鬼って声が大きいね?
そうして朝起きると、なぜか同居人の女が横で寝ていた。
普通の奴らはここで焦って叫んだりするのだろう。だが俺は一味は違う。
ここで焦って叫んだりして起こしたら、きゃー、変態!! とか言われるに違いない。
だから先手を打つのだ。
「ぎゃー!!! 変態!!!」
ほんとに人生で一回も出したことないくらいの大声で叫んだ。
「うわー!! な、なに!?」
「ってなんで僕の横で寝て───」
「うわー!!! 変態だー!!」
「え!? ちょ! どういうこと!!」
ア
「どうもこうもない!! お前が俺の寝込みを襲いに来たんだろ!!」
「は!? ふざけんな!!」
「僕はそんなことしないし!」
「しないもなにも、実際にお前は俺のベッドで寝てるだろう!!」
「う〜…、それはそうだけど…」
よかった〜、こいつアホで、全然語彙力ないから何も弁解できてない。
「俺に興味ないとか言いながら寝込みを襲ってくるとか変態だ〜!!」
「いや、違うし! 寝相の問題だし!」
うん、なおさら意味がわからん。ていうかほんとにこいつなんで横で寝てたん?。
「昔から寝ながら歩いたりしちゃうんの!!」
意味不明な弁解をしてきてはいるが俺はそんなんじゃやられない。
「うわー!! 変態だー!! 変態だー!! 変態だー!!!」
どうだ! 有無を言わさず、とにかく叫ぶ作戦。
「うるせー!!!!!!」
その時、聞いたこともないような爆音が耳に伝わった。
「「ぎやー!!」」
鬼、声、デカ!?。
さすがに死んだかと思ったぜ。
ん? 何か柔らかい感触が。
「変態ー!!」
その言葉が耳に伝わると同時にほっぺに痛みが走った。
「いや、ふざけんなよ!! お前が抱きついてきたんだろう!!」
「今回に関してはお前も抱きついてきただろう!!」
「はい、認めた〜、今自分も抱きついたって認めた〜、なら俺も叩き返していいってことだね!」
「おりゃー!」
「いたっ!!」
「ふざけ──」
「いい加減にしろよクソども」
「「あ…」」
いつの間にか目の前に鬼が立ってた。比喩表現ではなく本物だ。
「うん、終わった…」
その後、俺たちがめちゃくちゃ怒られたのは言うまでもない。