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Fedel Eye's  作者: 藤山 博
第一章 ダン・プロジェクト編
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第二話 開幕

 ――下街、とある一室。

 灯りがない暗闇の中、PCの前に座っている男がいる。

 男は、ヘッドホンとマイクを付けており、話をしている様子。

 ネット通話だ。

「先日、追放処分となったやつがいる。

ライフが追放処分対象値になるとか、ぶっちゃけ考えられないな」

「そうね。今の時代、とても犯罪なんて出来ないわ。

もし、罪を犯すとしたら」

「うむ、『観察屋』のせいで、動きにくくなったものだ。

見つからなければ、罪に問われることもないが、それは今も昔も同じか」

 会話をしているのは、ダンとアスカだ。

 とある大事件後、『観察屋』と呼ばれる者を世界中に配置された。

 『観察屋』は、世界を各エリアに分け、それぞれ担当のエリアを持ち、『観察』することを義務付けられる。選抜された『観察屋』は一切の拒否が出来なかったという。

 中には拒否をした者もいるらしいが、その者はなぜか行方不明となったようだ。選抜はランダムにて行われたという噂だが、真相は明らかになっていない。

 ――なぜ、『観察屋』が配置されたのか。

 犯罪が多い世の中、何とか平和に安全に暮らせる世界にならないのか……、追求した末、抑制するために、『観察屋』による『制裁』の制度が出来上がったようだ。

「アスカ、例の準備は進んでいるのか?」

「ええ、5人の有志たちが揃ったわ」

「そうか、ようやく行動に移す段階まで来たというわけだな。

有志を集めるにはそれほど時間かからなかったが、

『計画』に使用する物、その準備に手間取ってしまった」

「そうね、いよいよ始めるときが来たのね」

「あぁ、『ダン・プロジェクト計画』開幕だ」


 ダンとアスカの会話は終わる頃には、日付が変わっていた。

 そして、下街はかつてない事件に覆われる。



「ちょっと! ハルってば!」

「ん、んん?」

 軽井山の頂上、ハルの小屋。タヌーがハルを叩き起こしていた。

「どうしたのさ……」

「巡察の時間っ! 過ぎちゃうよ?」

「あっ!」

 ハルは慌てて起き上がる。

 『観察屋』は、毎日、巡察をする時間は決まっている。巡察をするのは、下街の一部なのだが、一人でも『観察屋』が巡察をしないと、一部のエリアだけ観察をしなくなるため、それは大問題である。

 もともと巡察をする時間も特定の時間帯のため、24時間下街全てを観察しているわけではないので、

それはそれで問題と言わざるを得ない。が、ある程度のところで妥協しているのが現状だ。

「んー、今日はいいや。巡察なしで」

「えぇ?」

「リカが巡察してくれたみたいだ」

 ハルは、『観察計』を見ながら話す。

 『観察計』……、相手を観察するために用いる『観察屋』の基本道具の一つ。だが、ハルは、右眼で観るだけで観察し相手のライフを知ることが出来る。

 その為、観察をするために『観察計』は使用することはない。

 『観察計』には別の使い道がある。それは、『観察屋』同士で通話が出来る機能だ。

 特に、近隣エリアの『観察屋』と連絡を取り合うのに重宝する。 

 ハルは、『観察屋』リカ=シャーロットからの留守電メモを聞いていた。

 留守電には、「どうせ寝てるんでしょ?ついでに観といたから!」と怒声の口調で残されていた。

 今日の巡察はしなくてよくなったハルは、再び、寝ようとした。

 しかし、その時。

「ハル、これ見て!」

 タヌーはテレビを見て話す。

 ハルも一緒にテレビを見る。

「なんだ、唯の自殺じゃないか」

「いや、これ見てよ」

 テレビをよく見ると、事件が起きた現場には、腕時計が残されていた――『観察計』だ。家の中とかならば、『観察計』を置いておく事などあると思うが……、現場は、下街中央の公園。

 『観察屋』に何かあったのは明らかだ。

 報道によると、現場には、『観察計』しかなく、それ以外は何もなかったとのこと。犯人を捜す手がかりは一切なく、警察はすでに手詰まりだと報告しているという。

「『観察屋』を襲ったのかどうか分からないけど、

必ず見つけて『制裁』するしかないな」

「そうだね。でも、手がかりがないみたいだけど、ハル、どうする?」

「手がかりはきっとあるさ、現場に」

 ハルは、小屋を飛び出し、下街へと降りて行く。

 『観察屋』が襲われる事件、それは突然始まった。

 しかし、これは始まりに過ぎなかった。

 ハルの大切な人がいなくなってしまうなんて、ハルはこの時、知る由もなかった。


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