作家酔い
まっさらな紙の上でにらめっこする
お話は特に思い浮かばない
小説、論説、私小説
書けるものは書いてきた
じゃあ新しいものを
じゃあお話の続きを
自分にそう言い聞かせて真っ白な紙と向き直る
それでも何も思い浮かばない
いつもはどうやってお話を作ってた?
そんな疑問が時折降ってくる
疑問への答えは持ち合わせていない
疑問の言葉が頭を駆け巡るだけ
そして白紙を見つめたまま
頭の中は右往左往
何を書くべきか考える
けれどもネタは思いつかない
書けない自分を見つめてるだけ
実は頭を使ってない
無色の紙の上に置かれたペン
実は書こうとしている時間が欲しかっただけ
そうしているときの自分はまるで作家のようで
そうしている自分に酔っていた
作家として何かを出す瞬間よりも
作家の真似事で何かを書こうとしている瞬間の方が居心地がよかった
何も埋まっていない原稿用紙から離れて僕はそのまま床に就く
明日は頑張ろう