんだから、もうお腹ペコペコだぁ」
言いながらお腹をさする少年を見て、ハイネンは大きな声で笑った。
「うむ、腹が減るのは元気な証拠じゃ。大変結構!」
少年は笑顔で小屋の扉を開けた。
「じいちゃーん、稽古終わったよー!」
少年は元気良く中へ声をかけた。より強烈な朝食の臭いに一層強く腹の虫が騒ぐ。
「おお、ちょうど今仕度が終わった所…?」
奥から出てきた老人、ジークは、少年の背後に立つハイネンの姿を認めると、急に目つきを変えた。同時に
「隙ありっ!」
ハイネンは篭手から短剣を抜き、ジークに投げつけた。同時にジークは壁に掛けてあった包丁でそれを弾く。
「………?」
少年は暫く訳が解らないという顔で立ち尽くしていたが、我に返ると手にしていた木剣を振りかざした。しかし、
「お前は手を出すな!」
有無を言わさぬ語調でジークが言った。その間にハイネンは表に出た。すかさずジークも後を追う。
「不意打ちにも動じぬとは、流石!」
言いながらハイネンは剣を抜いた。ジークも片手に包丁、もう一方にはいつのまにか木剣を手にしている。
じりじりと間合いを詰める二人。少年は瞬きすらせずに行方を見守っている。そして、
気合と共にハイネンが仕掛けた。
ハイネンの一撃は、大木をも切り倒すのではないかと思う程凄まじかった。しかしジークはそれを間一髪でかわし、常に鋭い一撃を連続で返していく。互いに一撃を加えられないままに、時間が過ぎていった。気が付くと二人共顔には笑みを浮かべている。そして、互いに剣を降ろすと、揃って声を上げて笑いあった。
「流石は我が友、相変わらず鋭い剣の使い手だな。とはいえ多少は衰えたか?」
「貴様こそ、老けた割には勢いのある剣を振るうのう。とは言え自慢の鎧に傷をつけてはいかんと思い、加減してやった事に気付かんとは、耄碌した様じゃのう?」
互いに憎まれ口を叩きつつも、二人は更に大笑いした。少年は呆気に取られた顔で二人を見つめている。それを尻目に二人は肩を叩きあい、再開を喜び合っていた。
少年は黙々と匙を口に運ぶ。あえて口には出さないが、明らかに腹を立てている。とは言えそれは騙されたから、と言うより一瞬とはいえ本気で心配した自分に対する恥ずかしさからだった。
「なんじゃ、その渋面は?そんな顔をしていては折角の朝飯も美味くなかろうが」
ジークの言葉を聞くと、ハイネンは済まなそうに少年に話し掛けた。
「いやぁ、すっかり驚かせてしまい申し訳無い。とは言えあれは我等二人の挨拶みたいなもの、どうかそう怒らんでくれんかのう?」
少年はその言葉にも特に反応せず、黙々と食事を終え、そそくさと自分の食器を片付け始めた。
「うーむ、やはり子供にはわからん事だったか」
「まぁ気にするな、あやつもそれなりに難しい年頃になったんじゃろ」
ジークはそう言いながら立ち上がると、棚から一本の酒瓶を出した。
「わざわざここまで来るからには急な用事でもあるのだろうが、取り敢えずは一杯やらんか?」
「む、朝からか?…まぁそうだな、折角のお誘いだ、頂こう」
杯に注がれたワインで、二人は改めて再会を祝した。
およそ二十年振りの再開とあって、二人の話は弾んだ。気が付くと既に日が傾きかけている。
「ところで、そろそろ用件を聞こうか」
積もる話も一段落した時、ジークが口走った。それを聞き、ハイネンも和やかな表情を一変させる。
「実は…」
重い口調でハイネンは話し始めた。
外では、少年が黙々と薪割りをしている。元々よく解らないイライラを解消しようと始めただけに、割った薪も相当な数に登っている。改めて積上げた薪の山を見て、少年も思わず一息ついた。
「…我ながらよくやったもんだ」
たっぷりと汗を流したせいか、少年は清々しい気分になっていた。流石に腹も減り、少年は小屋に戻った。すると、
「おお、ちょうど良い時に戻ってきたな」
