93.異世界はこたつがない!
私は本当に怒っている。なんで冷蔵庫やレンジはあるのに「こたつ布団」がないのか分からない。確かに中世にはこたつなんて無くて暖炉だったのは知ってる、けど暖炉じゃ体全体は温まらない。かといってお風呂に入っても入ってるときは温かいけど出たら寒くなる…むしろマイナス。
ずっと入ってられて丁度いい温かさといえば「こたつ」しかない!私は早速こたつを作ろうと製作を始めた。最初はこたつの机部分だ。この異世界には低い机が存在しない、存在しないわけじゃないけどあまり文化がなく勿論座椅子も無い。
先に低い机と座椅子等を作らないといけないけど前世では机と布団が合体した「こたつ布団」の姿しか思いつかなくて机単体は想像できず、座椅子のみ私は作る。座椅子は旅行に行ったときなんかの古い旅館にいい感じの座椅子があるのでそれを再現。
机も諦めきれないので作成図を城下町の工房に持っていき職人に作ってもらった。そして出来上がった「こたつmark.2」布団が付いていないバージョンにはなるけど私が想像した物が一応できた。
低い机の裏に魔石を仕込んだ箱を装着している。その箱からほどよい温かさを出すように刻印しているけど…やはり布団がないと寒いな。なんで私が布団を付けないのかというと「こたつmark.1」は布団付きだったのだけど温度調整をミスって丸焦げになってしまった。
あのほどよい温かさを出すのが本当に難しいし、布団に着火しないようにするのも困難だった。だがmark.2の魔石をもう少しコンパクトに付ければ完成するとみた。
私は低い机の真ん中あたりをくり抜いてそこにちょうどはいるように加工した魔石をはめ込む。カチャ…と音がするまで押し込み、完成。魔力を持っていれば誰でも温まるようになっている。ここに私がいつも寝ている布団を付けてやっと完成。
こたつmark.3は前世で思い描いた物と一致していた。あとはこれにミカンやせんべいがあると尚良し。
ユウキ「ミライは何作ってたのかな?」
ふふふ…お父様、私は世界的な発明をしました。これがあれば誰でも冬を快適に過ごすことができますよ。私の力作「こたつmark.3」です!!
ユウキ「この机に張り付いている布団に入ればいいのかな?」
どうぞ!
ユウキ「なんかほどよい温かさといいますか、温泉に入っている気分になるね。」
でしょでしょ、私が1から考えて作り上げた作品です。これを市民の皆さんに使っていただければ、よりこの冬を過ごしやすくなると思いますよ。
ユウキ「…」
どうしたんですかお父様?
ユウキ「もしかして…」
もしかして?
ユウキ「知らなかったらごめん」
どうしたんですかお父様?
ユウキ「似たようなのあるよ」
なんですと!?
ユウキ「僕が着ているコンプレッションウェアっていう上下の物があるんだけど、あたかも温泉に入っているような感じにさせてくれて、暑ければ温度調整もできる服なんだ。」
はい!?なんですかそれは。なんでこたつも無いのにそんな服が進歩しているんです。
ユウキ「それにサウナ用もあって着用しながら痩せれるって人気なんだよ。だけど本物の効力に比べれば違うけど。」
最初はなんでこんなに寒いのに皆半袖とか半ズボンなんだろう…て思ってたけどそういうことだったのかとお父様に私の分を貰い着用した。
右腕部分にある小さな魔石に魔力を注ぐと温かくなる仕組みになっていた。お父様の言った通り全身が温かくなり温泉に入っている気分になった。こんな発明をしているなんてさぞ有名な発明家なのだろうとお父様に誰が作ったのか聞いたら…
ユウキ「ミヤおじいちゃんだよ。」
はへ…。またおじいちゃんの名前が出てきた。おじいちゃんは魔道具師の先駆者らしく世界的に様々な分野で活躍するほどらしく、おじいちゃんよりも優れた魔道具師はこの世に存在しないと言われている。
服をよく見るとミヤ印が刻まれていた。ミヤおじいちゃんが作った魔道具はすべてミヤ印というおじいちゃんの顔が描かれた印が施されている。これを悪用(印をかき消す)するとその人は謎の死や消息を絶つと都市伝説になっている。
せっかく私の異世界ライフの始まりだと思ってたのに、またおじいちゃんのせいで一からやり直しだよ。まったく、どっちがチートなんだか…




