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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 三章 ミライ編
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85.次元の修復

 僕の名前はミヤ、フェイト国王ユウキの父だ。僕は今雪合戦で使用した【ワールドオブクリア】の修復活動をしている。

 

 ミライには洗脳を解除する魔法だと伝えたけど、そんな能力は存在しない。この魔法の本当の能力は「並行世界創造」である。


 チームカエデと戦った時の洗脳は確かに世界全体を巻き込んだ。そのせいで世界の生きている種族全員が膠着してしまう。これは知能(考える力)がある者だけに作用してそうでない物(物体)には作用しないのだ。


 そうなると生きているもの以外はすべて動く。例えば馬車に乗っていたらどうなるだろうか、乗っている人と馬車を漕ぐ馬は洗脳によって膠着するが馬車は物なので漕いでいた時の速度で動き止まる。乗っていたら人は馬車だけ動くので落とされて、馬は馬車に轢かれる。地面に叩きつけられた人は洗脳世界では何事もなく馬車を漕ぎ続けているため、地面に血反吐を吐いて倒れる自身の存在に気づくことができない。


 そして洗脳世界の中で突然の痛みによって命を落とす。現実の彼はその場で死に誰も動くことができないので永遠に1人孤独の状態なのだが洗脳世界は死んだ後火葬されて皆に見守られながら死んでいく。


 洗脳世界では現実とは違って動くことができるから彼が死んだのを見た誰かが彼を教会に連れていき火葬を行ったのだろう。そして怖いのがここからで、死んでもその洗脳は解けることはないのだ。だって洗脳世界が架空の世界だと認識できないまま死んだから。


 認識できないで死んだものは来世に生まれ変わっても洗脳世界で生まれ変わっているため現実にはならない。


 あくまで生きている者の動きが止まるだけでつついたりすれば倒れるし魔法を放てば勝手に死んでいく。昔は頻繁にこの魔法がつかわれていた。どんな使い方かって…「処刑」だよ。一番死ぬ恐怖もなければ痛みもないとして「洗脳処刑」があった。


 けどただの洗脳でもその人の世界を歪ませてしまうため時空にヒビができる。このヒビは決して見えるものではないので認識されないのだが、これが大きくなるにつれてヒビが砕け散り何故かこの世界とったく同じ洗脳されていない世界線が創造されてしまう。


 そして現在、雪合戦で使用した時世界は突然死を迎える。ミライがこの洗脳を解いた様に見せかけたのは別の世界「並行世界」のミライの脳内意識を移したからだ。


 順を追って説明すると

 ・カエデが会場全体に洗脳(幻影)を放つ


 ・ミヤが洗脳を受ける直前でワールドオブクリアを放つ。

 

 ・これによりカエデが洗脳を放たない別世界線を作り出す。


 ・その後世界全体に洗脳をかけて、カエデの洗脳を打ち消す。


 ・止まった世界で生きているものだけを並行世界の自分達に意識を飛ばす。


 ・自分の身体ではあるが違う次元の自分の身体であることに脳が追いつけていけなくなり、子鹿のように震えだし立てなくなる。


 それをあたかも洗脳が解けましたよっていう魔法をミライにはワールドオブクリアと言ったけど、本当は元の世界から別の世界に意識を飛ばしただけなんだよね。


 だったら何故次元の修復なんてやっているのかと言うと悪魔でも並行世界が作られるだけであって元の世界は洗脳を受けたままの状態。時間が経っていき整備されていない王国は森となり住んでいた人達も木々や花に体を侵食されて自然と同化する。


 意識を飛ばしたとはいえ元の世界で生きていながら並行世界で生きているといった状況になる。その状態が続けばいずれ意識が元の世界に戻り並行世界の自分は意識が移る前の自身に戻り、元の世界自分は既に死んでいる。


 そうなると元の世界をコピーしてできた並行世界は元の自分が死ねば並行世界の自分も死ぬ。そうなってしまうのを防ぐため僕が今ここにいる。


 僕がやることは1つ。並行世界を元の世界として、元の世界を並行世界にしてしまえばいい。いわば世界の宇宙の認識を書き換えるようなものだ。この世界が本当の世界じゃない架空の世界だった…というのを塗り替えてしまえば何の不自然もなくなる。

 

 隕石が振ってきた時にやればいいと思うかもしれないが隕石は生きていないので当たり前だがそのまま王都に落ちて世界が消滅する。だから何でもできるってわけじゃないのがリスキーなのだ。


 要は不可解な出来事・無理難題な出来事が降りかかった時にその出来事が起こらなかった世界線を作ることができる。でもその際違う世界線の並行世界のため元の世界とはちょっとした歴史のズレや違いが出てくる。


 現在いる並行世界(今は元の世界)リンガルよりも上にある大陸「ドッカイホウ」では(ミヤ)とその周りの人間たちと似た人間や種族が生息している。これは意識を並行世界に移すときにできるズレである。


 そのドッカイホウでは7つの国に分かれて今も領土争いで戦争している。自国の方を何とかしてから何とか対処しよう。もしも7つの国が統一でもされて次の狙いがリンガルやフェイトになれば厄介なことになる。


 意識は僕らの為、コピー元よりは弱い存在なのだがそれでも並の人間よりは強い。


 とりま修復は以上かな。と言うか雪合戦で何で使ったの?って言いたくなるよね。これじゃ僕が戦犯じゃん…ってなるんだけどあの雪合戦の会場に昔戦った暗殺集団が紛れ込んでいたんだ。


 ユウキは泳がせていたんだけど彼奴等の計画が思ったよりも早く進んだのか雪合戦の日に実行してきた。その時に疾風?のなんちゃらかんちゃらって敵がものすごい速さで学園内にいた講師や生徒を斬って周り音を一切立てないで僕らに忍び込んできた。


 実のところテッタクは予定があって来れないって言っててメイシアと2人で遠征に行っていたはずなんだよね。僕は魔力とその揺れが他人のものだと気づいたから良かったけどユウキのヤツ…全く気づいてなかったな。


 奴らの目的はフェイト王とその親族と関係者を暗殺つまり僕らを殺そうとしていた。そして不覚にもチームカエデとチームバッファローは身内ばっかでちょうど良く混乱に紛れて殺ろうとしていた。だから【ワールドオブクリア】を発動させた。


 この暗殺集団が居なかった世界線を作り出した。勿論コイツらがいない世界線の為、暗殺者の魂(意識)は移動できないので元の世界に置き去りのままだ。だから洗脳世界では僕らの事を暗殺できて目標達成してっていう生活を送ってるのかもしれないが季節の変動や災害によって知らない間に津波に流され、火山にのみ込まれて体は死んでいるだろうね。


 でも洗脳世界の中で死んでいき、そのまま洗脳世界で転生して新たな暮らしを満喫しているんだろう。


 まぁ悪人にそんな事させるわけがないので皆の意識を並行世界に移した瞬間、元の世界の雪合戦の時に王都を襲った隕石が降る世界線を作り出して想像の通り隕石によって何もかも破壊された。世界を無かったことにすれば自ずとそこにいる魂も無かったことになる。


 いくら洗脳世界に意識があってもその存在が無かったことになれば洗脳世界を飛び出して死ぬ。

 


 さてとドッカイホウの件はミライが冒険者になった時にでも一緒に解決しよう。ミライの成長の糧になるからね。

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