詩 彼が家に行くかと誘ってくれる
「うちに寄ってく?」
「え」
帰り道、彼から誘われ、私は動揺してしまう。
「あの、その、うちに人は…?」
「誰もいないよ。俺んち、親、働いているし」
「そう、なの」
少し緊張が解けたが、まだ心臓がドキドキしている。
彼のうちに行くなんて、まだまだ先のことだと思っていたからである。
「どうする?」
「えっと」
空を見上げれば、まだ明るい。
太陽がゆっくり沈むから、早く行けという風に、日差しを伸ばしてくる。
「あの…行ってもいい?」
聞くと、彼は嬉しそうに答える。
「おう。すぐそこだから」
そっと手を握られ、私はびくりと身体が反応する。
まるで初々しい乙女のような気持ちだった。
頼りは彼しかいないので、固く手を繋ぐ。
すると彼が安心させるように、頭の後ろを撫でてくる。
「大丈夫。そんなに緊張するなよ」
「無理ー!! 緊張するに決まっているじゃん!!」
本音をもらすと、彼はあははと爽やかに笑う。
その声は鳥達に届き、合唱となる。
「嬉しいか? 俺んちに来れて?」
「うー。どうだろう。お腹、痛くなってきた」
正直に言うと、彼がまた笑う。
「もう!! 笑い話じゃないのに!!」
「あ、あそこだ」
指差され、もう間近だと感じる。
深呼吸して、ついに腹を決める。
「お邪魔させていただきます」
「おう。帰りは、ちゃんと送るから」
その言葉に、私は安堵する。
「近くにコンビニ、ある?」
「何で?」
「手ぶらで行くわけにはいかないわよ」
「いいんだよ。それより、一緒にジュースとかアイスとか、食べようぜ」
彼は気にしていないようだった。
私は迷ったが、彼が手を強く握りしめてくる。
「よし、俺んちまでダッシュしようぜ」
「え。きゃあ!!」
急に走り出したので、私も動揺しながら駆け出す。
もう子どもみたいに、強引なんだから。
でも悪くないと思い、一緒に走り出す。
気持ち良い風が吹いてきて、勇気をくれる。
こんな私だけど、これからもよろしくね。




