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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 三章 ミライ編
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89.道具の作成

 昨日は散々な1日だったよ、特にレスダー学園長が私の作ったボール100球全て灰にしてしまうんだもん。流石に魔力が持たなくてその日は断念したけどあの人でも投げれるようにするにはどうしたらいいんだ?


ユウキ「ミライ、考え事か?」


 お父様、実は私新しい娯楽を考えてまして「野球」という雪合戦みたいなスポーツなんですけど…


ユウキ「スポーツか…確かにフェイト王国には娯楽といった物はあまりない。けど、リバーシや将棋があるじゃないか。」


 だから…雪合戦みたいな外でする物ですよ。家の中ではなく外で汗水垂らしながらするスポーツです。


ユウキ「それって老若男女できるのか?」


 はい、できますよ。1チーム9人で構成されてそれぞれに役割があります。その中で点数を取ったり取られそうになったら守ったりする熱血なスポーツです。(異世界人に説明するのは難しいからやってもらった方が早い)


 今はその野球をする為の道具を錬金術で製作中なんですが…


ユウキ「何か問題が?」


 昨日レスダー学園長とタクトさんとドルトンさんに手伝ってもらったんですけど、レスダー学園長がボール(雪玉のような)を投げるとボールが耐えれなくなって灰になってしまいます。なのでボールに使ういい感じの素材がないかと悩んでいるのです。


ユウキ「レスダーさんらしいな。だったらいい考えがあるんだけど」


 そう言うお父様は自室からある物を取り出して持ってきた。お父様が持ってきた物は「スライム」だった。あの魔物のスライムじゃなくて前世であった子供の玩具のスライムと同じだった。


ユウキ「いま市民の中で面白いって広まっているんだ。これをどうにかしてボールと合体させれば衝撃を抑えることできると思うんだよな。」


 なるほどスライムを使ったボールか…考えたことなかった。ありがとうお父様、私なんか作れそうな気がする。


 お父様が部屋を出た後スライムをどう魔石にくっつけてボールにしようか試行錯誤していた。はぁ…こんな時に天才魔道具発明者のミヤおじいちゃんがいたらアドバイアもらったりして捗るんだけどなぁ…いけないいけない、おじいちゃんに頼りすぎるのは良くないんだった。


 私はまずどう魔石にくっつけるか考えた。考えたのは魔石に穴を開けて小さい魔石を組み込む。その小さい魔石には無属性魔法【吸引】を刻み込み蓋をする。そしてスライムをボールに付けると、あら不思議…スライムボールができました!


 でも持ってみるとスライム独特のネチョっとした感触がありつつ吸引のせいで私の手からも離れない。ならばその上からボールをかぶせる皮と布を付ければいいことに気づく。


 スライムと一番合う皮生地は確かオークの皮だったはず。スライムを普通の皮で包もうとすると中で熱で溶けたり腐ってしまうがオークの皮はスライムと相性が良く日光や熱を反射してくれて、カビや雑菌を除去してくれる役割がある。


 騎士団が倒した魔物の倉庫に行って取ってきたオークの皮でスライムボールを包んであげれば手に吸い付くこともないが、これではちょっとオークの皮が気持ち悪い…という人がいる為布で包む。


 いくら乾燥させたオークの皮とはいえどただの布で被すと皮から油がにじみ出てくる可能性があるので慎重に選んでいく。水に耐性がある魚の鱗を使ってみるか。


 布とは違うけど鱗で試したらけっこういい感じだったけど鱗一つ一つ付けるのは困難だから止めよう。いっそのこと布じゃなくて皮に色を塗ってごまかすか。白く塗れば誰も分かんないでしょと思いながら私は石灰とスライムボール(オーク皮をそえて)を合体させて作り出した。


 投げ心地もちょうど良く魔力を注いでも砕け散ることはなかった。錬金術でこれを複製しながら私は外に向かってボールを投げる。子供の姿だと無理だから大人の姿に変えて投げてみるとボールはまっすぐ飛び形は保ったままだった。


 後日レスダー学園長に投げてもらったけど壊れることはなかった。それに吸引の他にも人にボールが当たると皮が柔らかくなり、中のスライムが衝撃を吸収してくれる。バットに当たったり、ミットに入ったりするときだけボールの形を保つように設計した。


 バットは正直変える必要はなかった。ドルトンさんみたいに変形させたりできるし何も加えなくてもいいと思った。


 

 

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