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Fedel Eye's  作者: 藤山 博
第一章 ダン・プロジェクト編
3/7

第三話 分析

 ――『観察屋』消失から一週間後。

 現在も手がかりは何も掴めていなかった。警察も単なる自殺ではなく事件として扱うようになっていた。同じ被害が多発していたのだ。何れの現場には、『観察計』が置かれていた。

 被害者は間違いなく『観察屋』である。



 ――下街、とある一室。電気もついていない暗闇、テレビの明かりだけが灯していた。

 テレビには『観察屋』消失事件のニュース、ダンが見ていた。

「グルルル……、全て順調だ。計画に何の問題もない。手がかりがない? その通りだ! 手がかりなど残していない、全て消しているのだから!」

 ダンは笑う。計画通りに事が進んでいるからであろう、理由は他にもあるようだが。

 ダンにネット電話の着信が入った。

「もしもし」

 アスカだ。

「お前の作戦は最高だぜぇ?」

「ふふ、当然よ? 貴方のように『観察屋』でなければ出来ない方法だけど、絶対に足が残らないわ。

有志を使い、『観察屋』を襲わせ……、殺す、貴方が有志と『観察屋』を一緒に消す。

便利なものよね、ライフが一定値以下になれば管理システム『マザー・フェデル』が感知して、追放処分してくれるんだもの」

「『観察屋』まで消す事が出来るとは知らなかった。一般の第三民と違い、観察してもライフが観えないから不可能とばかり」

「ようはやり方ね。『観察屋』は観察側だから当然消せない。でも、第三民が触れている状態ならば、マザー・フェデルがまとめて追放してくれる。これが『観察屋』を消す唯一の手段であり最高の方法」

「はははっだな! 下街にいる『観察屋』は、あと三人か。どうだ? 順調なんだ、たまには飯でも」

「……、ごめん一旦切るわ」

 ブッ、アスカは突然電話を切った。

「食えねぇ女だ。利用するには最高な女だがな、さてと次の指令をヤツに送るか」



 ――ハルの小屋、タヌ―研究用地下室。

 ハルと一緒に住む弧狸のタヌ―。彼は、動物なのに人間と同等かそれ以上頭脳を持っていた。

 そんなタヌ―に、小屋の地下に専用の研究室があった。

 研究室の中、タヌ―は『観察屋』消失事件についてのデータを出来る限り集め、分析をしていた。

 分析を始めて約一週間程経ったが、未だ手がかりは掴めていない様子。頭を抱えていたタヌ―。

 ハルが地下に降りてきた。

「タヌ―、そろそろ巡察の時間」

「巡察……っそうか!」

 タヌ―は、テーブルの上にある分析したデータを取り、見直した。

 そして、見つけたと言わんばかりの表情で口を開いた。

「ハルっ、これ見て!」

 タヌ―がハルに見せたのはデータの一部分、今まで発生した事件の時間の場所が記されていた。

 タヌ―は、データにカラーマジックペンで書き始めた。

 数分後、タヌ―は書き終えた。そして、ハルに説明する。

「今ボクが記したのは、各『観察屋』の巡察時間とルート。こう書くと分かるんだけど」

 下街の簡易地図の上に書かれた事件発生の場所と時間、そして『観察屋』の巡察ルートと時間。そこから分かったのは……。

「事件は、『観察屋』の巡察時間外に起きている?」

 ハルが言うと、タヌ―は頷いた。

「『観察屋』の動向を知らないと出来ないよな、犯人は相当『観察屋』の事を知っている、それか『観察屋』自身の可能性が高そうだ」

「うん、そう思う。そして、事件がまだ起きてないC区。次はきっとここで犯行するはずだよ、狙いはC区担当の『観察屋』」

 タヌ―が話すと、ハルは階段を上がり、出かける準備をし始めた。タヌ―の分析が正しければ、次はきっとC区で起きるはずということを信じての行動だろう。

 下街はA~E区の5つに分けられていて、そのうち、A区、B区、D区ではすでに起きた。すると、まだ起きていないのはC区、E区ということになるが、タヌ―の勘がC区と判断したのだろう。

 ハルは、下街C区に向かった。


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