【コガネムシの大脱出】
エアコンからの水漏れが、ようやく直った。
2年越しの排水トラブル、親のおかげで解決。
修理中、窓を開けて手伝っていた俺は、
夜中に窓を開けることの意味を、後で思い知ることになる。
電気がついた窓に、彼らが寄ってくる。
エアコンの問題が片付いたら、
次に待っていたのは、彼との戦いだった。
急に出てくる。
カサコソ音を立てる。
飛ぶ。
臭いにおいのもいる。
体を刺す。
かゆくなる。
ビビり症の俺は虫は嫌いだ。
全力で、殺虫剤で戦うのみだ。
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最近温かくなり、夜中も活動しやすくなった。
いよいよ
土の中(幼虫時代)から金色の姿(成虫)へと変わる。
金属的な光沢が金運や財運と結びつけられ、
俺はここの国じゃコガネムシって呼ばれてるらしい
こんなおめでたい名前を付けておいて、
こいつらは、容赦なく叩きのめしてくる。
縁起ものなのか、厄介者なのか、俺はよくわからない。
だがそんなことはどうでもいい。
俺は光のある方へ飛んでいくのみだ。
最近は建物の付近に行くと
変なにおいをさせる物を吊り下げるところが多くなった
このにおいが苦手だ。
このにおいのそばには寄ってはいけないと本能で分かる。
だから、変なにおいがせず、
且つ、光が煌々とともっているところがあったら、容赦なく突っ走る。
俺の習性は長い事変わらない。
もし俺らが嫌ならば、あちらが対応すればいい話だ。
対応していないなら、あいつらが悪い。
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今日は生暖かい夜。
本当にちょうどいい気温だ。
気分よく飛べる。
素晴らしい夜だ。
おや、窓を開けっぱなしにしているところがある。
しかも光がある。
なんてすばらしいのだ。
Welcomeということなんだな。
じゃあお邪魔させていただくかな。
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エアコンが快適になった。
これで、今日の夜はゆっくり眠れる。。。
ほっとしてベッドに横たわる。
これで一つ問題は解決した。
「ふ~~~ぅ」
ぶぅぅぅ~~~ん
「ん???」
ゆっくり目を開けると
「?!」
何か緑の点が天井にある。
「ん?」
確認するために、立ち上がり天井を見る。
「!!!!!」
緑色の物体が天井にいる。
エアコンの修理とはいえ窓開けすぎたのか、
なんですかさず入ってくるんだよ。
まじかよ、寝れねーじゃん。
やばい。
えっと、えっと、えっと、
!殺虫剤!
急いで殺虫剤を見つけ、
緑の物質が天井にいることを確認し、
慎重に距離を詰める。
天井なのであまり近くに寄りすぎると逃げられる恐れがある。
少し離れたところから、、、
噴射!
うお~~~~
しくった。
外した。
どこ行った。
少しは当たっているとは思うが、
完全には当たってない。
これでは余計飛び回られる。
見つけなければ。
耳を澄ませて、羽音を聞く。
プリントがいたるところに散乱している部屋
紙に羽が当たればすぐに見つけられる。
気配!
そこら辺にいる。
よく目を凝らして気配が感じたところに集中する。
カサっ
いたぁぁぁぁ
次こそは仕留めてやるぜ!
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煌々と光をともし穏やかな空気が流れる
なんとも居心地の良い場所なんだ。
光の近くで穏やかに休めるのもいい。
あんなに入りやすくしてくれていたんだ、
ここはいてもいいんだろう。
あ~~落ち着くぅ。
「ん?」
なんか、寝っ転がってたやつ
動き始めたな。
何かを探しているのか、
それにしてもやたらと物が多いところだな。
いたるところに物がある。
木がたくさんあるところは住みやすいもんな。
分かるよ、その気持ち。
落ち着くよなぁ~。
あ~~本当に気持ちがいいなぁ
こいつはたぶん、俺を招き入れたんだろうな。
ゆっくり居候させてもらうよ。
やたらと動いてんな。
何してんだ。
あれ?
なんかこっちに近づいてくる。
なんか嫌な気配だ
前のところでもこの気配感じたな。
あれ?
これはまさか、
暴風、とともに嫌なにおいの水分が出てくるやつじゃないのか?
え~~
Welcomeじゃなかったのぉ?????
これはタイミングゲームだ、
暴風がでて、すぐにその暴風の力を借りて遠くへ避難するんだ。
大丈夫、
俺ならできる
暴風を吹き付けられた瞬間、
暴風の勢いとともに、飛び上がり、かなりの距離離れることが出来た。
ふ~~~何とか避けられた。
取り合えず、今後の身の振り方だ。
俺はWelcomeではなかった。
相手は容赦なく襲い掛かってくる態度。
これは逃げの一手しかない。
今奴は精神集中をしている。
このジャングルのように物が多い部屋から
音を立てずに逃げ出さねば。
さっき入ってきたところは閉められた
では、違うところから逃げないといけない。
でもさっき別の扉が開いた時、逆側には猫が二匹いた。
猫側に逃げたら、俺がおもちゃのように追いかけまわされる
未来しか見えない。
どうする、どうする、俺?
