敵、発見しました。
ゴオオッ!
「うっ! ぐぅ……!」
リンドブルムの第一格納庫から発進したサイクロプスが加速しながら宇宙空間を飛ぶ。そのコックピットで一は加速による重圧に必死になって耐えていた。
「これが加速による重圧……! ゲームでは絶対に感じられない感覚……!」
体を押し潰すような重圧に一は辛そうに、しかしどこか楽しそうに呟く。重圧は確かに辛いがそれでも耐えられないほどじゃない。
「もしかしたらこの転生した体、以前の体とは比べ物にならないくらい頑丈なのかもしれないな……」
その証拠に一の体は徐々に重圧に慣れてきて、飛びながら周りを見る余裕も出てきた。そして余裕が出てくると一は自分がマスターギアに乗っているという実感を感じるようになった。
強大な力を持った巨人の体を意のままに操り、無限に広がる宇宙を加速しながら飛んでいる。まるで全能の存在になったかのような充実感が一の興奮とサイクロプスの速度を加速させる。
興奮した一はそれからしばらくの間、サイクロプスで宇宙空間を縦横無尽に飛び回った。機体を加速させたり進路を変える度に重圧が容赦なく体に襲いかかってくるが、一はそれを気にすることなく飛び続け、時間にして三十分くらいが経ってようやく飛び疲れた彼はリンドブルムに戻ることにした。
「ふぅ、そろそろ戻るか。いい加減リンドブルムの中も調べないといけないし……」
ビー! ビー!
リンドブルムに戻ろうとした時、突然コックピット内部に警報が鳴り響き、モニター化した右の壁に六つの光点と文章が映し出された。
「なんだコレ? 見たこともない文字だけど……あれ? 僕、分かる!?」
モニターに映し出された文章は日本語でも英語でもない今まで見たこともない文字で書かれていたが、何故か一は文章を読むことができた。しかし今の彼はその事実よりも、文章の内容の方に驚いていた。
「……正体不明機一機と『敵』五体がこちらに向かって接近中だって!?」
正体不明機というのは一体何なのか分からないが、「敵」という単語には一つだけ思い当たるものがあった。
「……敵、もしかして『ゴーレム』のことか?」