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【コガネムシの大脱出】

作者: 竹の春と猫
掲載日:2026/07/12

エアコンからの水漏れが、ようやく直った。

2年越しの排水トラブル、親のおかげで解決。

修理中、窓を開けて手伝っていた俺は、

夜中に窓を開けることの意味を、後で思い知ることになる。

電気がついた窓に、彼らが寄ってくる。


エアコンの問題が片付いたら、

次に待っていたのは、彼との戦いだった。


急に出てくる。

カサコソ音を立てる。

飛ぶ。

臭いにおいのもいる。

体を刺す。

かゆくなる。

ビビり症の俺は虫は嫌いだ。

全力で、殺虫剤で戦うのみだ。


-------------------


最近温かくなり、夜中も活動しやすくなった。

いよいよ

土の中(幼虫時代)から金色の姿(成虫)へと変わる。


金属的な光沢が金運や財運と結びつけられ、

俺はここの国じゃコガネムシって呼ばれてるらしい


こんなおめでたい名前を付けておいて、

こいつらは、容赦なく叩きのめしてくる。


縁起ものなのか、厄介者なのか、俺はよくわからない。


だがそんなことはどうでもいい。

俺は光のある方へ飛んでいくのみだ。


最近は建物の付近に行くと

変なにおいをさせる物を吊り下げるところが多くなった

このにおいが苦手だ。

このにおいのそばには寄ってはいけないと本能で分かる。


だから、変なにおいがせず、

且つ、光が煌々とともっているところがあったら、容赦なく突っ走る。


俺の習性は長い事変わらない。

もし俺らが嫌ならば、あちらが対応すればいい話だ。

対応していないなら、あいつらが悪い。


-------------------


今日は生暖かい夜。

本当にちょうどいい気温だ。


気分よく飛べる。

素晴らしい夜だ。


おや、窓を開けっぱなしにしているところがある。

しかも光がある。

なんてすばらしいのだ。


Welcomeということなんだな。

じゃあお邪魔させていただくかな。


-------------------


エアコンが快適になった。

これで、今日の夜はゆっくり眠れる。。。

ほっとしてベッドに横たわる。

これで一つ問題は解決した。

「ふ~~~ぅ」



ぶぅぅぅ~~~ん



「ん???」

ゆっくり目を開けると

「?!」


何か緑の点が天井にある。


「ん?」

確認するために、立ち上がり天井を見る。


「!!!!!」

緑色の物体が天井にいる。


エアコンの修理とはいえ窓開けすぎたのか、

なんですかさず入ってくるんだよ。

まじかよ、寝れねーじゃん。

やばい。

えっと、えっと、えっと、

!殺虫剤!



急いで殺虫剤を見つけ、

緑の物質が天井にいることを確認し、

慎重に距離を詰める。

天井なのであまり近くに寄りすぎると逃げられる恐れがある。

少し離れたところから、、、


噴射!



うお~~~~

しくった。

外した。

どこ行った。

少しは当たっているとは思うが、

完全には当たってない。

これでは余計飛び回られる。

見つけなければ。


耳を澄ませて、羽音を聞く。


プリントがいたるところに散乱している部屋

紙に羽が当たればすぐに見つけられる。



気配!

そこら辺にいる。



よく目を凝らして気配が感じたところに集中する。



カサっ



いたぁぁぁぁ

次こそは仕留めてやるぜ!


-------------------


煌々と光をともし穏やかな空気が流れる

なんとも居心地の良い場所なんだ。


光の近くで穏やかに休めるのもいい。


あんなに入りやすくしてくれていたんだ、

ここはいてもいいんだろう。


あ~~落ち着くぅ。


「ん?」


なんか、寝っ転がってたやつ

動き始めたな。


何かを探しているのか、


それにしてもやたらと物が多いところだな。

いたるところに物がある。

木がたくさんあるところは住みやすいもんな。

分かるよ、その気持ち。

落ち着くよなぁ~。


あ~~本当に気持ちがいいなぁ


こいつはたぶん、俺を招き入れたんだろうな。

ゆっくり居候させてもらうよ。




やたらと動いてんな。

何してんだ。



あれ?

なんかこっちに近づいてくる。



なんか嫌な気配だ

前のところでもこの気配感じたな。


あれ?

これはまさか、

暴風、とともに嫌なにおいの水分が出てくるやつじゃないのか?


え~~

Welcomeじゃなかったのぉ?????


これはタイミングゲームだ、

暴風がでて、すぐにその暴風の力を借りて遠くへ避難するんだ。

大丈夫、

俺ならできる



暴風を吹き付けられた瞬間、

暴風の勢いとともに、飛び上がり、かなりの距離離れることが出来た。



ふ~~~何とか避けられた。

取り合えず、今後の身の振り方だ。



俺はWelcomeではなかった。

相手は容赦なく襲い掛かってくる態度。

これは逃げの一手しかない。

今奴は精神集中をしている。

このジャングルのように物が多い部屋から

音を立てずに逃げ出さねば。



さっき入ってきたところは閉められた

では、違うところから逃げないといけない。

でもさっき別の扉が開いた時、逆側には猫が二匹いた。

猫側に逃げたら、俺がおもちゃのように追いかけまわされる

未来しか見えない。


どうする、どうする、俺?


