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ほんとうの星  作者: ゆうなぎ
第一章 遭遇:たくさんの嘘、たくさんの悲しみ
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この日記を読むあなたへ

 いまから、ひとりの男の子の話をしなければなりません。

 あの光のような男の子、ぼくの大切なともだちについて、みなさんにお伝えしたいことがあるのです。

 みなさんはだれかを紹介するとき、そのひとのなにを伝えようとしますか。そのひとの外見のすばらしさ、それとも頭の良さでしょうか。あるいはこんな仕事をしているとか、こんなものを持っているとか、そういうことでしょうか。

 残念ながら、ぼくはあまりそういうことに興味はありません。

 

 ぼくは彼のこころについてお話したいのです。

 

 少なくともぼくは、これまで彼のようなひとに出会ったことがありません。そして、これからも出会うことはないでしょう。彼についてお話するというのは、ぼくのこころの大切な要求なのです。

 さて、ぼくはいま、白く小さな星の上にひとりぼっちでいて、この小さな物語をつづっています。ぼくは〝星のうみ〟をひとりで旅をしながら生きている、孤独なひとなのです(星のうみについてはあとでお話します)。

 彼もそうでした。彼もまたずっとひとりぼっちで生きていたのです。さっき、ぼくはひとりぼっちだとお話しましたが、別にこれまでにだれかと一緒にいたことがないわけでも、だれかと話したことがないわけでもありません。いまはひとりでいるというだけです。

 けれど、あの愛すべき坊ちゃんはちがいました。彼はずうっとひとりだったのです。だれのとなりにいるのでもなく、だれとも話すことなく、あの小さな白い家のなかで、あせることのない喜びとともに暮らしていたのです。つまり、彼と彼の星にとって、ぼくがはじめてのお客さんであり、はじめての友だちだったのです。

 

 「さびしいと感じたことはないなあ…でも、あなたがいなくなったらさびしいよ」

 

 坊ちゃんは何度かそう言ってくれました。そのときの彼の笑顔をいまでもよく思い出します。ぼくのこころの宝物です。

 これ以上、もったいぶるのはやめましょう。

 いまからお話するのは、ぼくが自分のふるさとの星を飛びだし、あの坊ちゃんと出会うまでの旅と、彼に出会い、ともにすごした日々についての物語です。

 もうどれくらいになるでしょうか。あのころのことを思い出すと、なんとも言えない気持ちになります。泣きたくなるほど悲しくもなりますし、同じように嬉しくもなります。そして、どうしようもなく〝ひとり〟ということの大切な意味について考えたくなるのです。


 ひとりってかけがえのないものなんですね。

 


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