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エルデグランデ物語  作者: 控え室
第一章
1/1

第1話:禁書庫侵入大作戦!

「これも違う。これも・・・・・・違う。ちっ、“白書はくしょ”のはの字も出てきやしない」

 俺は本を元の場所に戻す。

 さっきからこの作業の繰り返しだ。

 やーっぱこんなふっつーの図書館にあるわけないないんだよなあ。

「おーい、アスカ。そっちあったかー?」

 少し離れたところで同じように本を探している相棒に声をかける。

「ねえよ。どれも普通の魔道書だ」

 ・・・・・・そっけない。

 うーん。

 奥の棚にもないんじゃもうここの本はだいたい見つくしちゃったよなぁ。

「わかっちゃいたけどここもハズレかね・・・・・・ん?」

 ふとカウンターの方を見る。

 司書のおねえさんが偉そうなおっさんを図書館の奥へと案内して行くところだった。

 そのまま扉の奥へ消えていく。

 あのおっさん、格好からして貴族かな。

 なんかごてごてしてた。

「そういえば・・・・・・」

 横合いから話が出る。

 気づくとアスカも俺と同じ方を向いていた。

「聞いた話によると」

 しかしまあ。

 ほんと・・・・・・見れば見るほど美人だなこいつは。

 目はきりっとしていて勝気な印象。綺麗な空色の髪を後ろで無造作にくくっていて、全体的にどことなく荒っぽさがあって・・・・・・そこがこいつの魅力だよなぁ。

 なにより・・・・・・。

 そうなにより・・・・・・。

 胸がデカイよな!!!!!!

「この図書館のなかにさ」

 Iはあるっしょー、あのおっぱい!おまけにボンッ、キュッ、ボンッのむっちむちでねぇ?まいっちゃうよねぇ?羽織ってるジャケット下で胸を強調するシャツといい、大きくて触り心地よさそーなヒップを強調するあのパンツといい・・・・・・もう――。

「国から管理を委託された禁、書庫が、ある・・・・・・らしい・・・・・・ぜ?」

「もーう、たまりませんなッッッ!!!!」

「てめぇさっきからどこ見てんだエロガッパ!!!!!!」

 がごっ!

「いっっってぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 鉄拳制裁をくらった。

 かなり痛い。

「ったく!人がまじめに話してるときは、まじめに聞けっつーの」

「聞いてたって。禁書庫があるっていう話だろ?」

「そーだよ」

 俺だって別におっぱいだけに気をとられていたわけじゃない。失礼なやつだ全く。

「それでヒビキ、調べるのか?禁書庫」

「そりゃあな。“白書”があるとすればそういうとこだろうし」

「でもどうやって調べるんだよ。きっと入れてくれないぜ?」

「とりあえずまずはあそこにいる司書のおねえさんに聞いてみる」

 きいてみた。

 ・・・・・・。

 だめだった。

 そりゃまあそうだわな。

 なんか王宮の文官から閲覧許可をもらわないといけないらしい。

「じゃあ禁書庫はこの国の貴族ぐらいしか見られないってわけだ」

「だろーな」

 アスカに相槌を打つ。

 そもそも一般市民じゃ王宮に入れてくれんしな。

「そういうことらしいからさアスカ」

「あ?」

 それならそれで仕方がない。

 やるべきことはひとつ!

「忍びこむぞ」

「・・・・・・まじ?」

 まじ。





「ハイ夜になりましたっ!!!!!!」

 俺たちは閉館後の図書館前にいた。

「別に言わなくたってわかってるっての。・・・・・・まじでやんのか?」

「ったりまえだろ~。“白書”がどこにあるかわからない以上、手がかりは全部あたっていかねえと」

「でも国の禁書庫なんだろ。セキュリティも結構厳しいんじゃねえか?」

「たかだか本に、そこまで厳重なセキュリティはかけないだろ」

「そうか?」

 たぶんな。

「とりあえず中にはいろう」

 でだ。

 そぉは言ったものの・・・・・・。

 どうやって侵入しようかね?

 正面の扉は閉まっていた。無理やり入ろうとすれば警報が鳴るだろうし・・・・・・。

「困った。窓は全部はめごろしだったしなー」

 ぐるっとひと回りしてみたが侵入できそうな場所はなかった。

 うーん。

 どうしよう?