-------------------


そこにいるな!

居場所はつかんだ!

おとなしくしていれば、一息に仕留めてやる。

逃げれば逃げるほど、苦しむぞ。

すまんな、ここはお前が来ていい場所ではないのだよ。


緑色の物体を再度見つけて

なるべく近くで、殺虫剤を噴射出来るように

構えた。

出てきたところで、仕留める!


あたりがシーンとなった。

エアコンの音だけが聞こえる。


舞台は整った。


いつでも出てこい!


……

出てこない。

殺虫剤を構えたまま、

秒針の音まで聞こえてきそうな静けさが続く。

まだだ。

焦って動いたら、こっちが不利になる。

……


腕が、少し痺れてきた。

でもここで気を抜いたら、今までの努力が水の泡だ。

……


何分経っただろう。

さすがに、腕がプルプルしてきた。

いや、まだ、まだいける。

出てこい。

出てこい。

出てこい。

……


気づけば、殺虫剤を持つ手がだらんと下がっていた。

あれ、いつの間に。

こんなに待ってるのに、微動だにしない部屋。

もしかして、もう外に逃げたんじゃ、、、

いや、そんなはずは、、、


-------------------


はら、へった。

めし。

めし。

めし。

にんげん、まだ。

おそい。

くろも、そわそわしてきた。

つられたな。

めし。

めし。

めし。

がりがり。

がりがり。

やるしかない。

勢いよく、扉がガタガタガタガタと動き始めた。


-------------------


ガタガタガタガタ


急に聞こえた大きい音にびっくりして、大きい声が出てしまった。

「うわ!」


にゃーにゃーにゃーにゃーとご飯を催促する合唱が始まった。


「あ~~そんな時間かぁ。

 とりあえず猫にご飯やってからか。」


と、猫側がいる扉をあけ、猫のご飯を用意し始めた。



-------------------



何やら人間が大きい声を出した。

びっくりしたようだ。


急に暴風が出るやつを机に置き、

反対側のドアを開きっぱなしにして出て行った。


チャーーーンス!


人間の後を追うように、

開いた扉の先の天井に着地した。


ここは猫ゾーン。

慎重に行かねば。

見つかったら、おもちゃにされるだけ。


運がいいことに、猫たちはご飯に集中している。


よっしゃぁぁぁ。


ご飯を食べている猫を遠目に見ながら天井を這う。

そこで、じっと待つ。


猫がご飯を食べ終わると、

二匹とも決められたところでトイレをしているようだった。


なんというチャンスなのだ。


人間は猫が糞をすると、臭いらしく、すぐにかたずけ始めた。

俺にとってはいい匂いがするものを、透明な小さなビニールに入れた。


その小さなビニール袋をもう一回り大きいビニールに入れた。

俺は大きいビニール袋の裏にくっついて、じっとしていることを選んだ。

そういえば、人は朝、こういういいにおいの袋を外に持って行ってる。


だったら、朝まで大人しくしてれば、勝手に外まで運んでくれるではないか?

いずれチャンスは来る。


-------------------


猫にご飯を上げた後、部屋に戻ると、

再戦の準備を整えた。


確かここのあたりから気配がした。


殺虫剤を構えて、準備が整った。


静寂が時間をより長く感じさせた。

集中して観察しているが、

全く気配がしなくなっていた。


部屋全体をくまなく見回す。

どこにもそれらしい物体がいない。


逃げられたか、、、


でもこの家の中にいるに違いない。

次回は仕留める。


-------------------


緊張しながら、朝になった。


昨日の狙い通りだ。

こいつ、朝になったらちゃんとあのビニール持って出てったな。


俺の見立ては間違ってなかった。

俺の勝ち筋が見えてきて、とてつもなく嬉しくなった。


ビニール袋が外に置かれたとたん、

俺は勢いよく人間の目の前を飛んで逃げてやった。


俺の勝ちぃ~



-------------------



今日はごみの日だ。


昨日仕留められなかったことを少し気にしつつ、

朝の準備とともに、ごみを指定場所に置いた。



まだ家にいんのかなぁ

仕事帰ってきたらまた、やるかぁ。



と思った瞬間、置いたごみ袋から

緑の物体が俺の顔めがけて飛んできた。


「うわぁぁ」


あざ笑うかのように、目の前を飛び、空高く逃げて行った。


「ふぅぅ。逃げられたか、、、二度と来るなよぉ」



日常にある風景に遊び心を入れたら、楽しいだろうと思い、勢いで書いたものです。


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― 新着の感想 ―
虫から視点がめちゃくちゃ楽しかったです! って、虫さんにしていれば命がかかっているから、気の毒ですが。 ラスト、良かったです! 読ませていただき、ありがとうございました!
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