夏のホラー2020、初回掲載8/27分③
●作品16
願いを叶える電車
作者:ユンモ
短編
4,010文字
内容
トランプで負けた罰ゲームで、山の中にある廃線の駅にゆく。そこには願いを叶える電車がくるという噂があった。
感想
主人公には悪意がないし、罰ゲームの原因となった友人にも悪意がない。冒涜的なこともしていない。巻き込まれてしまったのは運が悪かったとしか言いようがなく、やや後味の悪いタイプの怪談でした。
●作品17
ラストチャンス
作者:むつき緋々
短編
304文字
内容
本文削除風小説
以下、データと引用。
初回掲載日 2020年 08月27日 23時00分
最終更新日 2020年 08月27日 23時00分
評価のみ受付中
あらすじ
電車で寝ている間に、行ってはいけない世界に流されてしまった主人公。不便な世界で奮闘するも……
キーワード
異世界転移 夏のホラー2020 駅 胸糞悪い主人公
感想
やりたいことは解る
あらすじ込みで作品が成立しているので、あらすじを読まない読者には伝わらないと思う
それも狙いかもしれないが
ワンチャン59秒以内に本文削除した可能性もあるが、小説情報はそのままで評価も受け付けているので、削除風なのだと思います
●作品18
あなたを呼ぶ声
作者:イタリア皇帝
連載(全4部分)
完結済
3,877文字
内容
その駅には、自殺防止を呼びかける小さなプレートがあった。
感想
理不尽ホラー。いい感じに後味の悪い結末。善意の人の胡散臭さ、善意の仮面をつけた悪意、不運な巡り合わせ。オカルトなので、逃げられません。
●作品19
白石公園前駅の自由研究
作者:綺羅 なみま
短編
4,605文字
内容
駅で高校生に声をかけてくる幽霊の噂を聞いた。主人公は、クラスメイトと2人で自由研究として調べることにする。
感想
自由研究がある高校、私の周辺にはないので羨ましい。楽しそうです。一人称文体で話者交代ありですが、単純な交代なので解りにくさはありません。ホラーらしい後味の悪さが残ります。
余談
欄外に「ホラーになってるか不安」だと書いてありますが、かなりテンプレなホラーでした。「ホラー」と聞いて思い浮かべるものは、人によって随分と違うのでしょうか。
●作品20
いきはよいよいかえりはこわい
作者:小松 愛梨
連載(全4部分)
15,958文字
内容
電車を乗り間違えた主人公は、反対行きのホームに行こうとする。
感想
電車、駅、階段、そして神社に奇妙な屋敷。不審な協力者も登場し、次々と展開してゆく楽しいホラーでした。
●作品21
この話は全部嘘です。
作者:ナナシノススム
連載(全7部分)
完結済
22,660文字
内容
ホラー掲示板で見かけた怪異に遭遇した主人公。
感想
都市伝説の調査というタイプの作品。感想と返信欄ではホラー味が薄いと書いてあります。内容は完全にホラーですが、描写や文体がさっぱりしているからでしょうか。
●作品22
虫の駅
作者:RAMネコ
短編
8,485文字
内容
グロ注意。
終電を待つ地下の駅で怪物と遭遇する主人公。
感想
ややアクションより。かなりグロ描写がありました。展開は面白かったです。序盤の表現で引っかかるところや日本語の通じない所は、特に何か意味があるわけではなくて、ストーリーと無関係でした。
●作品23
特急人生
作者:葉月 みき
短編
2,471文字
内容
電車の旅。一駅ごとに人が乗り降りしている。主人公はずっと座って乗っている。
感想
叙情的な怪談。かなり好き。淡々と、しかし近代英文学の掌編小説にも似た情感のある作品でした。苦手な人は、それでも怖いと感じるかもしれません。結末で何が起こったのか、かなり分かりやすく表現されております。
今回はここまで
今回分には色んなタイプのホラーがありました。
現代日本のホラー読者が「ホラーっぽい」と思う決め手は、ひとつには恐怖を盛り上げる文体か否かという点がありそうです。
扱われている現象が怪奇現象であったり幽霊であったりしても、「ホラーではない」と判断する読者もそれなりにいそうですね。
お読みくださりありがとうございます
続きます