第1話 友達
ある晴れた日、知らない男から電話がかかってきた。
「やあ、友達にならないかい。」
男の声は低く、太い声だった。僕は怖くなって電話を切った。
翌日、また同じ人から電話がかかってきた。
「やあ、友達にならないかい。」
また切ろうかと思ったが、僕はどうしても正体が知りたかったので、
「すみません、あなたは誰ですか。」
と聞いた。すると相手は
「今名を名乗ることはできない。サラリーマンということだけ伝えておく」
と答えた。どうやら、相手はサラリーマンらしい。
「なぜ電話をしてきたのですか。」
「君と友達になりたいからだ。」
僕は正直あまり友達にはなりたくなかった。だって、知らない男から急に誘われてオッケーを出すわけがないだろう。しかし、ならないと答えてしまうと毎日電話がかかってくるかもしれないので、僕は
「分かりました。友達になりましょう。」
と言ってしまった。どうせいたずら電話だろう。それ以降、彼からの電話は途絶えた。
それから数か月が経ったころ、もはや電話のことなど忘れていた時、電話がかかってきた。
「二丁目のコンビニの駐車場に来い。」
あの男だ。僕はすぐに思い出した。しかし、もちろん行きたくないので、
「行きたくないです。」
と答えた。すると男はこんなことを言った。
「お前の嫌いな上司いるだろ」
確かに心当たりはあった。男は答える間も与えず、続けて
「お前の上司が車の中で寝ている。お前、殺したいだろ。」
と言った。その一言で一気に殺意がわいた。僕は、殺したいほど上司が嫌いだった。家族がいないとかの理由で自分の仕事を自分に押し付けてきてた。なので僕は、
「はい、いますぐ行きます。」
と言ってしまった。包丁を片手に。
そして僕が、上司を刺殺してしまった。そしてその後男からまた電話がかかってきた。
「よくやった、俺の友達。実は俺の名は山田、お前の部下だ。」
部下が上司に対して敬語を使っていないことが少し気に障った。山田とはよく上司の愚痴を言い合っていた。
「俺の代わりに殺してくれてありがとう。感謝するよ。」
それが最後の電話だった。
《コンビニの駐車場の車の中で人が死んでると通報がありました。容疑者は佐藤陽太(26)。佐藤容疑者は「友達に命令された。」と供述しており、「友達」ということについて警察が詳しく調べています。≫
※友達とは「共犯者」のこと。




