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宗教コンサルタント

作者: こしょうしょうしょう
掲載日:2026/02/18

これもAIに書いてもらいました

「現実はひとつですが、解釈は無限ですよ」

 都心の雑居ビルの一室。看板も出していないそのオフィスで、宗教コンサルタントの黒瀬は、深々と椅子に腰掛けるクライアントに向かって微笑みました。

 救いのオーダーメイド

「先生、もう限界なんです」

 クライアントの佐藤は、疲れ切った顔で訴えました。

「仕事は虚しく、老後の不安は消えず、何のために生きているのかわからない。何かを信じたい。でも、既存の宗教はどうも胡散臭くて……」

 黒瀬は手元のタブレットを操作しながら、事務的に尋ねます。

「左様でございますか。では、どのような『真理』をお望みで? 例えば、**『全ての苦難は来世でのボーナスポイントに換算される』という積立型。あるいは、『この世は高等生命体が見ている夢であり、あなたはただの観客である』**という免責型など、各種取り揃えております」

「……もっと、こう、ワクワクするようなものはありませんか? 救われるだけじゃなくて、今の惨めな自分を肯定できるような」

 黒瀬の瞳が、スッと細くなりました。

「それなら……『異世界ワール教』。これが今のあなたには最適かもしれません」

 聖典のインストール:対話

 黒瀬はメトロノームを動かし、低く心地よい声で佐藤を深い変性意識状態へと誘いました。

「佐藤さん、よく聞いてください。この世界は、実は不具合バグの多いベータ版のクソゲーに過ぎません。あなたの本当の居場所は、魔法とステータスが存在する高次元の世界……『異世界』なのです」

 佐藤の表情が、微かに緩みます。

「いいですか。あなたは転生の際のシステムエラーで、不運にもこの『物理法則がガチガチで魔法もない低スペックな世界』に迷い込んでしまった勇者なのです」

「私は……勇者……?」

 佐藤が夢うつつに呟きます。

「そうです。では、今朝あなたを怒鳴りつけた上司はどう見えますか?」

「……あいつは、ただの……」

「ええ、そうです。彼はあなたの物語を彩るために配置された、**固定グラフィックのNPC(非プレイヤーキャラ)**です。AIのアルゴリズムが貧弱だから、怒鳴るというルーチンしか持っていない。壁に向かって怒鳴られても、腹は立ちませんよね?」

「……ふふ、そうですね。ただの背景オブジェクトだと思えば、むしろ哀れだ……」

「その通り。そして、あなたが満員電車で受けるストレスは、本番の世界(異世界)へ戻った際に付与される**『先行経験値(XP)』**となります。今、苦しければ苦しいほど、向こう側での初期スキルが『チート級』に強力になる。満員電車は、聖なるレベル上げの狩場なのです」

「レベル上げ……。私は今、修行クエストをプレイしている最中なんだ……」

 偽物の幸福、本物の充足

 数分後。

 催眠から覚めた佐藤の表情は見違えるほど晴れやかでした。

「先生、ありがとうございます! 窓の外の騒音さえ、異世界へのゲートが開くまでの環境音に聞こえます。明日からの出勤が楽しみだ。レベル上げをサボるわけにはいきませんからね!」

 佐藤は多額のコンサルタント料を支払い、踊るような足取りで部屋を後にしました。

 独りになった黒瀬は、冷めたコーヒーを啜りながら壁に掛けられた「真っ白な額縁」を見上げました。そこには、彼自身の自己催眠によって**「宇宙で最も価値のある真理の書」**が書かれているように見えています。


 「結局のところ、幸せなんてものは『質の良い思い込み』に過ぎないんですよ」


 黒瀬は少しだけ皮肉な笑みを浮かべ、次の「救い」の準備に取り掛かりました。

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