入ると同時にジークの声がかかった。
「大事な話がある、とりあえず一服しろ」
ジークは言いながらお茶と軽い食事を用意したが、余程空腹だったのか、少年はあっという間にそれを平らげてしまった。
「さて、どうする?自分で話すか?」
ジークは言いながら視線を送った。ハイネンは軽く頷くと、ゆっくりと話し始める。
「まぁ、なさけない話なのだがな…」
話の内容は、甚だ簡単に言うと盗賊退治だった。王宮より遥か北に位置する廃村に凶悪な盗賊団が住み着き、時折城下町や城へ出入りする隊商を襲っているという。盗賊とは言え恐ろしく統率の取れた集団であり、中でもその長である大男には、王宮の騎士の中でも太刀打ち出来る者がいない。その為なんとか助太刀を頼みたいと言う事だった。
「…お主が出張っても危ういのか?」
「その大男と戦えば、正直危ういかもしれんな。それに…恐らくワシはそやつを斬る事が出来ん」
「どういう事じゃ?」
「…もう随分前になるな、お主が城を去って間もない頃に…」
「えっ!ジィちゃんが城に?」
不意に少年が話の腰を折る。
「そんな話今はどうでも良い。黙って聞かんか!」
「…今まで一度もそんな事言って無いじゃんかよ…」
一喝され、オルアはふてくされた様に呟いた。
「そやつがやって来たのは、冬も間近な晩秋の事。あての無い放浪の旅の最中で城下町に立ち寄った際、ワシと出会ったのじゃ。常人の倍はあろうかと思えるその身の丈、そして見た目以上のその怪力、そして何よりもその真っ直ぐな瞳に魅せられたワシはそやつを自宅に招き、色々と話を聞いたと言う訳じゃ。
故郷は遥か東方で、武者修行と各地の見聞を記録する為に旅をしていると言う事。冬場は町に滞在して、各地で得た記録を自分なりにまとめていると言う事。道中は野の獣や、時には魔物まで狩り、糧を得ていると言う事…色々な話を聞き、ワシは彼を城の兵士に推薦した。最も初めは彼自身に拒否されたがな。宮仕えは柄じゃない、とな」
ハイネンは杯を指先でもてあそびながら、更に続けた。
「それでもワシは個人的にそいつを気に入ってな、強く王に推薦した。是非兵として登用すべきだと」
ハイネンは物思いにふけるかの様に、暫く押し黙った。
「…え、続きはどうなって…」
「黙って聞いとれ!」
沈黙に耐えられず、思わず口出しするオルア、それをジークが一喝した。ハイネンは思わず笑みを浮かべてオルア視線を向けたが、再びジークに視線を戻すと更に話を続けた。
「始めのうちは順調だった。そやつは素直で仕事の覚えも早く、誰か困っているとすぐに手助けする、正に見込んだ通りの男だった。しかし、何処にも余計な事をする奴は居る。
人を妬む暇があれば自分を磨けば良い物を、
人の足を引っ張る事ばかり考える様な…」
注ぎ足したワインを一気に飲み干すと、ハイネンはそのまま押し黙った。いつの間に降り出したのか、雨音だけが静かに響く。
「あの馬鹿共が!」
いきなり怒鳴り声を上げるハイネン。思わずオルアはビクっとした。ジークはそれでも黙って聞いている。
「…すまん」
ハイネンがそう言うと
「何か複雑な事情がありそうだけど、別にそれはどうでもいいや。なんか話しづらい内容みたいだし」
あっけらかんとした顔でオルアが言う。
唖然とする二人をよそにオルアは続けた。
「結局何だかんだいっても助太刀を頼みに来たんでしょ?だったらジジィもゴタゴタ言わずに手伝ってあげりゃいいじゃんか!」
「なっ、この馬鹿者!なんちゅう口のきき方をするんじゃ!」
そんなやり取りを見て思わずハイネンが笑い出す。
「な、何が可笑しい!」
「いやいや、流石に血は争えんなあ!お主の若い頃にそっくりではないか!」
「えー!じゃあ俺歳くったらこんなジジィになるっての?」
「うはははは!そりゃあそう言う事になるだろうなあ!」
