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生きてました。

「……ん?」


 目を覚ました一が最初に見たのは白い光を放つ照明だった。


「僕は……生きているのか?」


 車に轢かれた激痛は嘘のように消えていて、指一本動かせなかった体は今は自由に動かせるようになっている。


「ここは病院……じゃないよな?」


 誰かが自分を病院に連れてきてくれたのかと思った一は体をゆっくりと起こして回りを見回すが、そこで彼は自分がベッドではなく冷たい床の上で横になっていたことに気づく。そこは何も置かれていない殺風景な部屋で、ただ夜空を映す窓があるだけだった。


 どう見ても病院の病室とは思えないが、一はこの部屋にどこか見覚えがある気がした。


「この部屋は一体……え?」


 一はあることに気づいて窓に近づいていき、夜空を透かしながら窓に写って見える人の姿を確認する。


「だ、誰だ? この人……?」


 窓に写っているのは自分の姿のはずなのに、そこにあったのは全く別人の姿だった。


 外見年齢は十代後半くらい。銀色の髪に青の瞳。体にぴったりとフィットしているダークグリーンのライダースーツのような服を着こなす若い男。


 まるでどこかのSFに登場していそうな青年の姿がそこにあった。


「……」


『……』


 一が右手をあげると窓に写る青年が左手をあげる。


「……」


『……』


 次にーが左手をあげると窓に写る青年が右手をあげる。


「もしかしなくても……これが僕なのか?」


 一は信じられないように首を小さくふりながら呟く。


 自分の身に何が起こったのか全く分からない。


 車に轢き逃げされて死んだかと思ったら生きていて、でも目が覚めた場所は何処だか分からない場所で、しかも自分の姿が別人に変わっている。


 一は一瞬、自分が死の間際に夢を見ているのかとおもったが、指先で窓に触れてみると固い感触が指先から伝わってきて、これが夢ではなくて現実だと理解した。


 まだ納得はできていないが、今自分に起きていることが現実であると少しずつ認めようとした一だったが、そこで彼は更なる異常に気づく。


「……………………嘘だろ?」


 呆然と呟く一の視線の先、窓の向こうに広がっている夜空。そこには闇と星の光以外何もなかった。


 雲も、海も、大地、人の街も、なかった。


 時折、視界の端で宙に浮かぶ岩がどこかに飛んでいくのが映り、それを見て一はある結論を出す。















「僕、宇宙にいるの?」

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