「おいヒビキ」

「ん?」

「なんでか知らないけどここのドア開いてるぞ?」

「まじ?」

 アスカに言われて確認する。

 見落としていたようだが裏口があったらしい。

 ドアノブを捻ってみると確かに開いた。

「・・・・・・なんで?」

 アスカと顔を見合わせる。

「さあ?」

 無用心だなオイ。

 扉を開けて中に入ると小部屋に出た。

 月明かりのおかげで中の様子がなんとなく見える。

 部屋には机がいくつか置いてあった。

 事務室のようなところだろう。

 さらに小部屋を抜けるとカウンターの裏に出た。

「真っ暗だな。アスカ、昼間のおっさんが入ってった部屋ってどっちだっけ?」

「左。奥の部屋だったと思うぞ?」

 アスカに言われて左へ行ってみる。

『Staff Only』と書かれた木の扉があった。

「ここか」

 ノブをひねる。が、開かない。

「あれ?鍵かかってら」

「おいヒビキそこ、パネルがあるぞ?」

「え?」

 アスカが言うとおり、扉の横にはロックの解除用っぽいパネルがあった。

 零から九までの数字が書かれたボタンとカードキーの溝みたいなものが取り付けられている。

 なるほど。

 電子ロックね。

 ・・・・・・。

 やべ。

「おいアスカ、カードキー」

「ねえよ」

 ・・・・・・。

「パスナンバーいくつ?」

「知らねえよ」

 ・・・・・・じゃあ。

「どうやって開けんの?」

「知るか馬鹿ッ!!!そもそもなんであたしがカードキー持ってると思った!!パスナンバー知ってると思った!?」

「じゃあどうやって開けんのっ!!?」

「くり返すな!知らねえよッ!!!」

 くそぅ。

 詰んじゃったじゃないか。

 扉を軽く叩いてみる。

 がんがん。

 意外に厚そうな音だった。

「うーん、このくらいならぶち破るのは簡単なんだけど・・・・・・」

「そんなことしたら警報なるわな」

 そうなんだよなー。

 どうしよう、ほんとに困った。

 と、俺がどうするか考え始めた時だった。

 ・・・・・・がちゃ。

「ふぇ?」

 扉が開いた。

 それも・・・・・・。

 内側から。

「誰だ!先程から騒々しいぞ!!」

 中からひげ面のおっさんが怒鳴りながら出てきた。

 つーかこのおっさん、昼間の貴族っぽいおっさんじゃねえか。

「ああ、このおじさんがまだ居たから裏口開いてたのか」

 アスカが呟く。

「な、なんだ貴様ら!どこから入った!!」

 俺たちを見たおっさんは狼狽しながらも叫んだ。

「お、おいどーすんだよヒビキ!見つかったぞ!?」

「ふんっ!」

 どすっ!!!

 テンパったアスカがこっちを見るのと同時、俺の拳がおっさんの腹部にきまった。

 おっさんは声もなく口から泡を吹いて沈んでいった。

「よしおっけー」

「少しくらい容赦してやれよ・・・・・・」

 アスカが呆れて俺を見てくる。

 まあ、見つかった以上は仕方ないじゃん?・・・・・・ねえ?

 ちゃんと加減はしたし。

 おっさんの脇には本が一冊落ちていた。

 俺はそれを手に取る。

「どうやら当たりっぽいな」

 本には“禁書庫”と書かれたシールが貼られていた。

「扉もちょうど開いたからラッキーだな」

 おっさんが中から出てきてくれたおかげで扉は開いたままだ。

「つーかおっさんってば白目むいちゃってるよ。・・・・・・あーあ、ブサイクな顔がさらにブサイクになってら」

「お前がやったんだろ」

 まあな。

「ところでヒビキ、その本中身はなんなんだ?」

「中身?」

 そういえばなんだろうな?

 ちょっと気になる。

 適当なページを開いてみた。

 ・・・・・・ぱたん!

 二秒で閉じた。

「・・・・・・なにが載ってたんだ?」

 なにが載ってたっつーか・・・・・・あれは・・・・・・もう・・・・・・。

 見たほうが早いと思う。

 俺はアスカに本を渡してやった。

 アスカは怪訝そうな顔をしながら本を受け取り。

 開いて。

 見て。

 そして壁に投げつけた。

「こ、このジジイッ!!!こんなもんのためにわざわざこんな時間まで居たのかぁ!!!!!!」

 げしぃっ!!

 うわ、痛そ。

 アスカのやつおっさんを思いっきり踏みつけやがった。

 あーあ、おっさん背中にくっきり足型ついてるし。

 おっさんの持ってた本はポルノ本だった。

 ・・・・・・ハード系の。

 ものすごかった。

「このおっさんも、・・・・・・好きだなあ」

 ていうか何でこの国はこんな本を禁書庫で保管してるんだ?

「行くぞヒビキ!こんな本、あたしがぜんっぶ燃やしてやる!!!」

 アスカはそういうとずかずかと扉の向こうへ歩いていってしまった。

 おいおい!俺をおいて先に行くんじゃない!!

「お、おいアスカ!ちょっと待てってば!!」

 俺は一応おっさんを縛り上げ、猿轡を噛ませると急いでアスカを追いかけた。

第一話は作品内の情報は最低限に絞って書きました。この作品の雰囲気を感じ取ってもらえたら幸いです!

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