「なっ、お主まで一緒になって何を言うか?いい加減飲み過ぎじゃぞ!」
「まあ良いではないか!折角の再会なのだ、硬い事は言うな!」
「…確か、真面目な話をしているのではなかったかな?」
「うむ、しかしよく考えたらやはりワシ自身で解決すべき問題だと解った!いや、色々と済まなかったな、ではそろそろ失礼する」
そう言ってハイネンはいきなり立ち上がると、そのまま出て行こうとした。しかしその足取りはかなりふらついている。しかも外ではいまだに雨が降り続いていた。
「…オルア」
「了解!」
疾風の如く駆け出したオルアは、今にも馬に乗ろうとするハイネンを捕まえると、上手い事言ってそのまま連れ戻した。
「そうかそうか、お主がまだそんなに名残惜しく思うのなら、仕方無い、今夜は泊まっていく事としよう!」
その言葉を聞いたジークは苦笑しながらも夕食の準備を始める。ハイネンは待っている間、オルアと楽しげに喋っていた。オルアにしても初めて話す「外の人間」だったので興味は尽きない。外の世界の事、城や城下町の事、森の外に住む動物や魔物の事…それらの話に目を輝かせて聞いていたオルアだったが
「さあ出来たぞ。さっさと運んでくれ!」
「なんだよー、いい所だったのに」
文句を言いながらもオルアは夕食を運ぶ。程無くしてテーブル上には無数の皿が並び、そのどれからも空腹を更に刺激する香りが立ち上る。先程軽食を済ませたばかりのオルアとハイネンだったが、その香りの促すままに勢い良く食べ始めた。その様子に思わず笑みを浮かべながら、ジークも食べ始める。
翌朝、ハイネンは日の出と共に出立し、その後ろ姿を見送りながら、オルアは決意を固めていた。
数日後、旅立ちの準備を済ませたオルアにジークは話しかけたが、その顔は今までに無く真剣だった。
「いつかは、こんな日が来るとは思っていたが…まさかワシの友人の手助けをする為とは思っても見なかった」
「…何だよ、ガラにも無い顔して」
「ふっ、育てる側の気持ちはまだお前には解るまい?ワシとて人の親、少し位は感傷的にもなるわい」
「…よく言うぜ、散々しごき倒したくせに」
「そりゃあ、お前が旅に出ても誰にも引けを取らん様、心を鬼にして鍛えたからじゃ」
「あっはっは!そりゃあいい…ってオイ?」
思わず笑い出したオルアだったが、不意に笑いを止めた。鬼の目にも涙と言うべきか、ジークの目に光る物を認めたからだった。
「お…おい、ジジィ…」
心配そうに声を掛けるオルアだったが、次の瞬間
「がーっはっはっはっは!」
いきなりジークは大声で笑い出した。
「うっはははは!この程度の芝居に引っかかる様では、この先が思いやられるのう?」
先程までの神妙な顔つきはどこへやら、ジークの顔には満面の笑みが浮かんでいた。
「つっ、つまらねえ芝居しやがって…」
尚も笑い続けるジークを見て、オルアはふてくされるが、やがて一緒になって笑いだした。
そして翌早朝…
「んじゃ、そろそろ行って来る」
「うむ、今出発すれば夕暮れまでにはファスの村まで辿り着けよう。くれぐれも気を付けてな」
「解ってるって」
「それと、これはまぁ無事に仕事が片付いたらの話だが…」
「…?」
「その後も旅を続けるかどうかはお前に任せるが、どちらにしても、必ず一旦は戻って来い。よいな?」
「…ああ、解った。どうせ何でって聞いても教えてくれないんだろ?」
「流石に、よーく解っているではないか」
そう言ってジークは豪快に笑い出した。オルアの顔にも自然と笑みが浮かぶ。
「さってと、あまりモタモタして野宿するのもゴメンだし、そろそろ行くわ」
「ああ、無事初仕事を済ませて帰って来い。帰ってきたらご馳走じゃ!」
「よっしゃ!じゃあさっさと片付けて来るから、今から材料集めしといてくれ!」
オルアはそう言うと、颯爽とマントをなびかせて旅立つ。