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超巨大聖女は、婚約者を踏み潰す。

作者: ビリリねこ
掲載日:2026/01/24

ゆるふわ設定です。

1/24 表現がきつい部分をマイルドにしました。1/25 誤字を修正






「お前との婚約を——」


(どうか言わないで、その先は……)


 聖女は祈るように目を閉じた。





 聖女モモレアは婚約破棄されると巨大化する呪いをかけられていた。

 呪いについて誰かに説明することも禁じられていた。


 一年前のある時、占い師の老婆に「お前は王太子殿下に婚約破棄される」と告げられた。

 だが、女磨きをすればその運命から逃れられる、とも。


 モモレアは自身が地味で退屈な女だから婚約を破棄されるのだと思い、占い師から言われたように女磨きを始めようとした。

 しかし、王国内を幸せで包む結界を維持するのに忙しく、そのような時間は取れなかった。


そして運命の日がやってきた。





「お前との婚約を破棄する!」


 王太子殿下の言葉に静まり返る宮殿内。


「王太子殿下、わたくしの為にこのようなことおやめください。追放するだなんて、義姉さまがあまりにも可哀想ですわ」


 モモレアから王太子殿下を奪った義妹シルヴィの演技が冴える。


「いや、いいんだシルヴィ。お前から聞かされたこの女の悪行の数々、決して許してはおけん! それにあのような醜い女ではなく、美しい君こそ私の妃に相応しい」


 王太子殿下の言葉が続く。

 そんな二人をよそにパーティー会場で急激に膨らむ影があった。



グオゴゴゴゴゴゴォォ!



「わー!」

「きゃー!」

「な、なんだー!?」


 慌てふためく来場者。


「はあー!?」

「な、何ー!?」


 モモレアの居た場所を見上げて驚く、殿下と義妹。

 

 そこには、


体長、60メートル

体重、XX(乙女)トン

得意技、聖なる祈り(幸せの結界)


の巨人が立っていた。


 宮殿の天井を突き破って立つモモレア。

 呪いをかけた者が配慮してくれたのか、服も一緒に巨大化している。


 わかっていたとはいえ、婚約を破棄されたことにショックを受けるモモレア。

 しかし、自分が祈りにかまけて女磨きをしなかったことが悪いのだと思い、この国を去ることを決意する。


「わかりましたわ王太子殿下。お望み通り、この国を去らせていただきますわ」


 そう言うと、モモレアはうやうやしくカーテシーを決めた。

(呪いをかけた者の配慮だろうか、スカートの中は『全年齢作品対応』のマスキング処置が施されていた)



グオゴゴゴゴゴゴォォォ!



ズズーン!

ドシャーン!


 モモレアの動きに合わせて砕け散る宮殿。


「わー!」

「ぎゃー!」


 危険な状況だが、ここは#ほのぼのタグのついた世界、全員が無傷で逃げ仰せた。


「あっ」


 日々の祈りにかまけていた為か、不慣れなカーテシーでふらつくモモレア。


「ああっ」


 そして狙い澄ましたかのように王太子殿下と義妹の上に着地する右足。


 ズズーン!


「ギャフン!」

「グムー」


 軟体動物のようにぶにゅっとひしゃげる二人。

 でも安心してください、ここは#ほのぼのタグの(以下略)


「ごめんあそばせっ」


 ふらついたことが恥ずかしかったのか、そそくさとその場を後にするモモレア。

 残されたのは、平たくなった宮殿だけだった。





 一年後。


「長かった」

「ええ、ですがようやくですね」


 新しく完成した建物を見ながら国王となった元王太子とシルヴィは言った。

 モモレアは国を去るさい忘れ物をしたと言って王宮の色々な場所を巡った挙句、ドジっ子パワーを発揮して転げまくったため王国は崩壊寸前まで追い込まれていた。


 なんとか王宮を再建することができたが、多額の借金を抱え国の財政は逼迫していた。


 しかし、世界初の遊園地を作ることができた。

 これで観光客がたくさん訪れて、借金が返済できる見込みだった。

 二人の未来は明るく輝いていた。





 その頃、モモレアはホームシックにかかっていた。

 一人寂しく海で生活していたのだから当然だろう、可哀想なモモレア。


「はあー、もう一度みんなの顔が見たいなー。それに世界初の遊園地というのも見てみたい……」


 この一年間、女を磨いてきたモモレアは思った。


(いい女になった私を見ればみんな許してくれるかもしれない、帰ろう!)


 モモレアは希望を胸に、全力で王国に向かって走り出した。





 酔った勢いでモモレアに呪いをかけた魔女は、聖女が巨大化したという新聞の記事を眺めていた。


「おかしーなー、第一聖女があの程度の呪いを解けないはずはないのだけど……」


 それからしばらくして、遊園地ができたという方角で、巨大なものがぶつかる巨大な音が聞こえた。





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― 新着の感想 ―
 作品の雰囲気が好きです。「これは小説」として書かれた文章(「ほのぼのタグの付いた世界」とか)は好き嫌いが分かれると思います。私も作品次第では白けてしまいます。  本作は「いいな」と感じました。明確…
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