驚きました。
「………………アレ?」
五体のゴーレムを撃破した一は、その光景を見てたっぷり三秒くらい呆けた顔をしてから首を傾げた。
「なんか……今のビーム、威力が強すぎなかった? チャージショットじゃなくてノーマルショットを撃ったはずだよね、僕?」
一定時間エネルギーを溜めてから放つチャージショットではない、ただのノーマルショットにしては今の攻撃は威力が強すぎるように一は感じられた。少なくともゲームのマスターギアではあれほどの威力はなかったはずだ。
「やっぱりゲームとは違うってことかな? ……まあ、いいか。それよりも宇宙船の方は?」
ゲームとの差異を調べるのは後にすることに決めた一はゴーレムに追われていた宇宙船を見る。宇宙船は今の射撃でサイクロプスの存在に気づいたらしく、こちらに向かって飛んできていた。
「よかった。どうやら無事みたいだ。リンドブルム、ついてきて」
助けた宇宙船と接触することを決めた一は、自分もまたリンドブルムを引き連れて宇宙船に向かって飛んでいく。そして画面を拡大しなくても宇宙船の姿が見えるくらい近づくと、宇宙船が船体のライトを点滅させてきた。
「? あの宇宙船、一体何をしているんだ?」
宇宙船はライトを決められた間隔で点滅させて「貴官ノ援護二感謝スル。貴官ラノ艦二着艦スル許可ヲモライタイ」という意味の発光信号を送っているのだが、発光信号を知らない一はとりあえずリンドブルムの右舷にある第二格納庫を開放すると、そこを右手のビームライフルで差し、左手で「あそこに入れ」とジェスチャーを送る。すると一のジェスチャーが通じたのか、宇宙船は第二格納庫に入っていき、それを見届けた一もサイクロプスを第一格納庫にと格納した。
「宇宙船の中には三十人近い船員が乗っているのか。リンドブルム、とりあえず船員達を近くの部屋に誘導して。あと、その部屋へのナビもお願……いっ!?」
ひゅうう……。
サイクロプスから降りてリンドブルムの艦内に戻った一が、空中に浮かぶモニターに指示を送って宇宙船の船員達が集まっている部屋へと向かおうとすると、不思議なことに何処からか緩やかな風が吹いてきて無重力に浮かんだ彼の体を目的の部屋へとかなりのスピードで運んでいく。
「なんかもう、本当に何でもアリだなこの艦。……って、もうついたか」
一分もしないうちに船員達が集まっている部屋にたどり着くと、風が止んで一の体が部屋のドアの前で開放される。
「ここにあの宇宙船に乗っていた人達がいるのか……」
この世界に転生して初めての人類との出会いである。一は失礼がないようにと一回深呼吸をしてからドアを開けて……、
「………………アレ?」
呆けた表情で間の抜けた声をもらした。
部屋の中にいたのは、それぞれ種類は異なるが動物の耳と尻尾を生やした三十人近い若い女性ばかりだった。