第二話
次の日、学校に登校するとあちこちから挨拶している声が聞こえて来た。
「おはよう~」
「おはよう」
俺にとってはどうでもいい事だ。
もう既に、何回も見た光景だ。 俺は、そのまま席に着いた。
「おはよう、龍二君」
そう言ったのは、クラスメイトの桜川咲だ。彼女とは、余り話したことがなかった。四回やっていても、全てが彼女とほとんど話すことがなかったのだ。
「おはよう、咲さん。何か用?」
「ううん。何か昨日、いつも様子が違ったみたいだから大丈夫かなって」
「そっか。心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だから気にしないで」
それだけ聞くと、咲は自分の席に戻って行った。
「よっ、龍二。人気だな」
後ろを振り返ると、司陸と有史の二人がいた。
声からして、さっきの言葉を言ったのは有史だろう。何より、司陸は、からかうような事は言わない。
「別にそんなんじゃねぇよ」
「おはよう、龍二」
そんな有史を無視して司陸が言った。
有史はこんな感じでお気楽な性格なのだが、司陸は有史とは正反対で真面目なタイプだ。いつものことなのだが、よくこんな正反対な性格同士でつきあっていられるなと思う。
「おはよう、司陸」
そんな朝から一日が過ぎていって、下校の時間になった。
この時間は、長かった一日が終わったような感じがする。学校のある日は、どうも一日が学校で始まり学校で終わるという感じがするのだ。
なにより、既に全く同じ内容の授業を四回受けていて、これで五回目なのだ。いい加減に飽きてくるというものだ。というより、三回目辺りで既に飽きていた。
家の途中にあるコンビニによって帰る。毎日行っているわけではないが、ときどき行きたくなるのだ。
特に何を買うのかは決まっていない。ただ何となく行きたくなっただけなのだ。だから、目についたものを買っている。大体、お菓子か飲み物だ。
この日は、好きなお菓子の期間限定の味を買って帰った。
休日は有史や司陸といろいろな場所に行ったり、その辺を散歩したりして今までと何か変わったことはないか探していたりする。
そして、平日は学校で変わったことがないかを探している。後は、なるべく人と話すようにしている。
これは、今までと同じ事しかやっていないのだが、これ以外に何が出来るのかが分からないのだ。
ルールも分からず、ただただ見ているだけ。そんな事しか出来なくて、今までと何も変わっていない。
どうすれば、何をすれば元に戻るのだろうか。
そんな、ゲームでは一番重要なクリア条件が分からないのだ。せめて、それだけでも分かれば何が出来るだろう。
だが、それはいまだ分からずどうしていいのか分からない。そして、それを教えてくれる人もいない。
そんな中で、変化を探すということが俺に出来る最大限の事だったのだ。
ここまで読んでくださりありがとうございます
次回は一気に時間をとばして話を卒業式までいきます。
なので、後一、二話で終わることになります
後少し、お付き合い頂ければ幸いです