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そこにいるな!
居場所はつかんだ!
おとなしくしていれば、一息に仕留めてやる。
逃げれば逃げるほど、苦しむぞ。
すまんな、ここはお前が来ていい場所ではないのだよ。
緑色の物体を再度見つけて
なるべく近くで、殺虫剤を噴射出来るように
構えた。
出てきたところで、仕留める!
あたりがシーンとなった。
エアコンの音だけが聞こえる。
舞台は整った。
いつでも出てこい!
……
出てこない。
殺虫剤を構えたまま、
秒針の音まで聞こえてきそうな静けさが続く。
まだだ。
焦って動いたら、こっちが不利になる。
……
腕が、少し痺れてきた。
でもここで気を抜いたら、今までの努力が水の泡だ。
……
何分経っただろう。
さすがに、腕がプルプルしてきた。
いや、まだ、まだいける。
出てこい。
出てこい。
出てこい。
……
気づけば、殺虫剤を持つ手がだらんと下がっていた。
あれ、いつの間に。
こんなに待ってるのに、微動だにしない部屋。
もしかして、もう外に逃げたんじゃ、、、
いや、そんなはずは、、、
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はら、へった。
めし。
めし。
めし。
にんげん、まだ。
おそい。
くろも、そわそわしてきた。
つられたな。
めし。
めし。
めし。
がりがり。
がりがり。
やるしかない。
勢いよく、扉がガタガタガタガタと動き始めた。
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ガタガタガタガタ
急に聞こえた大きい音にびっくりして、大きい声が出てしまった。
「うわ!」
にゃーにゃーにゃーにゃーとご飯を催促する合唱が始まった。
「あ~~そんな時間かぁ。
とりあえず猫にご飯やってからか。」
と、猫側がいる扉をあけ、猫のご飯を用意し始めた。
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何やら人間が大きい声を出した。
びっくりしたようだ。
急に暴風が出るやつを机に置き、
反対側のドアを開きっぱなしにして出て行った。
チャーーーンス!
人間の後を追うように、
開いた扉の先の天井に着地した。
ここは猫ゾーン。
慎重に行かねば。
見つかったら、おもちゃにされるだけ。
運がいいことに、猫たちはご飯に集中している。
よっしゃぁぁぁ。
ご飯を食べている猫を遠目に見ながら天井を這う。
そこで、じっと待つ。
猫がご飯を食べ終わると、
二匹とも決められたところでトイレをしているようだった。
なんというチャンスなのだ。
人間は猫が糞をすると、臭いらしく、すぐにかたずけ始めた。
俺にとってはいい匂いがするものを、透明な小さなビニールに入れた。
その小さなビニール袋をもう一回り大きいビニールに入れた。
俺は大きいビニール袋の裏にくっついて、じっとしていることを選んだ。
そういえば、人は朝、こういういいにおいの袋を外に持って行ってる。
だったら、朝まで大人しくしてれば、勝手に外まで運んでくれるではないか?
いずれチャンスは来る。
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猫にご飯を上げた後、部屋に戻ると、
再戦の準備を整えた。
確かここのあたりから気配がした。
殺虫剤を構えて、準備が整った。
静寂が時間をより長く感じさせた。
集中して観察しているが、
全く気配がしなくなっていた。
部屋全体をくまなく見回す。
どこにもそれらしい物体がいない。
逃げられたか、、、
でもこの家の中にいるに違いない。
次回は仕留める。
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緊張しながら、朝になった。
昨日の狙い通りだ。
こいつ、朝になったらちゃんとあのビニール持って出てったな。
俺の見立ては間違ってなかった。
俺の勝ち筋が見えてきて、とてつもなく嬉しくなった。
ビニール袋が外に置かれたとたん、
俺は勢いよく人間の目の前を飛んで逃げてやった。
俺の勝ちぃ~
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今日はごみの日だ。
昨日仕留められなかったことを少し気にしつつ、
朝の準備とともに、ごみを指定場所に置いた。
まだ家にいんのかなぁ
仕事帰ってきたらまた、やるかぁ。
と思った瞬間、置いたごみ袋から
緑の物体が俺の顔めがけて飛んできた。
「うわぁぁ」
あざ笑うかのように、目の前を飛び、空高く逃げて行った。
「ふぅぅ。逃げられたか、、、二度と来るなよぉ」
日常にある風景に遊び心を入れたら、楽しいだろうと思い、勢いで書いたものです。




