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第四次魔法少女大戦  作者: わにさん
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2話(前編)

『僕は罪を犯した。許されることのない罪だろう。だから謝らせてくれ。君たちに僕の罪の尻拭いをさせてしまうことを……すまない……』


「!!……ッ!!」


男の声に目を覚まし、カノンはベットから勢いよく起きあがった。それと同時に腹部に痛みが走る。


場所は2人がいた図書館の2階。アインはあの後、意識のないカノンを運びカノンに手術を開始していた。


木製の椅子を鳴らし、座りながらカノンの様子に目を向けたアインは言った。


「おはよう。あまり動かないほうがいいよ。まだ完全に接合できてないからね」


アインがそう言ったのを聞いて、カノンは初めて自分の身体に視線を向ける。


見ると自分の全身は包帯まみれにされており、銃弾で撃ち抜かれた左目も同じく包帯を巻かれていた。


「…………」


そしてふと先ほど痛みを感じた腹部へ目をやると、包帯を巻いた隙間からチラリと縫いつけたような跡が見えた。


それをカノンはそっと指先で触れる。

傷が塞ぎきっていないため鋭い痛みが走る。


「夢を…見たんだ…」


傷に触れながらカノンはぽつりと呟いた。


「夢?」


アインが椅子に座りながら聞き返す。

それにカノンはまた、呟くように言った。


「男の人が…私に向かって謝ってるの…。それがなんだかとっても悲しくて…」


先ほどの夢の内容を話しだすカノンだったが、ふと赤髪の少女のことを思いだす。

カノンはベットから身を乗りだしながら、アインに言った。


「あの子は!?さっき戦ったあの子!!」


勢いよく言ってくるカノンに若干気圧されながらもアインは「まぁ落ち着け」と手で制しながら言った。


「さっきの魔法少女はたぶん生きてるよ。突然現れた別の魔法少女に持ってかれたんだ。君のその傷もその魔法少女にやられたやつだよ」


アインはそう言ってカノンの腹部の傷を指さした。


「よかった…殺してないんだね…」


アインの言葉を聞いてほっと胸をなでおろすカノンに、アインはムッとした顔を向ける。


「全然良くないよ。君さっきまで死にかけてたんだぞ?ほんとに君は僕がいないと命がいくつあっても足りないよ!?」


アインのその怒りに、カノンは苦笑いをしながら視線を逸らした。





窓ガラスがすべて割れたビル。

ヒビがいたるところに走り、もはや道とは呼べない道路。

なんの建物だったのか分からない倒壊した建物。

それらすべてに植物たちが根をはり、辺り一帯を輝くような深緑で包んでいた。


そんな場所を歩く2人がいた。


「姉さん。ほんとにあいつらと同盟を組む気なのか?」


周りの植物のように緑色の髪をした少年は前を歩く少女に言った。


金髪を揺らし少年の前を歩く彼女は、少年のほうに視線を向けず答えた。


「ウォル。なんども言わせないで。私たちが収集家(コレクター)に勝つにはそうするしかないわ」


そう答えた少女に、ウォルと呼ばれた緑色の髪の少年は不満そうに顔を向けた。


「姉さんは収集家を過大評価しすぎだよ。相手はたった1人だろ?俺たち全員でやれば、あいつらの助けを受けなくても…」


金髪の少女はウォルのその言葉を聞き、立ち止る。

そして後ろを振り向き、ウォルに視線を向ける。


「いいえ、ウォル。決して過大評価なんてしてないわ。私は大戦時代の収集家を知ってるの…。そうね…あのとき見た光景を例えるなら…破壊神…。彼女はさながら破壊神のように周りの魔法少女たちを殺していった…。私はあの光景が忘れられないの……」


金髪の少女はそう言い終わると、再び前に向き直り歩みを進めた。


姉と呼ぶものがそう話したのを聞き、ウォルは納得のいかないような顔で金髪の少女の後を追った。


そのままなにも話さぬままに歩みを進める2人は、ある教会の前で立ち止まった。


立派な教会だったのだろうと伺わせるが、今は朽ち果てているそのドアを開き、重苦しい音とともに2人は教会の中に入った。





「それにしても随分壊されたもんだね」


軍服を着た白髪の少女が持ってきた、赤髪の少女をのぞき込むようにしてその少女は言った。


その少女は短髪の黒髪にチョーカーのように鈴を首に付け、黒いダウンジャケットを羽織った少女だった。


しゃがんで見ていたその少女は立ち上がると、背後に目を向け、そこにいた人物に声をかける。


「それで?直せる?」


「あら、私は直すんじゃなくて好きなようにイジるだけよ♡アルト」


そう言ってアルトと呼ばれた少女にまとわりつくように抱きついたのは、金髪のパーマにナース帽を被りミニスカナース服を身に纏った少女だった。


「今日もきまってるね」


その少女の胸を揉みながらアルトと呼ばれた少女は言った。

そしてその少女は答える。


「ふふ、ありがと♡それより、お客さんみたいよ?」


ナース服の少女のその言葉と同時に教会の扉が開き、重々しい音が教会に響いた。

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