第1話 ホラーハウス
私はホラーハウスに挑戦してみる事にしたわ。
怖いものが苦手だから、克服したいの。
私、実はね。彼氏がいるんだけど、その彼氏と一緒に遊園地をまわりたいのよ。
その中で、ホラーハウスできゃーって言って、ぎゅって彼氏に抱き着くってのが、私のしたい事の一つなわけ。
でも、怖い物を避けたくなっちゃうから、このままじゃ、まともに入る事ができないのよね。
だから、これを機会に挑戦する事にしたわ!
頑張れ私!
とりあえず、まず一歩入る所からね。
「いっ、いくわよ!」
そろそろ。
のろのろ。
「やっぱりむり!」
私は、克服できないままなんだわ。
だって、怖すぎるもの!
そんな事を言っていたら、後ろから声をかけられた。
「おい、姉ちゃん、いつまで後ろの人間待たせとるんや!」
「あ、ごめんなさ」
振り返った私は、硬直したわ。
だって、そこにいたのは、全身血塗られた、歩く死体だったんだもの。
「きゃあああああああ!」
私は悲鳴を上げながら、爆走。
気が付いたら、ホラーハウスを一周して出口を出ていたわ。
私、やればできるじゃない!
でも、さっき入口で声をかけた人はなんだったのかしら。
何はともあれ、実在しない幽霊より、実在する怖い人の方が、私にとっては怖いものだったみたいね。
「スタッフさん、あのぉ。裏口から入るための鍵なくしちゃったんで、お客様用の入口から入れさせてもらえませんか」
「はぁ、またかよ。仕方ないな」