始まりの一幕
私には幼なじみがいた。
転生した世界にはとつくが、妹のような感じで
トコトコと私の後を着いてきてニイニ、ニイニといつでも私のあとに隠れながら着いてきていた。
可愛い妹分だった。
この世界は、前世の科学文明とは違い
魔法文明とも言うべき文明が覇権を握っており
人はコマンドワード一つで火種を準備でき、空を飛び、水中で呼吸が出来る。
魔法こそが世界の中心で
魔法に必要な魔力と魔力認識、魔力操作
この2つによって個人の才能は決定される。
魔力がない、魔力を認識できない
そんな人間は人間扱いされない
そんな世界だった。
だから魔力を認識できない私と魔力がない幼なじみは
村ではいないモノ扱いだった。
私は良い。
異世界産まれ育ちの今世転生
今更魔法などと言われても人生の大半で詐術としか認識してこなかったもの、あってもなくても困ることはない。
が、彼女は違う。
この世で生を受け親に愛されることもなく
生きる意味も認められず一人寂しく泣いていた。
一人の大人、人間として放置など看破できなかった。
親が彼女を愛さないなら、私が家族になろう。
家族として彼女を守ろう。彼女を愛そう。
一人の人間として
ある夏の夜
彼女は私に聞いた。
「なんで魔法はあるのかな?」
「なんで私だけ魔法は使えないのかな」
「才能など関係なく、皆が使える魔法があればいいのに」
翌日彼女は村から姿を消し
私が彼女が売られたことを知ったのは
更にその翌日の事だった。
翌年の春、私は第二の生まれ故郷である村を捨てた。
運命は嫌いだ
過酷な運命を子供に強いるから
神は嫌いだ
どうせこれも思い通りの展開とほくそ笑んでいるのだから
魔法は嫌いだ
こんなもののために人が差別され貶められるのだから
たがら私は私の信念を理念を願いを信仰する
「行こうか。何処までも。願いの先。理想の先。信念の先。この世の最果て、その向こうまで」
「Masterの望むままに、My Master」
「ああ、君の助力と献身に期待、感謝する。転生特典」
さぁ人類に教えてやろう本物のファンタジーを!
魔法など些末な泡沫の夢であると!
知識は感覚を超越すると!
我は科学の信徒
知識の奴隷
物質主義者にして
機械仕掛けの尖塔その上に立つもの
機械よりいづる神
機械仕掛けの神
機械の神
終幕装置
この世の最果てに人類の旗を翻すものだ
多分モヒカンヘッドのバイクアンドロイドが爆走する。